共通テスト 数学II・数学B 2021年度 第4問 解説
【第3問~第5問から2問選択】
問題編
問題
初項 $3$、公差 $p$ の等差数列を $\{a_n\}$ とし、初項 $3$ 、公比 $r$ の等比数列を $\{b_n\}$ とする。ただし、 $p\ne 0$ かつ $r\ne 0$ とする。さらに、これらの数列が次を満たすとする。\[ a_nb_{n+1}-2a_{n+1}b_n+3b_{n+1}=0\quad(n=1,2,3,\cdots)\ \cdots① \]
(1) $p$ と $r$ の値を求めよう。自然数 $n$ について、 $a_n$, $a_{n+1}$, $b_n$ はそれぞれ
\begin{eqnarray} a_n &=& \myBox{ア}+(n-1)p \quad\cdots② \\[5pt] a_{n+1} &=& \mybox{ア}+np \quad\cdots③ \\[5pt] b_n &=& \myBox{イ}r^{n-1} \end{eqnarray}と表される。 $r\ne 0$ により、すべての自然数 $n$ について、 $b_n\ne 0$ となる。 $\dfrac{b_{n+1} }{b_n}=r$ であることから、①の両辺を $b_n$ で割ることにより\[ \myBox{ウ}a_{n+1}=r \left(a_n+\myBox{エ}\right) \quad\cdots④ \]が成り立つことがわかる。④に②と③を代入すると\[ \left(r-\myBox{オ}\right)pn = r\left(p-\myBox{カ}\right)+\myBox{キ} \quad\cdots⑤ \]となる。⑤がすべての $n$ で成り立つことおよび $p\ne 0$ により、 $r=\mybox{オ}$ を得る。さらに、このことから、 $p=\myBox{ク}$ を得る。 以上から、すべての自然数 $n$ について、 $a_n$ と $b_n$ が正であることもわかる。(2) $p=\mybox{ク}$, $r=\mybox{オ}$ であることから、 $\{a_n\}$, $\{b_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和は、それぞれ次の式で与えられる。
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^n a_k &=& \frac{\myBox{ケ} }{\myBox{コ} } n\left(n+\myBox{サ}\right) \\[5pt] \sum_{k=1}^n b_k &=& \myBox{シ}\left(\mybox{オ}^n-\myBox{ス}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}(3) 数列 $\{a_n\}$ に対して、初項 $3$ の数列 $\{c_n\}$ が次を満たすとする。\[ a_nc_{n+1}-4a_{n+1}c_n +3c_{n+1}=0\quad(n=1,2,3,\cdots)\ \cdots⑥\]
$a_n$ が正であることから、⑥を変形して、 $c_{n+1}=\dfrac{\myBox{セ}a_{n+1} }{a_n+\myBox{ソ} }c_n$ を得る。さらに、 $p=\mybox{ク}$ であることから、数列 $\{c_n\}$ は $\myBox{タ}$ ことがわかる。
$\mybox{タ}$ の解答群
0: すべての項が同じ値をとる数列である
1: 公差が0でない等差数列である
2: 公比が1より大きい等比数列である
3: 公比が1より小さい等比数列である
4: 等差数列でも等比数列でもない(4) $q,u$ が定数で、 $q\ne 0$ とする。数列 $\{b_n\}$ に対して、初項 $3$ の数列 $\{d_n\}$ が次を満たすとする。\[ d_nb_{n+1}-qd_{n+1}b_n+ub_{n+1}=0\quad(n=1,2,3,\cdots)\ \cdots⑦ \]
$r=\mybox{オ}$ であることから、⑦を変形して $d_{n+1}=\dfrac{\myBox{チ} }{q}(d_n+u)$ を得る。したがって、数列 $\{d_n\}$ が、公比が 0 より大きく 1 より小さい等比数列となるための必要十分条件は、 $q\gt \myBox{ツ}$ かつ $u=\myBox{テ}$ である。
考え方
見た目はめんどくさそうですが、誘導の通りに式変形をしていくだけです。数列とあまり関係のない式変形も多いです。
