【応用】定積分の最大・最小
ここでは、積分区間に $x$ を含んだ関数に対して、最大値・最小値を求める問題を考えていきます。
定積分の最大・最小
一般的な関数に対して、最大値・最小値を求めるには、微分を利用すればいいのでしたね(参考:【標準】微分を利用して最大値・最小値を求める)。また、積分区間に $x$ を含んだ関数の微分は、【標準】定積分で表された関数を微分するなどでも見てきました。これらを組み合わせて考えていきましょう。
まず、関数 $f(x)$ を微分すると\[ f'(x)=e^x(1-x) \]になることがわかります。これは、【基本】定積分と微分の関係の復習で見た内容をそのまま使っています。これから、 $f'(x)=0$ となるのは、 $x=1$ のときだわかるので、増減表は次のようになります。
\begin{array}{c|ccccc}
x & 0 & \cdots & 1 & \cdots & 2 \\
\hline
f'(x) & & + & 0 & - & \\
\hline
f(x) & & \nearrow & & \searrow &
\end{array}この増減表から、 $x=1$ で最大値をとることがわかります。また、最小値をとるのは $x=0$ か $x=2$ のどちらかであることがわかります。あとは、それぞれの関数の値を求めて考えていきましょう。
$x=0$ のときは、積分区間が $0$ から $0$ までとなるため、\[ f(0)=0 \]であることがわかります。 $x=1,2$ のときは、定積分を計算するしかありません。それぞれ計算することもできますが、同じような計算を2回しないといけません。それだと面倒なので、一度、不定積分を計算することにしましょう。つまり、\[ \int e^t(1-t)dt \]を計算して、「微分すると $e^t(1-t)$ になる関数」を求めておくということです。そうすると、 $1,2$ を代入するだけで定積分が求められます。
この不定積分は、部分積分を使って、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
\int e^t(1-t)dt \\[5pt]
&=&
e^t(1-t)-\int e^t(1-t)'dt \\[5pt]
&=&
e^t(1-t)+\int e^t dt \\[5pt]
&=&
e^t(1-t)+e^t+C \\[5pt]
\end{eqnarray}なお、 $C$ は積分定数です。
この不定積分の計算から、\[ F(t)=e^t(1-t)+e^t \]とおくと、
\begin{eqnarray}
f(1)
&=&
\int_0^1 e^t(1-t)dt \\[5pt]
&=&
F(1)-F(0) \\[5pt]
&=&
(0+e)-(1+1) \\[5pt]
&=&
e-2
\end{eqnarray}であり、
\begin{eqnarray}
f(2)
&=&
\int_0^2 e^t(1-t)dt \\[5pt]
&=&
F(2)-F(0) \\[5pt]
&=&
(-e^2+e^2)-(1+1) \\[5pt]
&=&
-2
\end{eqnarray}であることがわかります。不定積分を求めていたので、 $F(t)$ に $t=1,2$ を代入するだけで2つの定積分が求められています。2つの定積分をそれぞれ直接求めていたら、同じような部分積分を2回やることになるので、手間が増えてしまいます。
最小値をとる候補は、 $x=0,2$ の2つがありましたが、上の結果から、 $f(0)=0\gt f(2)=-2$ となることがわかりますね。
以上から、 $f(x)$ は、 $x=1$ のときに最大値 $e-2$ をとり、 $x=2$ のときに最小値 $-2$ をとることがわかります。
おわりに
ここでは、定積分の最大・最小を考える問題を見てきました。最大・最小を求めるには、微分を利用することができます。また、定積分の微分も別のページで見てきましたね。
いつ最大値・最小値をとるかがわかった後は(もしくは、候補が絞れた後は)、具体的に値を計算する必要がありますが、そこではじめて定積分を計算することになります。最後に、候補のうちから、正しいものを選ぶようにしましょう。