【基本】双曲線と媒介変数表示(一般的な場合)
ここでは、双曲線の媒介変数表示について、最もシンプルな例を参考にして、一般の場合を考えてみます。
最もシンプルな双曲線の媒介変数表示の復習
【基本】双曲線と媒介変数表示(最もシンプルな場合)で見た内容を振り返ってみます。点の名前は少し変えています。
$\mathrm{ A }(1,0)$ を、原点を中心に $\theta$ だけ反時計回りに回転すると点 B に移動するとします。まずは $0\leqq \theta\lt \dfrac{\pi}{2}$ としておきます。
単位円の点 A での接線と直線 OB との交点を C とすると、 $\mathrm{ C }(1,\tan\theta)$ となります。また、点 B での接線と x 軸との交点を D とすると、 $\mathrm{ D }\left(\dfrac{1}{\cos\theta},0\right)$ となります。また、三角形 OAC と三角形 OBD は合同です。
ここで、 D と x 座標が等しく、 C と y 座標が等しい点を P とすると、
\begin{eqnarray}
\dfrac{1}{\cos^2\theta}-\tan^2\theta=1
\end{eqnarray}が成り立ちます(相互関係より)。よって、点 P は、双曲線 $x^2-y^2=1$ 上の点となります。
$\theta$ を動かせば、双曲線の第1象限内の点および点 A をすべてとりうることがわかります。また、対称性から、 $-\dfrac{\pi}{2}\lt \theta\lt 0$, $\dfrac{\pi}{2}\lt \theta\lt \dfrac{3\pi}{2}$ の場合も同様に双曲線 $x^2-y^2=1$ 上の点を表すこと、 $\theta$ を動かせば双曲線上の点をすべて表せることがわかります。
以上から、
\begin{eqnarray}
x &=& \frac{1}{\cos\theta} \\[5pt]
y &=& \tan\theta
\end{eqnarray}は、双曲線 $x^2-y^2=1$ の媒介変数表示となることがわかります。
一般的な双曲線の媒介変数表示
さて、上では最もシンプルな例で双曲線の媒介変数表示を考えましたが、一般的には双曲線は\[ \dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 \]で表されます(右辺が $-1$ の場合もありえますが、そのときは以下の議論で x と y を入れ替えましょう)。この場合にどうなるかを見ていきます。
これは、円と楕円のときの考え方と似ています。【基本】楕円と媒介変数表示では、円の場合に帰着できるように変換して考えました。ここでも同じように変換して考えます。
双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ 上の点 $\mathrm{ P }(x,y)$ に対し、次のように対応付けされる点 $\mathrm{ Q }(X,Y)$ を考えます。\[ X=\dfrac{x}{a},\ Y=\dfrac{y}{b} \]このとき、\[ X^2-Y^2=\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1 \]なので、点 Q は先ほど見た最もシンプルな双曲線の上にあることがわかります。
よって、$\theta$ を使って次のように表せます。\[ X=\frac{1}{\cos\theta},\ Y=\tan\theta \]これに、 P と Q との関係を合わせれば、\[ x=\frac{a}{\cos\theta},\ y=b\tan\theta \]となります。これが、双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の媒介変数表示となります。
例えば、 $\dfrac{x^2}{9}-\dfrac{y^2}{4}=1$ であれば、\[ x=\frac{3}{\cos\theta},\ y=2\tan\theta \]は媒介変数表示となります。結果だけを出すなら、 $\cos,\tan$ の相互関係の式になるように係数を決めればいいですね。
おわりに
ここでは、一般的な双曲線の媒介変数表示について見ました。円から楕円を考えたように、最もシンプルな双曲線の例を利用しました。円や楕円のときと違って、思いつきにくい形ですが、相互関係を利用して表せることを理解しておきましょう。