【基本】正負の数の乗法の性質

ここでは、正の数や負の数の乗法の性質、掛ける順番に関する性質などを見ていきます。

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正負の数の乗法の復習

【基本】正負の数の乗法(規則性から考える)【基本】正負の数の乗法(移動で考える)で見た通り、正の数や負の数の積(掛け算の結果)は、次のように計算します。

 同符号の数の積は、絶対値の積に正の符号をつけたもの。

 異符号の数の積は、絶対値の積に負の符号をつけたもの。

例えば、$(-6)\times(+2)=-12$ となり、 $\left(-\dfrac{1}{2}\right)\times\left(-\dfrac{2}{3}\right) =\dfrac{1}{3}$ となります。数字の部分をそのまま計算して、符号が同じならプラスを、違うならマイナスをつければ、答えになります。

以下では、乗法の性質を見ていきます。

正の数や負の数の乗法と0

数には、正の数と負の数以外に、 $0$ もあります。 $0$ を掛けた場合はどうなるでしょうか。

答えを書くと、 $0$ を掛ければ、答えは必ず $0$ になります。【基本】正負の数の乗法(規則性から考える)の説明の途中で、負の数と $0$ との積が $0$ となることが出ています。

また、【基本】正負の数の乗法(移動で考える)の見たように、「移動」を用いて考えるなら、「時速 $0$ kmで動く=今の場所から動かない」とか「今から $0$ 時間後の位置=今の場所」と考えれば、 $0$ を掛けた結果が $0$ となることがわかるでしょう。

正の数や負の数の乗法とマイナス1

$-1$ に正の数や負の数を掛けた結果を見てみましょう。

$(-1)\times(+4)$ であれば、符号が違うので、 $-4$ となります。

$(-1)\times(-3)$ であれば、符号が同じので、 $3$ となります。

どちらの場合も、 $(-1)$ に何かを掛けることは、符号を変えることに対応することがわかります。

また、【基本】正負の数の減法と加法の関係で見たように、正の数や負の数を引くことは、符号を変えて足すことと同じでした。つまり、 $-(+4)=-(+4)=-4$ であり、 $-(-3)=+(+3)=3$ ということです。これらを、先ほど見た $-1$ との積と見比べれば、結果が同じであることがわかります。

このことから、 $-4$ は $(-1)\times 4$ と同じであり、 $-(-3)$ は、 $(-1)\times (-3)$ の同じです。一般的に、数字の前についているマイナスは、 $-1$ との積だと考えることができます。

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乗法の交換法則

【基本】正負の数の加法の性質で加法の交換法則や結合法則について見ました。これらは、乗法でも成り立ちます。

交換法則というのは、計算する順番を入れ替えても、結果が同じ、という性質のことです。例えば、 $(-3)\times(+4)$ の答えと、 $(+4)\times(-3)$ の答えを考えてみましょう。どちらも、 $-12$ になりますね。

上の例以外でも、掛け算の前後にある数字を入れ替えて、答えが変わることはありません。正の数や負の数の乗法は、絶対値の積を考え、同符号か異符号かに応じて符号をつければいいのでした。絶対値の積とは、上の例でいえば、 $3\times 4$ と $4\times 3$ のことであり、これが同じであることは算数でも見た通りです。同符号か異符号かは、順番を変えても変わりません。なので、積も同じになります。

掛けられる数と掛ける数を入れ替えても、積は変わりません。この性質を、乗法の交換法則(commutative law of multiplication) といいます。

乗法の結合法則

ここまでは、2つの数の積を考えてきましたが、3つ以上の数の積を計算する場面もあります。この場合、基本的には、前から計算していきますが、後ろから計算したい場合もあるでしょう。例えば\[ (-15)\times(+25)\times(-4) \]を計算してみましょう。

前から計算すると、 $(-15)\times(+25)=-375$ となり、 $(-375)\times(-4)=1500$ となります。大変ですね。

後ろから先に計算すると、 $(+25)\times(-4)=-100$ なので、 $(-15)\times(-100)=1500$ となり、だいぶ楽になります。しかも、答えは同じですね。

一般的に、3つ以上の数の積は、どの掛け算から計算しても、答えは同じになります。この性質を、乗法の結合法則(associative law of multiplication) といいます。

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例題

例題
次の計算をしましょう。

(1) $17\times (-12) \times \dfrac{1}{6}$
(2) $(-4)\times(-3)\times 25$

(1)は、後ろから計算したほうが簡単そうですね。
\begin{eqnarray}
& &
17\times (-12) \times \dfrac{1}{6} \\[5pt] &=&
17\times \left\{(-12) \times \dfrac{1}{6}\right\} \\[5pt] &=&
17\times (-2) \\[5pt] &=&
-34
\end{eqnarray}となります。ここでは丁寧に書いていますが、2行目をとばして計算しても構いません。

(2)は、順番を入れ替えて、 $-4$ と $25$ との積から計算した方がいいでしょう。
\begin{eqnarray}
& &
(-4)\times(-3)\times 25 \\[5pt] &=&
(-3)\times(-4)\times 25 \\[5pt] &=&
(-3)\times\{(-4)\times 25\} \\[5pt] &=&
(-3)\times(-100) \\[5pt] &=&
300
\end{eqnarray}となります。これも丁寧に書いていますが、慣れてくれば、2行目と3行目をとばして計算しても構いません。

おわりに

ここでは、正の数や負の数の乗法に関して、いくつかの性質を見てきました。計算をするときには、交換法則や結合法則を使って簡略化できないか、考えるようにしましょう。