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【応用】三角比と三角形の形状

ここでは、三角比の関係式から、三角形の形状を答える問題を考えます。角度は考えづらいので、正弦定理や余弦定理を使って、三角比を辺による表現に変えて考えていきます。

なお、辺 $\mathrm{AB}$, $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$ の長さを、それぞれ、 $c,a,b$ と書き、角 $\angle \mathrm{ CAB }$, $\angle \mathrm{ ABC }$, $\angle \mathrm{ BCA }$ の大きさを、それぞれ、 $A,B,C$ と書くことにします。

📘 目次

例題1

例題
$\triangle \mathrm{ ABC }$ において、次の等式が成り立つとき、 $\triangle \mathrm{ ABC }$ はどんな三角形になるか答えなさい。
(1) $\cos A \sin B=\sin C$
(2) $a\cos A=b\cos B$

「どんな三角形になるか」と問われれば、二等辺三角形・正三角形・直角三角形・直角二等辺三角形のどれかが答えになることがほとんどです。どれも、辺の長さをチェックすれば確認できるし、三角比をそのまま扱うよりも辺を使った方が便利なことが多いので、正弦定理や余弦定理を用いて与えられた式を辺の長さで表すことを考えます。

まずは、(1)を考えます。 $\triangle \mathrm{ ABC }$ の外接円の半径を R とすると、正弦定理と余弦定理から、与えられた式は次のように変形できます。
\begin{eqnarray} \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} \times \frac{b}{2R} &=& \frac{c}{2R} \\[5pt] \frac{b^2+c^2-a^2}{2c} &=& c \\[5pt] b^2+c^2-a^2 &=& 2c^2 \\[5pt] b^2 &=& a^2+c^2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。このことから、「 $\triangle \mathrm{ ABC }$ は $\angle \mathrm{ B }=90^{\circ}$ の直角三角形である」ことがわかります。

どの角が直角なのかまでわかるので、単に「直角三角形」と答えるのではなく、「 $\angle \mathrm{ B }=90^{\circ}$ の直角三角形」と答えるようにしましょう。

例題2

例題
$\triangle \mathrm{ ABC }$ において、次の等式が成り立つとき、 $\triangle \mathrm{ ABC }$ はどんな三角形になるか答えなさい。
(2) $a\cos A=b\cos B$

(2)も同様です。余弦定理から、次のように計算できます。
\begin{eqnarray} a\times \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} &=& b\times \frac{a^2+c^2-b^2}{2ac} \\[5pt] a^2 (b^2+c^2-a^2) &=& b^2 (a^2+c^2-b^2) \\ \end{eqnarray}右辺の式全体を左辺に移行すると、 $a^2b^2$ が消えるので \begin{eqnarray} a^2 c^2-a^4 -b^2c^2 +b^4 &=& 0 \\ c^2(a^2-b^2) -(a^2-b^2)(a^2+b^2) &=& 0 \\ (a^2-b^2) (c^2 -a^2-b^2) &=& 0 \\ (a-b) (a+b) (c^2 -a^2-b^2) &=& 0 \\ \end{eqnarray}となります。 $a+b\gt 0$ なので、 $a-b=0$ または $c^2-a^2-b^2=0$ となります。前者の場合は、 $\mathrm{ AC }=\mathrm{ BC }$ の二等辺三角形となります。また、後者の場合は、 $c^2=a^2+b^2$ なので、 $\angle \mathrm{ C } = 90^{\circ}$ の直角三角形となります。

以上から、「 $\triangle \mathrm{ ABC }$ は、 $\mathrm{ AC }=\mathrm{ BC }$ の二等辺三角形、または、 $\angle \mathrm{ C } = 90^{\circ}$ の直角三角形である」ことがわかります。

おわりに

ここでは、三角比の関係式から、三角形の形状を答える問題を見ました。余弦定理や正弦定理を用いて、角度を辺の関係式で書き直すことがポイントでした。その後は、式をきれいにしていけば、答えにたどり着けるでしょう。

答えるときは、具体的に答えるようにしましょう。直角なのはどの角なのか、どの辺が等しいのか、までわかる場合は、それも書くようにしましょう。

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