センター試験 数学I・数学A 2017年度追試 第1問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
(1) 次の $\mybox{シ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
命題A「a が無理数で $1+a^2=b^2$ ならば、b は無理数である」
命題B「a が有理数で $1+a^2=b^2$ ならば、b は有理数である」の真偽について正しいものは、 $\myBox{シ}$ である。
0: 命題Aは真、命題Bは真
1: 命題Aは真、命題Bは偽
2: 命題Aは偽、命題Bは真
3: 命題Aは偽、命題Bは偽(2) 次の $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つずつ選べ。ただし、解答の順序は問わない。
実数 a, b について述べた文のうち、正しいものは $\myBox{ス}$, $\myBox{セ}$ である。
0: $a-1 \leqq b \leqq a+1$ は、 $a=b$ であるための十分条件である。
1: $a-2 \leqq b \leqq a+2$ は、 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ であるための必要条件である。
2: 命題「 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ $\Rightarrow$ $(a=1$ かつ $b=1)$ 」の逆は「 $(a=1$ または $b=1)$ $\Rightarrow$ $a-1 \leqq b \leqq a+1$ 」である。
3: 命題「 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ $\Rightarrow$ $(a=1$ かつ $b=1)$ 」の対偶は「 $(a\ne1$ または $b\ne1)$ $\Rightarrow$ $(a-1 \gt b$ または $b \leqq a+1)$ 」である。
考え方
(1)は、三平方の定理とからめて考えるとわかりやすいかもしれません。反例がないか、よく考えてみましょう。
(2)は、ごちゃごちゃしていて考えにくそうですが、一つ一つはそれほど難易度は高くありません。(1)に比べれば、だいぶ易しめです。落ち着いて考えましょう。
【必答問題】
解答編
問題
(1) 次の $\mybox{シ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
命題A「a が無理数で $1+a^2=b^2$ ならば、b は無理数である」
命題B「a が有理数で $1+a^2=b^2$ ならば、b は有理数である」の真偽について正しいものは、 $\myBox{シ}$ である。
0: 命題Aは真、命題Bは真
1: 命題Aは真、命題Bは偽
2: 命題Aは偽、命題Bは真
3: 命題Aは偽、命題Bは偽
解説
$1+a^2=b^2$ というのはあまり見慣れない式ですが、 $1^2+a^2=b^2$ と書き換えれば、三平方の定理に出てくる式ですね。三平方の定理とからめて、具体的な数字で考えていくとわかりやすいかもしれません。
命題Aは、 $b$ が無理数になるかどうかですね。 $a$ が何かのルートで、 $b$ が有理数の2乗になるような例があるか(つまり反例があるか)を、いろいろ数字を入れて試してみましょう。すると、 $a=\sqrt{3}$ とすれば、 $b=2$ となります。30度60度90度の三角形の辺の長さですね。 $a$ は無理数で、 $1+a^2=b^2$ ですが、 $b$ は有理数です。なので、命題Aは偽です。
命題Bを考えてみましょう。これも、 $a$ が有理数なのに $b$ が無理数となってしまう例があるか考えます。すると、 $a=1$ とすれば $b=\sqrt{2}$ となってしまいます。45度45度90度の三角形の辺の長さです。これから、命題Bも偽であることがわかります。
こういう問題で両方とも偽であることは珍しい気もしますが、両方とも反例があるので、両方とも偽です。
解答
シ:3
解答編 つづき
問題
(2) 次の $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つずつ選べ。ただし、解答の順序は問わない。
実数 a, b について述べた文のうち、正しいものは $\myBox{ス}$, $\myBox{セ}$ である。
0: $a-1 \leqq b \leqq a+1$ は、 $a=b$ であるための十分条件である。
1: $a-2 \leqq b \leqq a+2$ は、 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ であるための必要条件である。
2: 命題「 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ $\Rightarrow$ $(a=1$ かつ $b=1)$ 」の逆は「 $(a=1$ または $b=1)$ $\Rightarrow$ $a-1 \leqq b \leqq a+1$ 」である。
3: 命題「 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ $\Rightarrow$ $(a=1$ かつ $b=1)$ 」の対偶は「 $(a\ne1$ または $b\ne1)$ $\Rightarrow$ $(a-1 \gt b$ または $b \leqq a+1)$ 」である。
一つ一つ確認していくしかありません。
0について考えましょう。 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ ならば $a=b$ が成り立つかというと、成り立ちませんね。 $a=1,b=0$ などの反例があります。一方、 $a=b$ ならば $a-1 \leqq b \leqq a+1$ は、当然成り立ちますね。そのため、 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ は、 $a=b$ であるための、十分条件ではないが必要条件であることがわかります。
1について考えます。 $a-2 \leqq b \leqq a+2$ ならば $a-1 \leqq b \leqq a+1$ は成り立つでしょうか。これは、条件がさらに強くなるので成り立ちません。 $a=0,b=2$ などを考えればいいでしょう。では、逆の、 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ ならば $a-2 \leqq b \leqq a+2$ はどうでしょう。これは条件が緩くなっているので、成り立ちます。そのため、 $a-2 \leqq b \leqq a+2$ は、 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ であるための、十分条件ではないが必要条件であることがわかります。1は正しいですね。
2は、命題の逆についてです。逆とは、 $\Rightarrow$ の前後を入れ替えただけのものです。しかし、「かつ」が「または」に変わってしまっています。なので、2は正しくないです。
3は、対偶についてです。対偶とは、 $\Rightarrow$ の前後を否定して入れ替えたものです。「 $a-1 \leqq b \leqq a+1$ 」の否定が「 $(a-1 \gt b$ または $b \leqq a+1)$ 」であり、「 $(a=1$ かつ $b=1)$ 」の否定が「 $(a\ne1$ または $b\ne1)$ 」なので、3は正しいですね。
以上から、1と3が正しいことがわかります。
解答
スセ:1・3