センター試験 数学I・数学A 2017年度 第2問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
(図は元の問題文を参考に再現しています。)
スキージャンプは、飛距離および空中姿勢の美しさを競う競技である。選手は斜面を滑り降り、斜面の端から空中に飛び出す。飛距離 D (単位はm)から得点 X が決まり、空中姿勢から得点 Y が決まる。ある大会における58回のジャンプについて考える。
(1) 得点 X, 得点 Y および飛び出すときの速度 V (単位は km/h)について、図1の3つの散布図を得た。
次の $\mybox{シ}$, $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 6 のうちから一つずつ選べ。ただし、解答の順序は問わない。
図1から読み取れることとして正しいものは、 $\myBox{シ}$, $\myBox{ス}$, $\myBox{セ}$ である。
0: X と V の間の相関は、 X と Y の間の相関より強い。
1: X と Y の間には正の相関がある。
2: V が最大のジャンプは、 X も最大である。
3: V が最大のジャンプは、 Y も最大である。
4: Y が最小のジャンプは、 X は最小ではない。
5: X が80以上のジャンプは、すべて V が93以上である。
6: Y が55以上かつ V が94以上のジャンプはない。(2) 得点 X は飛距離 D から次の計算式によって算出される。\[ X=1.80 \times (D-125.0) +60.0 \]
次の $\mybox{ソ}$, $\mybox{タ}$, $\mybox{チ}$ にそれぞれ当てはまるものを、下の 0 ~ 6 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
- X の分散は、 D の分散の $\myBox{ソ}$ 倍になる。
- X と Y の共分散は、 D と Y の共分散の $\myBox{タ}$ 倍である。ただし、共分散は、2つの変量のそれぞれにおいて平均値からの偏差を求め、偏差の積の平均値として定義される。
- X と Y の相関係数は、 D と Y の相関係数の $\myBox{チ}$ 倍である。
0: -125
1: -1.80
2: 1
3: 1.80
4: 3.24
5: 3.60
6: 60.0(3) 58回のジャンプは29名の選手が2回ずつ行ったものである。1回目の $X+Y$ (得点 X と得点 Y の和)の値に対するヒストグラムと2回目の $X+Y$ の値に対するヒストグラムは図2の A, B のうちのいずれかである。また、1回目の $X+Y$ の値に対する箱ひげ図と2回目の $X+Y$ の値に対する箱ひげ図は図3の a, b のうちのいずれかである。ただし、1回目の $X+Y$ の最小値は 108.0 であった。
次の $\mybox{ツ}$ に当てはまるものを、下の表の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
1回目の $X+Y$ の値について、ヒストグラムおよび箱ひげ図の組合せとして正しいものは、 $\myBox{ツ}$ である。
0 1 2 3 ヒストグラム A A B B 箱ひげ図 a b a b 次の $\mybox{テ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
図3から読み取れることとして正しいものは、 $\myBox{テ}$ である。
0: 1回目の $X+Y$ の四分位範囲は、2回目の $X+Y$ の四分位範囲より大きい。
1: 1回目の $X+Y$ の中央値は、2回目の $X+Y$ の中央値より大きい。
2: 1回目の $X+Y$ の最大値は、2回目の $X+Y$ の最大値より小さい。
3: 1回目の $X+Y$ の最小値は、2回目の $X+Y$ の最小値より小さい。
考え方
グラフから読み取る問題は、ひねりはありません。相関の意味や、箱ひげ図の定義をしっかりおさえておけば、それほど難しくはないでしょう。
変数を変換したときに分散や相関係数がどう変わるかは、少し難しいです。定義に戻って確認すればひらめくかもしれませんが、センター試験ではよく聞かれる内容なので、事前に考え方をまとめておく方がいいでしょう。
mathjax: ["waku"]
【必答問題】
解答編
問題
(図は元の問題文を参考に再現しています。)
スキージャンプは、飛距離および空中姿勢の美しさを競う競技である。選手は斜面を滑り降り、斜面の端から空中に飛び出す。飛距離 D (単位はm)から得点 X が決まり、空中姿勢から得点 Y が決まる。ある大会における58回のジャンプについて考える。
(1) 得点 X, 得点 Y および飛び出すときの速度 V (単位は km/h)について、図1の3つの散布図を得た。
次の $\mybox{シ}$, $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 6 のうちから一つずつ選べ。ただし、解答の順序は問わない。
図1から読み取れることとして正しいものは、 $\myBox{シ}$, $\myBox{ス}$, $\myBox{セ}$ である。
0: X と V の間の相関は、 X と Y の間の相関より強い。
1: X と Y の間には正の相関がある。
2: V が最大のジャンプは、 X も最大である。
3: V が最大のジャンプは、 Y も最大である。
4: Y が最小のジャンプは、 X は最小ではない。
5: X が80以上のジャンプは、すべて V が93以上である。
6: Y が55以上かつ V が94以上のジャンプはない。
解説
1個1個確認していきます。
