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【基本】正負の数の除法

ここでは、正の数や負の数の割り算について見ていきます。

📘 目次

割り算って何だっけ?

【基本】正負の数の減法では、負の数の減法(引き算)を考えるために、算数でどういうときに引き算を使っていたかを考えました。「どんな数に○を足せば、□になるか」を、「□-○」という引き算で表していたことを利用して、負の数の引き算を数直線で考えたのでしたね。

割り算の場合も、これと似た発想で考えてみましょう。割り算は、次のような問題で出てきましたね。

 「12kmの道を歩くのに3時間かかりました。このときの歩く速さは時速何kmですか?」

これを求めるには、割り算を使って、 $12\div3=4$ と計算します。こうして、時速4kmと求められます。速さと時間を掛ければ距離が出てくるので、「何に3を掛ければ、12になるか」を求めるために、割り算を使っているのでした。

「□÷○」という割り算は、「どんな数に○を掛ければ、□になるか」を表しています。この考え方を利用して、負の数の割り算を見ていきましょう。

なお、割り算のことを、除法(division) や除算といいます。割り算の結果のことを、(quotient) といいます。

負の数を正の数で割る場合

まずは、負の数を正の数で割る場合を考えてみましょう。

$(-8)\div(+2)$ を考えてみます。これは、先ほどの考えを使うと、「何に $+2$ を掛ければ、 $-8$ になるか」を表していると考えられます。

正の数や負の数の積は、絶対値の積に符号をつけて求めるのでした(参考:【基本】正負の数の乗法の性質)。まず、符号について考えると、積が負の数になるのは、異符号のときなので、「$-8$ になるのは、負の数に $+2$ を掛けたときだ」とわかります。

数字の部分は、単純に「何に $2$ を掛ければ $8$ になるか」を考えればよく、 $8\div 2=4$ と求められます。

以上から、\[ (-8)\div (+2)=-4 \]となります。この計算の流れからもわかる通り、数字の部分(絶対値)の割り算をして、マイナスをつければ、答えになります。

負の数で割る場合

次に、正の数を負の数で割る場合を考えてみましょう。

$(+6)\div(-3)$ を考えてみます。これも「何に $-3$ を掛ければ、 $+6$ になるか」と考えます。

先ほどと同じように考えると、数字の部分は、「何に $3$ を掛ければ $6$ になるか」を考えればよく、 $6\div 3=2$ と求められます。また、積の符号がプラスなので、 $-3$ と同じ符号の数字を掛けないといけません。なので、 $+6$ は、負の数と $-3$ との積であることがわかります。

以上から、\[ (+6)\div (-3)=-2 \]となります。この場合も、数字の部分(絶対値)の割り算をして、マイナスをつければ、答えになります。

最後に、負の数を負の数で割る場合を考えましょう。

$(-10)\div(-5)$ を考えてみます。「何に $-5$ を掛ければ、 $-10$ になるか」と考えます。

数字の部分は、「何に $5$ を掛ければ $10$ になるか」を考えればよく、 $10\div 5=2$ と求められます。また、積の符号がマイナスなので、 $-5$ と異なる符号でないといけません。なので、 $-10$ は、正の数と $-5$ との積であることがわかります。

以上から、\[ (-10)\div (-5)=2 \]となります。数字の部分(絶対値)の割り算をして、プラスをつければ、答えになります。

ここまでの内容をよく見てみると、数字の部分(絶対値)の割り算をした後、符号を考えればいいことがわかりますね。符号は、積のときと同じく、同符号なら商はプラス、異符号なら商はマイナスとなります。

正負の数の除法
同符号の数の商は、絶対値の商に正の符号をつけたもの。
異符号の数の商は、絶対値の商に負の符号をつけたもの。

例題

例題
次の計算をしましょう。
(1) $48\div(-6)$
(2) $(-12)\div(-4)$
(3) $(-10.2)\div 1.7$

絶対値の商を計算して、あとで符号を考えればいいです。(1)は異符号の数の商なので、負の数になります。\[ 48\div(-6)=-8 \]となります。

(2)は、同符号の数の商なので、商は正の数になります。\[ (-12)\div(-4)=3 \]となります。

(3)は、異符号の数の商なので、商は負の数になります。小数でも、数の部分の計算は、算数でやったとき同じです。\[ (-10.2)\div 1.7=-6 \]となります。

分子や分母が負の数である分数

$\dfrac{-2}{5}$ は、 $-2$ を $5$ で割ったものを表しているので、 $-\dfrac{2}{5}$ と同じです。また、 $\dfrac{2}{-5}$ は、 $2$ を $-5$ で割ったものを表しているので、これも $-\dfrac{2}{5}$ となります。分母や分子にあるマイナスは、分数の前に出すことができます。

$\dfrac{-2}{-5}$ は、 $-2$ を $-5$ で割ったものを表しています。同符号なので、商は正の数だから、これは $\dfrac{2}{5}$ となります。

こうした分数の登場頻度は少なめです。もし見かけたら、分数を割り算で表してから考えるようにしましょう。

おわりに

ここでは、正の数や負の数の除法について見てきました。数の部分(正確には、絶対値)の割り算をした後、符号を考えればいいのでした。同符号の商ならプラス、異符号の商ならマイナスになります。符号の部分は、積のときと共通です。

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