【基本】漸化式(特殊解型)

ここでは、 $a_{n+1}=pa_n+q$ の形をした漸化式( $p\ne 1$, $q\ne 0$ )の一般項について見ていきます。

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等差でも等比でもない漸化式

次のような性質をもつ数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めてみましょう。\[ a_1=1,\ a_{n+1}=2a_n+1 \ (n=1,2,3,\cdots ) \]【基本】漸化式と等差数列・等比数列・階差数列で見た漸化式と比較すると、これは等差数列でも等比数列でもありません。 $a_n$ の前の $2$ がなければ等差数列ですが、そうはなっていませんし、 $a_n$ の後の $+1$ がなければ等比数列ですが、そうもなっていません。どちらでもないです。また、 $a_{n+1},a_n$ の係数が同じなら階差数列と考えることもできますが、この方針も使うことができません。

今までに見てきた漸化式とはタイプが異なり、今までの手法を単純に適用して考えることはできません。

等比数列に帰着させる方法

今まで見たことがないと言いつつも、形はおしいところまでいってます。なので、今までの手法を使えないか、少し考えてみましょう。

まず、具体的に、この数列の項を書き出してみましょう。「2倍して1を足す」を繰り返していくと、この数列は次のように計算できます。\[ 1,3,7,15,31,63,127,\cdots \]勘のいい人はこの並びを見て気づくかもしれませんが、全体に1を足すと、 $2^n$ になることがわかります。気付かなくても大丈夫です。ここでは、とりあえず「全体に1を足すと、いいことが起こりそう」ということをおさえておきましょう。

実際、漸化式\[ a_{n+1}=2a_n+1 \]の両辺に $1$ を足してみると、次のようになります。\[ a_{n+1}+1=2(a_n+1) \]これを見てもピンときにくいかもしれないので、 $b_n=a_n+1$ とおいてみましょう。左辺は $b_{n+1}$ で、右辺はカッコの部分が $b_n$ になります。なので、\[ b_{n+1}=2b_n \]となります。これは、等比数列の漸化式ですね。

数列 $\{b_n\}$ の初項は\[ b_1=a_1+1=2 \]なので、この数列は、初項が2で公比が2の等比数列であることがわかります。つまり、\[ b_n=2^n \]です。 $b_n=a_n+1$ だったので、\[ a_n=2^n-1 \]と求めることができます。

もう一度おこなったことを整理すると

  • $\{a_n\}$ の漸化式の両辺に $1$ を足した
  • $b_n=a_n+1$ とおくと、 $\{b_n\}$ が等比数列になった
  • $\{b_n\}$ の一般項がわかり、 $\{a_n\}$ の一般項も求められた

という流れでした。

なんだか偶然うまくいったような気がするかもしれません。というのも、一番初めの「両辺に $1$ を足した」はどこからやってきたのか、まだ謎だからです。上の説明では、項を書いて並べて思いついたことになっていますが、もちろん、ちゃんとした求め方があります。

特殊解を求める

上の方法では、次の漸化式\[ a_{n+1}=2a_n+1 \]を次のように変形しました。\[ a_{n+1}+1=2(a_n+1) \]これにより、もともと邪魔だった $2a_n+1$ の $+1$ の部分が消え、等比数列が登場したんですね。このとき、漸化式の両辺に足した $1$ について考えてみましょう。

いったん「1を足したこと」を忘れて、どうすれば「1を足せばいい」を思いつけるか、考えます。

漸化式の両辺にある数を足して、定数の部分が消えたおかげで、等比数列型の漸化式に変形することができたのでした。両辺にどんな数を足しても、 $a_{n+1},a_n$ の係数は変わらないため、もし等比数列型に変形できたとしたら、次のような式になっているはずです。\[ a_{n+1}-\alpha=2(a_n-\alpha) \]$\alpha$ は $n$ によらない定数です(なぜ $+\alpha$ ではなく $-\alpha$ なのかは、後で説明します)。こう書けていると、 $b_n=a_n-\alpha$ とおくことで、等比数列 $\{b_n\}$ を作り出すことができます。この後の $\{a_n\}$ の一般項を求めるまでの流れは、先ほど見た通りです。

さて、もとの漸化式\[ a_{n+1}=2a_n+1 \]と、「こう変形できるといいなぁ」という式\[ a_{n+1}-\alpha=2(a_n-\alpha) \]を見比べてみましょう。この2つの式は、同じ式のはずです。2つ目の式を展開すると、次のようになります。\[ a_{n+1}-\alpha=2a_n-2\alpha \]これを1つ目の漸化式から辺々引けば\[ \alpha=2\alpha+1 \]が得られます。つまり、 $\alpha=-1$ です。\[ a_{n+1}-\alpha=2(a_n-\alpha) \]の式の左辺からわかる通り、 $-1$ を引く、つまり、 $1$ を足せばいいんだな、ということがわかります。

なお、上で出てきた $\alpha=2\alpha+1$ という式を、もともとの漸化式\[ a_{n+1}=2a_n+1 \]の式と見比べてみましょう。これは、 $a_{n+1},a_n$ を $\alpha$ に置き換えた式だということがわかります(先ほど $\alpha$ の符号をマイナスにしていたのは、この置き換えをうまくするためです)。

以上から、 $a_{n+1}=pa_n+q$ の形をした漸化式( $p\ne 1$, $q\ne 0$ )は、次のように解いていきます。

  • 漸化式から $\alpha=p\alpha+q$ を満たす $\alpha$ を解く
  • この式を漸化式から引いて $a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)$ と変形する
  • 等比数列 $\{a_n-\alpha\}$ の一般項を求め、 $\{a_n\}$ の一般項も求める

少し複雑ですが、こういう流れです。ここで出てくる $\alpha$ は、特殊解と呼ばれています。また、特殊解を導いた式 $\alpha=p\alpha+q$ は、特性方程式と呼ばれています。

特性方程式を考えて特殊解を求め、漸化式から引いて、等比数列型に持ち込む、というのが典型的な解き方です。

おわりに

ここでは、特殊解型の漸化式の一般項について見てきました。等差・等比のどちらでもない漸化式としては、このパターンがもっとも典型的なものです。特殊解を求めてから一般項を求める流れを、よく練習しておきましょう。【標準】漸化式(特殊解型)でも出てくるので、そちらも見ておきましょう。