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【基本】筆算を使った整式の割り算

ここでは、筆算を使って、「整式÷整式」の計算をしてみます。

📘 目次

因数分解と割り算

展開や因数分解に出てくる「3乗足す3乗」の公式を使うと、\[ (x+1)(x^2-x+1)=x^3+1 \]が得られます。左辺から右辺に変形するのが「展開」で、逆の方向に変形するのが「因数分解」ですね。

一方、小学生の時に、\[ 4 \times 7 = 28 \]という式から\[ 28 \div 7=4 \]と変形して、掛け算と割り算の関係を学びました。

これと上の展開・因数分解の式を見比べると「 $x^3+1$ を $x^2-x+1$ で割った答えが $x+1$ になる」と考えることもできます。つまり、因数分解は、式の割り算と考えることもできるわけです。

筆算を使った整式の割り算

難しい割り算を行う場合、筆算を使いますね。式の割り算の場合も、同じように筆算を使うことができます。実際に、筆算を使って $x^3+1$ を $x^2-x+1$ で割ってみましょう。

まず、数の筆算のときと同じように、次のように書きます。
\begin{array}{r} \\ x^2-x+1 \ \overline{ ) \ x^3 \color{White}{+0x^2} \color{White}{+0x} {\color{Black}+1} } \\ \end{array}

$x^3$ と $+1$ の間にスペースが空いていますが、これは $x^2$ や $x$ の項にあたる部分です。今はありませんが、あとの計算で使うのでスペースを空けています。

次に、先頭の文字 $x^3$ を消すことを考えます。これを消すには、 $x^2-x+1$ に $x$ を掛ければいいですね。そのため、まず上に $x$ と書きます。
\begin{array}{r} \color{Red}{x} \color{White}{+1}\\ x^2-x+1 \ \overline{ ) \ x^3 \color{White}{+0x^2} \color{White}{+0x} {\color{Black}+1} } \\ \end{array}

続いて、 $x^2-x+1$ と $x$ との積を、いつもの割り算の筆算のときのように書きます。
\begin{array}{r} x\color{White}{+1}\\ x^2-x+1 \ \overline{ ) \ x^3 \color{White}{-0x^2} \color{White}{+0x} {\color{Black}+1} } \\ \underline{ \color{Red}{x^3 -x^2+x} \color{White}{-1} } \\ \end{array}

上の式から下の式を引いて、さらに $+1$ も下げてきます。
\begin{array}{r} x\color{White}{+1}\\ x^2-x+1 \ \overline{ ) \ x^3 \color{White}{-0x^2} \color{White}{+0x} \color{Black}{+1} } \\ \underline{ \color{Black}{ x^3 -x^2+x} \color{White}{-1} } \\ \color{White}{0x^3} \color{White}{+1} \color{Red}{ x^{2}} \color{Red}{ -x+1} \\ \end{array}

同じようにして、次は、引き算の結果の一番高い次数 $x^2$ を消すことを考えてみましょう。これは、割る式 $x^2-x+1$ に、 $1$ を掛ければいいですね。結果は次のようになります。
\begin{array}{r} x+1\\ x^2-x+1 \ \overline{ ) \ x^3 \color{White}{-0x^2} \color{White}{+0x} \color{Black}{+1} } \\ \underline{ \color{Black}{ x^3 -x^2+x} \color{White}{-1} } \\ \color{White}{0x^3} \color{White}{+1} \color{Black}{ x^{2}} \color{Black}{-x+1} \\ \underline{ \color{White}{0x^3} \color{White}{+1} \color{Black}{ x^{2}} \color{Black}{-x+1}} \\ 0 \end{array}余りは0となり、割り切れることがわかりました。 $x^3+1=(x+1)(x^2-x+1)$ と書けることがわかりましたね。

こうした筆算を使って、式の割り算を行うことができます。

おわりに

ここでは、筆算を使って、式の割り算をしてみました。今回は割り切れる例でしたが、もちろん割り切れないこともあります。実際に式を式で割る場合には、この筆算を使った計算は基本なので、使えるようになっておきましょう。

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