【標準】漸化式(特殊解型)
ここでは、漸化式から一般項を求める問題で、【基本】漸化式(分数型)と【基本】漸化式(特殊解型)を組み合わせて解くものを見ていきます。
逆数を考える
(1) $b_n=\dfrac{1}{a_n}$ とおくとき、 $b_{n+1}$ と $b_n$ の関係式を求めなさい。
(2) 数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めなさい。
(1)では、「逆数を考えなさい」と言われているので、その通り変形していきます。
$a_1=1\gt 0$ であり、漸化式を見ると各項が正になることがわかるので、 $a_n$ が $0$ になることはありません。 $b_{n+1}$ は $\dfrac{1}{a_{n+1} }$ なので、これが出てくるように、漸化式の逆数を考えましょう。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{a_{n+1} } &=& \frac{2a_n+3}{a_n} \\[5pt]
b_{n+1} &=& 2+\frac{3}{a_n} \\[5pt]
&=& 2+3b_n \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。このことから、\[ b_{n+1}=3b_n+2 \]が成り立つことがわかります。これが(1)の答えです。
この問題では「逆数を考えなさい」と言われていますが、問題によってはいきなり(2)から始まることもあります。漸化式の形、右辺の分数の形を見て、「逆数を考えたらどうかな?」と思いつけるようになっておきましょう。
特殊解を求める
さて、先ほどの例題の続きを考えていきましょう。\[ b_{n+1}=3b_n+2 \]について考えていきます。
これは、【基本】漸化式(特殊解型)で見た内容です。最終的に、等比数列の話に持っていきます。そのため、 $+2$ の部分を、なんとか見えなくなるように変形するのでしたね。そのために、特殊解を使えばいいのでした。
特殊解とは、項の部分を別の文字にした式(特性方程式)の解です。つまり、次の式の解です。\[ p=3p+2 \]これは、 $b_{n+1},b_n$ を $p$ に置き換えたものです。これを解けば、 $p=-1$ ですね。
漸化式と、今解いた式を並べてみます。
\begin{eqnarray}
b_{n+1} &=& 3b_n+2 \\[5pt]
-1 &=& 3\cdot(-1)+2 \\[5pt]
\end{eqnarray}上は漸化式そのままです。下は、 $p=-1$ が特殊解なのだから成り立つ式です。この2つの式を辺々引けば
\begin{eqnarray}
b_{n+1}+1 &=& 3(b_n+1)
\end{eqnarray}となります。 $+2$ の部分が消えましたね。こう変形できれば、 $c_n=b_n+1$ とおくと、\[ c_{n+1}=3c_n \]だから、数列 $\{c_n\}$ が等比数列になることがわかります。なので、 $c_n$ の一般項が求められますね。
数列 $\{c_n\}$ の初項は、
\begin{eqnarray}
c_1
&=&
b_1+1 \\[5pt]
&=&
\frac{1}{a_1}+1 \\[5pt]
&=&
2 \\[5pt]
\end{eqnarray}であり、公比は、 $c_{n+1}=3c_n$ から $3$ であることがわかります。よって\[ c_n=2\cdot 3^{n-1} \]となります。
あとは、これをどんどん元に戻していくだけです。 $c_n=b_n+1$ なので\[ b_n=c_n-1=2\cdot 3^{n-1}-1 \]となります。また、 $b_n=\dfrac{1}{a_n}$ なので、\[ a_n=\frac{1}{b_n}=\frac{1}{2\cdot 3^{n-1}-1} \]となります。これが(2)の答えです。
おわりに
ここでは、漸化式から、逆数の数列を考えたあと、特殊解を使って一般項を求める問題を見ました。組み合わさって出題されることもあるので、それぞれをよく練習しておきましょう。