解答編
問題
初項 $3$、公差 $p$ の等差数列を $\{a_n\}$ とし、初項 $3$ 、公比 $r$ の等比数列を $\{b_n\}$ とする。ただし、 $p\ne 0$ かつ $r\ne 0$ とする。さらに、これらの数列が次を満たすとする。\[ a_nb_{n+1}-2a_{n+1}b_n+3b_{n+1}=0\quad(n=1,2,3,\cdots)\ \cdots① \]
(1) $p$ と $r$ の値を求めよう。自然数 $n$ について、 $a_n$, $a_{n+1}$, $b_n$ はそれぞれ
\begin{eqnarray} a_n &=& \myBox{ア}+(n-1)p \quad\cdots② \\[5pt] a_{n+1} &=& \mybox{ア}+np \quad\cdots③ \\[5pt] b_n &=& \myBox{イ}r^{n-1} \end{eqnarray}と表される。
解説
$\{a_n\}$ は初項が $3$ で公差が $p$ の等差数列なので、\[ a_n=3+(n-1)p \]であり、\[a_{n+1}=3+np\]となります。また、 $\{b_n\}$ は初項が $3$ で公比が $r$ の等比数列なので、\[ b_n=3r^{n-1} \]となります。
解答
アイ:33
解答編 つづき
$r\ne 0$ により、すべての自然数 $n$ について、 $b_n\ne 0$ となる。 $\dfrac{b_{n+1} }{b_n}=r$ であることから、①の両辺を $b_n$ で割ることにより\[ \myBox{ウ}a_{n+1}=r \left(a_n+\myBox{エ}\right) \quad\cdots④ \]が成り立つことがわかる。④に②と③を代入すると\[ \left(r-\myBox{オ}\right)pn = r\left(p-\myBox{カ}\right)+\myBox{キ} \quad\cdots⑤ \]となる。⑤がすべての $n$ で成り立つことおよび $p\ne 0$ により、 $r=\mybox{オ}$ を得る。さらに、このことから、 $p=\myBox{ク}$ を得る。
以上から、すべての自然数 $n$ について、 $a_n$ と $b_n$ が正であることもわかる。
解説
条件より $r\ne 0$ なので、 $b_n\ne 0$ です。また、 $\dfrac{b_{n+1} }{b_n}=r$ なので、①の両辺を $b_n$ で割ると
\begin{eqnarray}
\frac{a_nb_{n+1} }{b_n}-2a_{n+1}+\frac{3b_{n+1} }{b_n} &=& 0 \\[5pt]
ra_n-2a_{n+1}+3r &=& 0 \\[5pt]
2a_{n+1} &=& r(a_n+3) \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立つことがわかります。これに②と③を代入すると
\begin{eqnarray}
2(3+np) &=& r\{3+(n-1)p + 3\} \\[5pt]
6+2np &=& r(6+np-p) \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。問題文を見ると、 $np$ を含むものをまとめているので
\begin{eqnarray}
(2-r)np &=& -6+r(6-p) \\[5pt]
(r-2)np &=& r(p-6)+6 \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立つことがわかります。
この式の左辺には $n$ があり、右辺にはないので、この式がすべての $n$ について成り立つなら、 $(r-2)p$ の部分は $0$ でないといけません。 $p\ne 0$ という条件から、 $r=2$ が得られます。
左辺は $0$ だから右辺も $0$ なので
\begin{eqnarray}
r(p-6)+6 &=& 0 \\[5pt]
2(p-6)+6 &=& 0 \\[5pt]
p-6+3 &=& 0 \\[5pt]
p &=& 3 \\[5pt]
\end{eqnarray}となることがわかります。
こうして、 $a_n=3n$, $b_n=3\cdot 2^{n-1}$ となることがわかります。
解答
ウエ:23
オカキ:266
ク:3
解答編 つづき
(2) $p=\mybox{ク}$, $r=\mybox{オ}$ であることから、 $\{a_n\}$, $\{b_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和は、それぞれ次の式で与えられる。
