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【基本】高次方程式の解き方

ここでは、三次以上の方程式を因数定理を用いて解く方法を見ていきます。

📘 目次

高次方程式を解く

例題
次の方程式を解きなさい。
(1) $2x^3+x^2-12x+9=0$
(2) $x^4-x^3-x^2-x-2=0$

三次方程式や四次方程式を解く問題では、二次方程式のときのような解の公式は使いません。【基本】因数定理を用いて、一次式の因数を見つけて解くようにします。つまり、「 $x=a$ を代入して等式が成り立てば、元の式は $x-a$ で割り切れる」ことを利用して、因数分解をしていく、ということですね。

ただ、どんな値を代入するか、は無限通りありますよね。対象は複素数全体なので。しかし、基本的には

  • 定数項の約数 ÷ 最高次数の係数の約数
を試せばOKです。なぜこれでいいかは、この記事の後半で書くとして、普通はこれらを試すだけで解くことができます。といっても、まだ多いので、代入しやすいものから考えていきましょう。

(1)は定数項が $9$ で、最高次数は $2$ なので、代入する候補は、次のようになります。
\begin{eqnarray} & \pm9,\ \pm3,\ \pm1 \\[5pt] & \pm\frac{9}{2},\ \pm\frac{3}{2},\ \pm\frac{1}{2} \end{eqnarray}たくさんありますが、まずは $1$, $-1$ などから試していきましょう。

$x=1$ とすると、\[ 2+1-12+9=0 \]なので、成り立ちますね。このことから、 $x-1$ で左辺が割り切れることがわかります。【基本】筆算を使った整式の割り算のように、筆算を使って割り算をすると、次のようになることがわかります。
\begin{eqnarray} 2x^3+x^2-12x+9 &=& 0 \\[5pt] (x-1)(2x^2+3x-9) &=& 0 \end{eqnarray}さらに、【基本】たすき掛けを使った因数分解での内容を用いて、2つ目のカッコ内を因数分解すると、元の方程式は \begin{eqnarray} (x-1)(x+3)(2x-3)=0 \end{eqnarray}となります。このことから、それぞれのカッコ内が $0$ になるときを考えて\[ x=1,-3,\frac{3}{2} \]となります。どの解も上で挙げた候補に含まれていますが、簡単なものから入れていくほうが楽ですよね。「一次式×二次式」の形にできれば、二次式は必ず解けますからね。

続いて、(2)の\[ x^4-x^3-x^2-x-2=0\]について考えましょう。定数項が $-2$ で、最高次数は $1$ なので、代入する候補は
\begin{eqnarray} \pm2,\ \pm1 \end{eqnarray}です。 $x=1$ とすると\[ 1-1-1-1-2=-4 \]なのでダメですね。 $x=-1$ とすると\[ 1+1-1+1-2=0 \]なので、左辺は $x+1$ で割り切れることがわかります。実際に割ってみると\[ (x+1)(x^3-2x^2+x-2)=0 \]となります。

2つ目のカッコ内も因数分解しましょう。 $x=1$ を入れても $0$ にならないことはわかっているので代入する必要はありません。しかし、 $x=-1$ の方はもう1回入れて $0$ になる可能性はあります。が、\[ -1-2-1-2=-6 \]なのでダメですね。今回はダメでしたが、 $(x+1)^2$ を含む形に因数分解できる可能性があるので、もう一度試す必要はあります。

さて、続いて $x=2$ を入れると\[ 2^3-2\cdot 2^2+2-2=0 \]なので、 $x-2$ で割り切れることがわかります。このことから、筆算を使って割ってみると、\[ (x+1)(x-2)(x^2+1)=0 \]と変形できることがわかります。残りは二次式なので、解はわかりますね。このように因数分解できることから、解は\[ x=-1, 2, \pm i \]となることがわかります。

どうして約数を考えるといいのか

一般的に、三次方程式や四次方程式の場合、きれいに因数分解することができるとは限りません。しかし、上のように「高次方程式を解きなさい」という場合には、基本的には、きれいに因数分解できるはずです(でないと、解けないので)。

もし三次式を\[ (ax+b)(cx^2+dx+e) \]と因数分解できたら、最高次数は $acx^3$ で定数項は $be$ となります。よって、 a は最高次数の係数の約数で、 b は定数項の約数になるのではないか、と予想できます。

また、上のように因数分解することができれば、 $x=-\dfrac{b}{a}$ を代入すると、左辺は $0$ になります。

以上から、因数定理を使ってきれいに因数分解できる場合は、「定数項の約数 ÷ 最高次数の係数の約数」を試すとうまく行きます。

ただ、どんな高次方程式も因数定理を使って解けるわけではないことには注意しましょう。例えば、二次式の積になる場合などは、因数定理以外のテクニックが必要になります。

おわりに

ここでは、因数定理を使って、高次方程式を解く問題を考えました。定数項の約数を最高次数の係数の約数で割ったものを代入して、因数定理を使うことを考えましょう。

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