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【基本】実数の分類

数学は、「数を学ぶ」と書くぐらいなので、まずは数についておさえておく必要があります。ここでは、中学校までで習ったことを振り返りながら、数の分類を行っていきます。

📘 目次

自然数

まず、小学校のときに、「1,2,3,…」という数を学びました。日常でも、ものの個数を数えるときに使います。こうした数を、「自然数」(natural number)と呼びます。

自然数の四則演算、つまり、足し算・引き算・掛け算・割り算も、小学校で勉強しました。自然数の範囲では、足し算と掛け算は自由にできますが、引き算や割り算が必ずできるわけではありませんでした。引き算や割り算の答えが、自然数にならないこともありますよね。

しかし、以下で述べるように、数の対象を広げていけば、引き算や割り算が自由にできるようになります。

整数

自然数の範囲では、引き算が自由にできませんでした。例えば「1引く3」というのは小学校では出てきませんでしたね。中学校で「負の数」を勉強し、初めてこうした引き算ができるようになりました。

自然数にマイナスをつけたものを「負の整数」(negative integer)と呼びます。また、これに対応して、自然数のことを「正の整数」(positive integer)と呼ぶこともあります。そして、「1-1=0」というように、「0」(zero)についても小学校で学びました。0は、正の整数にも負の整数にも含まれない整数です。

今までのことをまとめると、「整数」(integer)というのは、次の3種類に分類することができます。

整数の分類
整数
┣ 正の整数
┣ 0
┗ 負の整数

ちなみに、分野によっては、0を自然数の中に含める場合もありますが、高校数学では0は自然数に含めないことが一般的です。こうしたややこしいことがあるので、入試などでは「自然数」という表現は使わずに、「正の整数」という表現の方が使われることがあります。「正の整数」と書いた場合、0を入れることはありません。

有理数

小学校では、「分数」(fraction)を勉強しました。これにより、割り算が自由にできるようになりました。(整数や分数)÷(0でない整数や分数)を計算すると、答えは整数か分数になります。つまり、整数と分数を合わせれば、割り算が自由にできるんですね。

整数と分数を合わせて「有理数」(rational number)と呼びます。また、整数も分数も両方含まれるように、次のような書き方で定義されます。

有理数
整数 a と、0でない整数 b を用いて、$\dfrac{a}{b}$と表される数を、「有理数」と呼ぶ。

$b=1$ のときを考えれば、「整数は有理数である」ことがわかりますね。

今までのことをまとめると、「有理数」は次のように分類できます。

有理数の分類
有理数
┣ 整数
┗ 整数でない有理数(分数)

小数について

さて、小中学校で学んだ数を振り返ってきましたが、小学校で出てきたのにまだこのページに出てきていないものがありますね。「小数」(decimal)です。小数はどこに入るでしょうか。

「0.25」のように、桁が有限であるものを、「有限小数」(finite decimal)と呼びます。これは、10 を何回か掛ければ整数になるので、$\dfrac{a}{10^b}$のように、「整数÷整数」の形で書くことができます。なので、有理数です。

ただ、小数にはずっと続いていくものもあります。 $\dfrac{1}{3}=0.33\cdots$ などですね。右辺を見ると、有限小数でないことがわかりますが、左辺を見ると有理数であることが分かります。つまり、 $0.33\cdots$ は、有理数です。

では、「小数はいつも有理数になるか」というと、そうではありませんよね。中学校で学んだように、「ルート2」などは、分数では書けませんでした。分数で表せない小数もあるんですね。

無理数

小数については、有限小数(桁数が有限の小数)の場合は有理数だけど、無限小数(桁数が無限の小数)の場合は、分数で書けるものも書けないものもあります。この「分数で書けない小数」のことを「無理数」(irrational number)と呼びます。中学校で習いましたね。

「分数で書けない小数」と書きましたが、小数を見て「分数で書けるか書けないか」を見分ける方法がないと不便ですよね。実は、簡単な見分け方があります。「循環している小数は分数で書ける、循環していないものは分数で書けない」という見分け方です。

例えば、「0.5362362362…」という数を見てみます。途中から「362」が繰り返されていますね。このように、途中から同じ数字の列が循環している小数は、分数で書くことができます(今の場合は、「5357/9990」)。

この見分け方がなぜ正しいか、その説明は【標準】循環小数と分数【標準】有理数の分類(有理数は整数・有限小数・循環小数のどれかになる)で行っていますが、今のところは「循環しているかどうかを見ればいいんだな」ということをおさえておけば十分です。

この循環している小数のことを、「循環小数」(repeating decimal)と呼びます。そのままですね。循環しない小数は、分数で表せない小数なので、無理数を指します。

有理数のことをまとめなおすと、次のように書くことができます。

有理数の分類
有理数
┣ 整数
┣ 有限小数
┗ 循環小数

実数の分類

有理数と無理数を合わせて、「実数」(real number)と呼びます。今までのことをすべてまとめると、次のように書くことができます。

実数の分類
実数
┣ 有理数
┃ ┣ 整数
┃ ┃ ┣ 正の整数(自然数)
┃ ┃ ┣ 0
┃ ┃ ┗ 負の整数
┃ ┣ 有限小数
┃ ┗ 循環小数
┗ 無理数

実数と言うのは、まず分数で書けるか書けないかで分けることができます。分数で書けるものは有理数、書けないものは無理数です。

分数で書ける有理数は、小数部分がない整数、小数部分が有限桁の有限小数、小数部分が無限桁で途中から循環している循環小数の3つに分かれます。

また、さらに、整数は、正の整数(自然数)、0、負の整数に分かれます。

今後、高校の数学や大学入試では、ここに出てきた用語がよく登場するので、どれがどんな数を指しているのか、理解しておきましょう。

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