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【応用】確率漸化式

ここでは、漸化式と確率を融合した問題を見ていきます。

📘 目次

確率と数列

例題
さいころを n 回投げて、1の目が奇数回出る確率を求めなさい。

普通の確率の問題にも見えますが、「1の目が奇数回出る」がやっかいです。投げる回数が3回とか4回ならいいのですが、投げる回数は n 回なので、「奇数回となる確率を全部足す」というわけにはいきません。

このように、いきなり n 回の場合を考えるのは難しくても、 n の場合と $n+1$ の場合の関係はわかりやすいことがあります。これがわかれば、漸化式を作って後は一般項を求めるだけですね。

まず、どんな数列を扱えばいいかを考えましょう。それは、答えに直接つながる内容ですが、「 n 回投げて、1の目が奇数回出る確率」を $p_n$ とおきます。確率が並んでいる数列 $\{p_n\}$ を考える、ということですね。

確率漸化式

さて、数列 $\{p_n\}$ の一般項が分かればいいのですが、そのためには漸化式を作る必要があります。さいころを投げる回数が n 回の場合と、 $n+1$ 回の場合で、状況がどう変わるかを考えてみましょう。

さいころを $n+1$ 回投げる場合と $n$ 回投げる場合では、違いは「 $n+1$ 回目」だけですね。この「 $n+1$ 回目」とその前の「 $n$ 回目まで」との関係を考えます。

$n+1$ 回投げて、1の目が奇数回出る場合というのは、 $n+1$ 回目が1なのかそうじゃないのかで話が変わってきますね。よく考えると、次の2つのケースがあることがわかります。

  • $n$ 回目までに1の目が奇数回出て、 $n+1$ 回目は1以外の目が出る
  • $n$ 回目までに1の目が偶数回出て、 $n+1$ 回目は1の目が出る
これ以外に、「 $n+1$ 回投げて1の目が奇数回出る」場合はないです。また、この2つが同時に起こることはありません。

以上のことから、上の2つの確率を足せば、 $p_{n+1}$ になることがわかります。

1つ目の「 $n$ 回目までに1の目が奇数回出て、 $n+1$ 回目は1以外の目が出る」の確率を考えましょう。前半は、 $p_n$ そのものですね。後半は、 $\dfrac{5}{6}$ です。よって、1つ目の事象が起こる確率は次のようになります\[\frac{5}{6}p_n\]

続いて、2つ目の「$n$ 回目までに1の目が偶数回出て、 $n+1$ 回目は1の目が出る」の確率です。この前半は、一瞬どうやって求めるか気づかない人もいるかもしれませんが、「1の目の出る回数は、偶数か奇数しかない」のだから、 $1-p_n$ となります。後半は $\dfrac{1}{6}$ ですね。

これらから、次のような漸化式が得られます。
\begin{eqnarray} p_{n+1} &=& \frac{5}{6}p_n +\frac{1}{6}(1-p_n) \\[5pt] &=& \frac{2}{3}p_n +\frac{1}{6} \\[5pt] \end{eqnarray}この漸化式を解けば、一般項が求められ、欲しい答えが得られます。

この解き方は、【基本】漸化式(特殊解型)などで見た通り、特性方程式を考えればいいですね。\[ \alpha=\frac{2}{3}\alpha+\frac{1}{6} \]を解けば $\alpha=\dfrac{1}{2}$ なので、
\begin{eqnarray} p_{n+1}-\frac{1}{2} &=& \frac{2}{3} \left(p_n-\frac{1}{2}\right) \\[5pt] p_n-\frac{1}{2} &=& \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1} \left(p_1-\frac{1}{2}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで、 $p_1$ は、「さいころを1回投げて、1の目が奇数回出る確率」なので、 $\dfrac{1}{6}$ ですね。よって、 \begin{eqnarray} p_n-\frac{1}{2} &=& \frac{2^{n-1} }{3^{n-1} } \left(\frac{1}{6}-\frac{1}{2}\right) \\[5pt] p_n &=& \frac{1}{2}-\frac{2^{n-1} }{3^n} \\[5pt] \end{eqnarray}と求められます。これが答えです。

いくつかの数字で確かめてみると、例えば、 $p_1=\dfrac{1}{6}$, $p_2=\dfrac{5+5}{36}=\dfrac{5}{18}$ であり、\[ p_3=\frac{3\cdot5^2+1}{6^3}=\frac{19}{54} \]などと計算でき、一般項に入れても成り立つことがわかります。

おわりに

ここでは、確率と漸化式を融合させた問題を見てきました。いきなり n の場合を考えられないときには、漸化式を作って解くことができるケースがあります。漸化式は、状況が変わる点に注目したり、 $n$ の場合をどう使えば $n+1$ の場合につなげることができるのかを考えて、式を作るようにしましょう。

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