【標準】循環小数と無限等比級数

ここでは、循環小数を、無限等比級数の和ととらえなおす方法を見ていきます。

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循環小数の復習

循環小数とは、 $0.333\cdots$ のように、同じ数字の並びがある桁からずっと続いていく小数のことです。繰り返す場所は途中からでもよく、 $0.3181818\cdots$ というものも、循環小数です。これらは、循環している部分がどこなのか、はっきりさせるために、 $0.\dot{ 3 }$ や $0.3\dot{ 1 } \dot{ 8 }$ と書きます(参考:【基本】循環小数の表し方)。

【基本】実数の分類でも見た通り、循環小数は、有理数となります。つまり、ある整数 $m$ と0でない整数 $n$ を用いて、 $\dfrac{m}{n}$ の形で表すことができる、ということですね。

【標準】循環小数と分数では、循環小数を分数で表す方法を具体的に見ました。そのときには、例えば、 $0.\dot{ 3 }$ の場合なら、これを $x$ とおくと\[ 10x-x=3 \]となるから、 $0.\dot{ 3 }=\dfrac{1}{3}$ と表すことができる、というように考えました。

ここでは、この「循環小数を分数で表す方法」を、無限等比級数の和だと考えて求めなおしてみましょう。

循環小数と無限等比級数

$0.\dot{ 3 }$ について考えましょう。この循環小数は、次のように分解することができます。\[ 0.3+0.03+0.003+0.0003+\cdots \]つまり、初項が $0.3$ で公比が $0.1$ の無限等比級数となっていると考えられるわけですね。公比の絶対値が1未満なので、これは収束し、極限値は
\begin{eqnarray}
\frac{0.3}{1-0.1}=\dfrac{1}{3}
\end{eqnarray}となります(参考:【基本】無限等比級数)。これが、この循環小数の分数表現です。

無限等比級数の和を考えられるようになった今となっては、はじめに見た $x=0.\dot{3}$ と置いて考える方法は、少し「あいまいさ」があることがわかるでしょう。というのも、無限級数というのは、収束することもあれば、発散することもあります。 $0.\dot{3}$ というのは、 $0.3$, $0.33$, $0.333$ とどんどん桁を増やしていったときの極限です。これを $x$ とおいていろいろ式変形するということは、この極限が収束して、極限値が1つに決まると仮定してしまっています。

収束しないのに収束すると仮定すれば、変なことが起こってしまう、という話は、例えば、【標準】漸化式と等比数列の極限の後半部分で出てきます。 $a_1=1$, $a_{n+1}=2a_n+1$ という漸化式の数列 $\{a_n\}$ があったとして、この数列が $\alpha$ に収束すると仮定すれば、 $\alpha=2\alpha+1$ から、 $\alpha=-1$ が得られますが、これはナンセンスな値です。正の項しか出てこないのに、極限値が負になることはありえません。

ただ、循環小数の場合は、結論からいうと、収束すると考えてしまっても構いません。循環小数のうち、繰り返される部分を無限等比級数の和と考えた場合、公比の絶対値が1より小さくなる(0.1とか0.01とか)ので、無限等比級数の和が収束することがわかります。今までの解き方がダメだったことにはならないのですが、本来は収束することの確認が必要だった、ということです。

次に、 $0.3\dot{ 1 } \dot{ 8 }$ を分数で表す方法を考えましょう。これは、\[ 0.3+0.018+0.00018+\cdots \]と分解できます。2項目以降の部分は、初項が $0.018$ で公比が $0.01$ の無限等比級数と考えられます。公比の絶対値は1より小さいので、収束し、極限値は
\begin{eqnarray}
0.3+0.018\times \dfrac{1}{1-0.01}=\frac{3}{10}+\frac{1}{55}=\frac{7}{22}
\end{eqnarray}となります。

0.999…が1になることについて

【標準】循環小数と分数でも取り上げましたが、 $0.999\cdots=1$ となります。これを無限等比級数の観点で考えなおしてみましょう。

$0.999\cdots$ を次のように分解してみましょう。\[ 0.9+0.09+0.009+\cdots \]これの $n$ 項までの部分和は\[
0.9\times \frac{1-0.1^n}{1-0.1}=1-0.1^n \]となります。これは、例えば $n=3$ とすれば\[ 0.999=1-0.1^3 \]が成り立つ、ということですが、計算してみると確かにそうなることはすぐにわかります。

$0.999\cdots$ はこの部分和の極限のことですが、これは $0.1^n$ の部分が0に収束するのだから、\[ 0.999\cdots=1 \]が成り立つことがわかります。

$0.999\cdots$ が $1$ になることに違和感を覚える人もいるでしょう。それは $0.999\cdots$ の $9$ にひっぱられすぎです。前者は有限の桁で終わるのではなく、無限に続く、極限を考えています。つまり、式で書くとこうなります。\[ \lim_{n\to\infty} \sum_{k=1}^n (9\times 0.1^k) \]これと $1$ との差は、 $\displaystyle \lim_{n\to\infty} 0.1^n$ と同じです。差の極限が $0$ となるのだから、 $0.999\cdots$ も $1$ となります。

また、 $x=0.999\cdots$ とおくと $10x=9.99\cdots$ となるのはわかると思いますが、 $10x-x=9$ となるのが気持ち悪く感じていた人もいるかもしれません。ずっと右のほうでズレが残るんじゃないか、と。有限の桁で考えれば確かにズレは残るのですが、極限を考えると、そのズレも0に収束することになります。

おわりに

ここでは、循環小数を無限等比級数の和だと思って考える方法を見てきました。また、今まで用いていた求め方は、収束を仮定している解き方だった、ということも見てきました。

ここで見たように、循環小数は、公比の絶対値が1より小さくなり、収束することを確かめたので、今までのような方法(循環小数を $x$ と置く方法)で分数に変換してもいいし、無限等比級数の和だと思って分数に変換しても構いません。