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【導入】正弦定理・余弦定理を使えば何ができる?

これから、三角比の中でも特に重要な、正弦定理・余弦定理について見ていきます。ここでは、これらの定理を使えばどんなことができるようになるのか、を見ておきます。

📘 目次

正弦定理・余弦定理で何ができるか

中学数学で、三角形の合同条件というのがあったのを覚えているでしょうか。教科書によって少し文言は違いますが、次のような内容です。

三角形の合同条件
2つの三角形が次の条件のどれかを満たすとき、2つの三角形は合同である。
  • 3組の辺がそれぞれ等しい
  • 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
  • 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい

これは、見方を変えると、「3つの辺の長さを決めてしまえば、そのような三角形は1つしかないのだから、3つの角は決まる」とか「2つの辺とその間の角が決まれば、他の辺や角度も決まる」ということもできます。

ただ、他の辺の長さや角の大きさは「決まる」ものの、それが「求められる」のは、今までは特殊なケースに限られていました。辺の長さが $1:2:\sqrt{3}$ のときとか、直角二等辺三角形のときくらいしかなかったんですね。しかし、これから学ぶ正弦定理や余弦定理を使えば、一部の辺の長さや角の大きさから他の辺や角を求められるようになります。

正弦定理・余弦定理の紹介

それでは、具体的に正弦定理や余弦定理の内容を紹介しましょう。証明方法や詳しい使い方はあとまわしにしますが、ここでは、他の辺や角がなぜ求められるようになるか、だけ確認することにします。

定理の紹介の前に、文字のルールを紹介しておきます。以後、三角形の辺の長さや角の大きさがよく出てくるので、簡易的に書くことにします。三角形 $\mathrm{ABC}$ に対して、辺 $\mathrm{AB}$, $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$ の長さを、それぞれ、 $c,a,b$ と書き、角 $\angle \mathrm{ CAB }$, $\angle \mathrm{ ABC }$, $\angle \mathrm{ BCA }$ の大きさを、それぞれ、 $A,B,C$ と書くことにします。

$\mathrm{ AB }=c$ に少し違和感を覚えるかもしれませんが、「 $\angle \mathrm{ C }$ の向かいにある辺の長さが c 」と考えると、受け入れやすいと思います。

さて、これらを用いると、正弦定理・余弦定理は次のように書くことができます。

正弦定理
$\triangle \mathrm{ ABC }$ の外接円の半径を R とすると、次が成り立つ。\[ \frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R \]
余弦定理
$\triangle \mathrm{ ABC }$ に対し、次が成り立つ。
 $a^2=b^2+c^2 -2bc\cos A$
 $b^2=c^2+a^2 -2ca\cos B$
 $c^2=a^2+b^2 -2ab\cos C$

正弦定理は $\sin$ (正弦)を使った定理、余弦定理は $\cos$ (余弦)を使った定理なので、こういう名前がついています。どちらも、辺の長さと角(といっても三角比ですが)との関係式を表す内容です。そのため、一部の辺の長さや角の大きさが分かれば、他の辺や角を求めることができるようになるんですね。

おわりに

ここでは、正弦定理・余弦定理を使って何ができるかを見ました。三角形の他の辺の長さや角度の大きさを求めることができるようになるんですね。今後、定理の証明や使い方をじっくり見ていきましょう。

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