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【標準】円と直線の共有点間の距離

ここでは、円と直線の共有点の間の距離を求める問題を考えます。3つの方法で見ていきます。

📘 目次

円と直線の共有点間の距離その1

例題
直線 $y=-x+2$ と円 $x^2+y^2=5$ の共有点間の距離を求めなさい。

図をかくと、こういう状況ですね。

この2点の共有点の間の距離を求める、ということですね。

問題によっては、次のように出題されることもよくあります。

「直線 $y=-x+2$ が円 $x^2+y^2=5$ によって切り取られる線分(弦)の長さを求めなさい。」

切り取られるってどういうことだろう、と初めて見た人は思うかもしれません。円の部分を「パンチで穴をあけた」というように考えればわかるかもしれません。円の内部に入っている直線の長さを求めなさい、ということです。例題とは違う表現ですが、求めるものは同じです。

一番思いつきやすい方法は、共有点の座標を求めていく方法でしょう。直線の方程式を円の方程式に代入して
\begin{eqnarray} x^2+(-x+2)^2 &=& 5 \\[5pt] x^2+x^2-4x+4 &=& 5 \\[5pt] 2x^2-4x-1 &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}が得られるので、これを解いて \begin{eqnarray} x &=& \frac{4\pm\sqrt{(-4)^2-4\cdot2\cdot(-1)} }{4} \\[5pt] &=& \frac{2\pm\sqrt{6} }{2} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これを直線の方程式に代入すれば、共有点の座標は\[ \left(\frac{2+\sqrt{6} }{2},\frac{2-\sqrt{6} }{2}\right), \left(\frac{2-\sqrt{6} }{2},\frac{2+\sqrt{6} }{2}\right) \]となります。

これより、共有点間の距離の2乗は
\begin{eqnarray} & & \left(\frac{2-\sqrt{6} }{2}-\frac{2+\sqrt{6} }{2}\right)^2+\left(\frac{2+\sqrt{6} }{2}-\frac{2-\sqrt{6} }{2}\right)^2 \\[5pt] &=& \left(-\sqrt{6}\right)^2+\left(\sqrt{6}\right)^2 \\[5pt] &=& 12 \end{eqnarray}となるので、求める距離は $2\sqrt{3}$ となります。

計算が大変ですね。ただ、実は上の計算はかなり省略することができます。次にその解き方を見てみましょう。

円と直線の共有点間の距離その2

円と直線の共有点間の距離を求める場合、上のように共有点の座標を求めて解くことができます。ただ、 x の二次方程式の解が分かった時点で、多くの人が気づくでしょう。「計算がめんどくさすぎる」と。

計算がめんどうなのは、ルートや分数の計算が出てきている上、2乗しないといけないからです。ここの計算を、できる限り省略する方法があります。それは、解と係数の関係を使う方法です(参考:【基本】二次方程式の解と係数の関係)。

今のように、2つの解を用いた値を計算する場合は、この解と係数の関係が使えることが多いんですね。実際に解いていきましょう。

直線の方程式を円の方程式に代入して得られる式\[ 2x^2-4x-1 = 0 \]の2つの解を $\alpha,\beta$ とします。すると、共有点の座標は、\[ (\alpha,-\alpha+2),\ (\beta,-\beta+2) \]となります。この2点間の距離の2乗は
\begin{eqnarray} & & (\beta-\alpha)^2+\{(-\beta+2)-(-\alpha+2)\}^2 \\[5pt] &=& 2(\alpha-\beta)^2 \\[5pt] &=& 2\{(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta\} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで、解と係数の関係より、\[ \alpha+\beta=-\frac{-4}{2}=2,\ \alpha\beta=\frac{-1}{2} \]なので、上の値は \begin{eqnarray} & & 2\{(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta\} \\[5pt] &=& 2\left\{2^2-4\cdot\left(-\frac{1}{2}\right)\right\} \\[5pt] &=& 2(4+2) \\[5pt] &=& 12 \end{eqnarray}となるので、求める距離は $2\sqrt{3}$ となります。

解と係数の関係が使えることに気づかないとダメですが、これを用いれば、距離を求めるときの2乗の計算がだいぶ楽になります。

円と直線の共有点間の距離その3

最後に、まったく別のアプローチで解く方法を紹介します。

上の図のように、共有点を A, B とおき、 AB の中点を C とおきます。このとき、三角形 OAC は直角三角形になります。

OA は半径なので $\sqrt{5}$ です。また、 OC点と直線の距離の公式から\[ \frac{|-2|}{1^2+1^2}=\sqrt{2} \]となります(参考:【標準】点と直線との距離)。よって、求める距離 AB
\begin{eqnarray} \mathrm{ AB } &=& 2\mathrm{ AC } \\[5pt] &=& 2\sqrt{\mathrm{ OA }^2-\mathrm{ OC }^2} \\[5pt] &=& 2\sqrt{5-2} \\[5pt] &=& 2\sqrt{3} \end{eqnarray}となります。

図形の性質や点と直線の距離の公式を使えば、こんなにも計算が簡単になるんですね。

おわりに

ここでは、円と直線の共有点間の距離を求める問題を見ました。点と直線の距離を使う方法は強力なので、ぜひ使えるようにしましょう。また、解と係数の関係を使う方法も、よく使う式変形が含まれているので、よく理解しておきましょう。1つ目の方法でも解けますが、時間がかかるし計算間違いもしやすいので、この方法は最後の手段として使いましょう。

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