0について。散布図を見ると、 X と Y との散布図の方が、より直線的になっているので、こちらのほうが相関が強いことがわかります。よって、これは正しくありません。
1について。 X と Y との散布図を見ると、右肩上がりになっているので、正の相関があると言えます。正しいです。
2について。 X と V との散布図を見ます。 V が最大とは右端の点のことですが、それが一番上にあるわけではないので、 X が最大ではありません。よって、正しくありません。
3について。 Y と V との散布図を見ます。 V が最大とは右端の点のことですが、それが一番上にあるわけではないので、 Y が最大ではありません。これも正しくありません。
4について。 X と Y との散布図を見ます。 Y が最小とは左端の点のことですが、それが一番下にあるわけではないので、 X が最小ではありません。よって、これは正しい文章です。
5について。 X と V との散布図を見ます。 X が80以上でも、 V が93より小さい点があります。なので、これは正しくありません。
6について。 Y と V との散布図を見ます。 Y が55以上で V が94以上の部分には点がありません。よって、これは正しいです。
以上から、 1, 4, 6 が正しいことがわかります。
解答
シスセ:1・4・6
解答編 つづき
問題
(2) 得点 X は飛距離 D から次の計算式によって算出される。\[ X=1.80 \times (D-125.0) +60.0 \]
次の $\mybox{ソ}$, $\mybox{タ}$, $\mybox{チ}$ にそれぞれ当てはまるものを、下の 0 ~ 6 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
- X の分散は、 D の分散の $\myBox{ソ}$ 倍になる。
- X と Y の共分散は、 D と Y の共分散の $\myBox{タ}$ 倍である。ただし、共分散は、2つの変量のそれぞれにおいて平均値からの偏差を求め、偏差の積の平均値として定義される。
- X と Y の相関係数は、 D と Y の相関係数の $\myBox{チ}$ 倍である。
0: -125
1: -1.80
2: 1
3: 1.80
4: 3.24
5: 3.60
6: 60.0
解説
一般に、 a 倍すると、分散は $a^2$ 倍されます。定数を足し引きしても分散は変わらないため、 X の分散は D の分散の $1.80^2=3.24$ 倍となります。(参考:【応用】データの変換で分散はどう変わるか)
共分散は、定数を足し引きしても変わらず、 a 倍すると共分散も a 倍されるので、 X と Y との共分散は、 D と Y との共分散の $1.80$ 倍となります。
また、定数と足し引きしても、正の数を掛けたり割ったりしても相関係数は変わりません。(参考:【応用】データの変換で相関係数はどう変わるか)
解答
ソタチ:432
解答編 つづき
問題
(3) 58回のジャンプは29名の選手が2回ずつ行ったものである。1回目の $X+Y$ (得点 X と得点 Y の和)の値に対するヒストグラムと2回目の $X+Y$ の値に対するヒストグラムは図2の A, B のうちのいずれかである。また、1回目の $X+Y$ の値に対する箱ひげ図と2回目の $X+Y$ の値に対する箱ひげ図は図3の a, b のうちのいずれかである。ただし、1回目の $X+Y$ の最小値は 108.0 であった。
次の $\mybox{ツ}$ に当てはまるものを、下の表の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
1回目の $X+Y$ の値について、ヒストグラムおよび箱ひげ図の組合せとして正しいものは、 $\myBox{ツ}$ である。
0 1 2 3 ヒストグラム A A B B 箱ひげ図 a b a b 次の $\mybox{テ}$ に当てはまるものを、下の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。
図3から読み取れることとして正しいものは、 $\myBox{テ}$ である。
0: 1回目の $X+Y$ の四分位範囲は、2回目の $X+Y$ の四分位範囲より大きい。
1: 1回目の $X+Y$ の中央値は、2回目の $X+Y$ の中央値より大きい。
2: 1回目の $X+Y$ の最大値は、2回目の $X+Y$ の最大値より小さい。
3: 1回目の $X+Y$ の最小値は、2回目の $X+Y$ の最小値より小さい。
解説
まず、ヒストグラムを見ます。1回目の $X+Y$ の最小値が 108.0 であったことを考えると、 B のヒストグラムは「100以上105未満」のデータがあるので、これは1回目ではないことがわかります。よって、1回目はA、2回目はBであることがまずわかります。
続いて、箱ひげ図を見ます。 b の箱ひげ図は、最小値が105以下となっていることから、1回目でないことがわかります。よって、1回目はa、2回目はbであることがわかります。
次に、箱ひげ図について、正しい選択肢を探します。
0について。四分位範囲は、箱の長さです。a は、15より少し小さいですが、 b は15より少し大きいことがわかります。よって、1回目の方が小さいことがわかります。正しくありません。
1について。中央値とは、箱の中央の線を見ればわかります。a の方が大きく、1回目の方が大きいことがわかります。これが正しい選択肢です。
2について。最大値は、右端を見ます。a の方が大きいため、1回目の方が大きいことがわかります。正しくありません。
3について。最小値は左端です。 a の方が大きいため、1回目の方が大きいことがわかります。これも正しくありません。
解答
ツテ:01