【標準】二次関数のグラフと直線との共有点
【基本】二次関数のグラフとx軸との共有点では、放物線と x 軸との共有点の個数について見ましたが、ここでは、一般的な直線との共有点の個数について見ていきます。
二次関数のグラフと直線との共有点
二次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと直線 $y=mx+n$ の共有点について考えます。
この共有点の x 座標を p とすると、この点は放物線上の点なので y 座標は $ap^2+bp+c$ となります。また、これは直線上の点でもあるので、 y 座標は $mp+n$ とも書けます。
以上から、共有点の x 座標は、次の解であることが分かります。\[ ax^2+bx+c = mx+n \]【基本】二次関数のグラフとx軸との共有点で見た内容と同じように考えれば、この実数解の個数と、グラフの共有点の個数が一致することが分かります。
接線
放物線と直線との共有点が1点だけのとき、「放物線と直線は接する」といい、この共有点を接点といいます。また、このときの直線のことを、放物線の接線(tangent)といいます。
【基本】二次関数のグラフとx軸との共有点で、共有点の個数と実数解の個数と判別式の符号が対応していることを見ましたが、それはここでも成り立ちます。放物線と直線が接するとき、次の二次方程式\[ ax^2+bx+c = mx+n \]の判別式 D は0となります。
例題
ここまでの内容を踏まえて、次の例題を考えてみましょう。
これらのグラフの共有点のx座標は、次の解になります。
\begin{eqnarray}
x^2-3x+2&=&x-n \\
x^2-4x+n+2 &=& 0 \quad \cdots (\mathrm{A}) \\
\end{eqnarray}2つのグラフが接するとき、上の方程式は重解を持つので、判別式 $D=0$ となります。よって、
\begin{eqnarray}
(-4)^2 - 4(n+2)&=&0 \\
16 -4n-8&=&0 \\
-4n&=&-8 \\
n&=&2 \\
\end{eqnarray}より、 $n=2$ のときに2つのグラフが接することがわかります。これが答えです。
実際、グラフをかいてみると、次のように放物線と直線が接しています。
なお、接点の x 座標は、上の(A)に $n=2$ を代入して
\begin{eqnarray}
x^2-4x+4 &=& 0 \quad \cdots (\mathrm{B}) \\
(x-2)^2 &=& 0 \\
x &=& 2
\end{eqnarray}となることがわかります。ちなみに、二次方程式の解の公式は\[ x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac} }{2a} \]という形でしたね。今のように接している場合は、判別式 $D=0$ となるので、ルートの部分がなくなります。つまり、このときは\[x=\frac{-b}{2a}\]が解となります。上の(B)の係数を代入すれば、この方法でも、 $x=2$ となることがわかりますね。
また、上で紹介した「接線」という言葉を使えば、「直線 $y=x-2$ は、放物線 $y=x^2-3x+2$ の点 $(2,0)$ での接線である」といえます。
おわりに
ここでは、放物線と直線が接する場合を見ました。接線に関する話は今後もいろんなところが出てきますが、ここでは「重解を持つとき」「判別式が0になるとき」に接するということをおさえておきましょう。