【標準】カージオイドと媒介変数表示
ここでは、カージオイドという図形を紹介し、この媒介変数表示について見ていきます。
カージオイド
【標準】アステロイドと媒介変数表示では、ある円の内側を、半径が4分の1の別の円が転がるとき、この転がる円の円周上のある点の軌跡をアステロイドと呼ぶことを見ました。カージオイドは、アステロイドと似ているのですが、違いは、円の内側ではなく円の外側を転がるところです。
カージオイド(cardioid) とは、上の図のように、ある円の円周に沿って、同じ半径の円が、外側を滑ることなく回転するとき、円周上のある点が描く曲線のことを言います。名前の cardioid のうち、 cardi は「心臓」を表しています。 oid は「のようなもの」という意味です。日本語では、「心臓形」と呼ばれることもあります。
とまっている円と回転している円の半径が同じ、という条件は重要です。違う大きさであれば、軌跡は別の形となります。
カージオイドの媒介変数表示
さて、カージオイドの媒介変数表示を考えてみましょう。アステロイドのときと同じように、動いている円の中心や接点などに注目して考えていきます。以下では、内側・外側の円の半径を $1$ として考えていきます。
$\mathrm{ A }(1,0)$ とし、はじめ、2つの円は点 A で接していたとします。この点 A にあった点が、回転により、点 P に移動しているとします。また、2つの円の接点を B, 動いている円の中心を C とします。このとき、 O, C, B は一直線上にあることに注意しましょう。
$\angle \mathrm{ COA }=\theta$ とすると、 $\mathrm{ OC }=2$ であることから、 C の座標は\[ (2\cos\theta, 2\sin\theta) \]であり、 B の座標は\[ (\cos\theta, \sin\theta) \]となります。
また、滑ることなく外側の円が回転していることから、動いている円における弧 BP の長さと、止まっている円における弧 AB の長さは同じです。弧 AB の長さは $\theta$ であり、 $\mathrm{ BC }=1$ だから $\angle \mathrm{ BCP }=\theta$ となります。
よって、 P は、 C を中心に B を反時計回りに $\theta$ だけ回転した点だから、 CP と x 軸の正の向きとのなす角は $\pi+2\theta$ となります。
以上から、 P の x 座標は
\begin{eqnarray}
& &
2\cos\theta +\cos(\pi+2\theta) \\
&=&
2\cos\theta -\cos 2\theta \\
\end{eqnarray}となります。 y 座標は
\begin{eqnarray}
& &
2\sin\theta +\sin(\pi+2\theta) \\
&=&
2\sin\theta -\sin 2\theta \\
\end{eqnarray}となります。
よって、カージオイド上の点の座標は\[ (2\cos\theta -\cos 2\theta,2\sin\theta -\sin 2\theta) \]と書くことができます。これですべての点が表せているので、これがカージオイドの媒介変数表示となります。
内側と外側の円の半径が $a$ の場合は、弧の長さなどが $a$ 倍になることから、次のようになることがわかります。
\begin{eqnarray}
x &=& a(2\cos\theta -\cos 2\theta) \\
y &=& a(2\sin\theta -\sin 2\theta) \\
\end{eqnarray}
おわりに
ここでは、カージオイドを紹介し、その媒介変数表示について見てきました。円の動きと回転の関係から、点の座標を角度で表す例としておさえておきましょう。