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【基本】角の大きさと辺の長さの関係

ここでは、三角形において、角の大小と辺の大小が一致する、ということを見ていきます。証明は覚えなくても問題ありませんが、「一番長い辺は、一番大きい角の対辺(向かい合う辺)である」ということはよく使うので覚えておきましょう。

なお、辺 $\mathrm{AB}$, $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$ の長さを、それぞれ、 $c,a,b$ と書き、角 $\angle \mathrm{ CAB }$, $\angle \mathrm{ ABC }$, $\angle \mathrm{ BCA }$ の大きさを、それぞれ、 $A,B,C$ と書くことにします。

📘 目次

角の大きさと辺の長さの関係

【基本】よく出る0度から180度までの三角比の値#三角比のとる値の特徴で見た通り、90度以下の範囲では、角の大小関係と $\sin$ の大小関係は一致します。これに正弦定理を組み合わせれば、辺の大小関係とも関連付けることができます。(鈍角の場合は別途考える必要はあります)

「三角形の角の大小関係と、向かい合う辺の大小関係が一致する」ということを示すために、次のことを示しましょう。

角の大きさと辺の長さの関係
三角形 ABC で、 $A\gt B$ ならば $a\gt b$ が成り立つ。また、 $a\gt b$ ならば $A\gt B$ も成り立つ。
証明
A が鈍角かそうでないかで場合分けをする。
(1) A が鈍角のとき
まず、「 $A\gt B$ ならば $a\gt b$ 」を示す。 余弦定理より、\[ \cos A=\frac{c^2+b^2-a^2}{2bc} \]が成り立つ。A は鈍角なので $\cos A\lt 0$ だから、右辺の分子は負である。よって、\[ a^2 \gt b^2+c^2 \gt b^2 \]なので、 $a\gt b$ が成り立つ。
「 $a\gt b$ ならば $A\gt B$ 」は、 A が鈍角なので明らか。
(2) A が鈍角でないとき
「 $A\gt B$ ならば $a\gt b$ 」を示す。正弦定理より\[ a-b=2R(\sin A-\sin B) \]となる。 $0^{\circ}\lt B\lt A \leqq 90^{\circ}$ の範囲では、 $\sin A\gt\sin B$ なので、 $a\gt b$ が成り立つ。
次に、「 $a\gt b$ ならば $A\gt B$ 」を示す。余弦定理より\[ \cos B=\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca} \]であり、$a\gt b$ なので、右辺の分子は正である。なので、 B も鈍角ではないことがわかる。
正弦定理より\[ \sin A-\sin B = \frac{a-b}{2R} \]であり、 $a\gt b$ だから $\sin A\gt\sin B$ が成り立つ。今考えている範囲は $0^{\circ}\lt A,B \leqq 90^{\circ}$ なので、 $A \gt B$ が得られる。
(1)(2) より、「$A\gt B \iff a\gt b$ 」が示された。
【証明終】

90度以下の範囲では、角度が大きくなると単位円周上の点の y 座標も大きくなる、ということを使っています(参考:【基本】よく出る0度から180度までの三角比の値)。

ここで証明したことは他の角・辺についても成り立つので、角の大小関係と辺の大小関係が一致することがわかります。

例題

例題
三角形 ABC において、 $a=4$, $b=5$, $c=6$ とする。この三角形で一番大きな角を $\theta$ とするとき、 $\cos \theta$ を求めよ。

3つの辺の長さがわかっていて、 $\cos$ を求める問題なので、余弦定理を使うのだろうと予想できます。ただ、一番大きな角がどれかは書かれていません。

しかし、先ほど示した「角の大小関係と辺の大小関係が一致する」という性質を使えば、「一番大きい角は、一番長い辺の対角である」ことがわかります。なので、 $\cos C$ を求めればいいということですね。

よって、余弦定理より、次のように求めることができます。
\begin{eqnarray} \cos \theta &=& \cos C \\[5pt] &=& \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \\[5pt] &=& \frac{4^2+5^2-6^2}{2\cdot 4\cdot 5} \\[5pt] &=& \frac{5}{40} \\[5pt] &=& \frac{1}{8} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これが答えです。

なお、このことから、この三角形は鋭角三角形であることがわかります。一番大きな角の余弦が正だからです。

おわりに

ここでは、三角形において、角の大小関係と向かい合う辺の大小関係とが一致することを見ました。イメージと合う内容なので、この事実は覚えやすいと思います。

特に、一番大きい角と一番長い辺が対応していることに注意しましょう。例題のように、しれっと使うことはよくあります。

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