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^n a_k &=& \frac{\myBox{ケ} }{\myBox{コ} } n\left(n+\myBox{サ}\right) \\[5pt] \sum_{k=1}^n b_k &=& \myBox{シ}\left(\mybox{オ}^n-\myBox{ス}\right) \\[5pt] \end{eqnarray}
解説
一般項が求められているので、和も求められます。
\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^n a_k
&=&
\sum_{k=1}^n 3k \\[5pt]
&=&
\frac{3}{2}n(n+1)
\end{eqnarray}であり、
\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^n b_k
&=&
\sum_{k=1}^n 3\cdot 2^{k-1} \\[5pt]
&=&
3\cdot \frac{2^n-1}{2-1} \\[5pt]
&=&
3(2^n-1) \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。
解答
ケコサ:321
シス:31
解答編 つづき
(3) 数列 $\{a_n\}$ に対して、初項 $3$ の数列 $\{c_n\}$ が次を満たすとする。\[ a_nc_{n+1}-4a_{n+1}c_n +3c_{n+1}=0\quad(n=1,2,3,\cdots)\ \cdots⑥\]
$a_n$ が正であることから、⑥を変形して、 $c_{n+1}=\dfrac{\myBox{セ}a_{n+1} }{a_n+\myBox{ソ} }c_n$ を得る。さらに、 $p=\mybox{ク}$ であることから、数列 $\{c_n\}$ は $\myBox{タ}$ ことがわかる。
$\mybox{タ}$ の解答群
0: すべての項が同じ値をとる数列である
1: 公差が0でない等差数列である
2: 公比が1より大きい等比数列である
3: 公比が1より小さい等比数列である
4: 等差数列でも等比数列でもない
解説
⑥を変形すると
\begin{eqnarray}
a_nc_{n+1}-4a_{n+1}c_n +3c_{n+1} &=& 0 \\[5pt]
(a_n+3)c_{n+1} &=& 4a_{n+1}c_n \\[5pt]
c_{n+1} &=& \frac{4a_{n+1} }{a_n+3}c_n \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。 $a_n+3$ は正なので、割っても構いません。
ここで、 $a_n=3n$ を代入して
\begin{eqnarray}
c_{n+1} &=& \frac{4a_{n+1} }{a_n+3}c_n \\[5pt]
&=& \frac{4\cdot 3(n+1)}{3n+3}c_n \\[5pt]
&=& 4c_n \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
こうして、数列 $\{c_n\}$ は、初項が $3$ で公比が $4$ の等比数列になることがわかります。
解答
セソ:43
タ:2
解答編 つづき
(4) $q,u$ が定数で、 $q\ne 0$ とする。数列 $\{b_n\}$ に対して、初項 $3$ の数列 $\{d_n\}$ が次を満たすとする。\[ d_nb_{n+1}-qd_{n+1}b_n+ub_{n+1}=0\quad(n=1,2,3,\cdots)\ \cdots⑦ \]
$r=\mybox{オ}$ であることから、⑦を変形して $d_{n+1}=\dfrac{\myBox{チ} }{q}(d_n+u)$ を得る。したがって、数列 $\{d_n\}$ が、公比が 0 より大きく 1 より小さい等比数列となるための必要十分条件は、 $q\gt \myBox{ツ}$ かつ $u=\myBox{テ}$ である。
解説
$q\ne 0$ であることを使うと、⑦を変形して
\begin{eqnarray}
d_nb_{n+1}-qd_{n+1}b_n+ub_{n+1} &=& 0 \\[5pt]
-qd_{n+1}b_n &=& -d_nb_{n+1}-ub_{n+1} \\[5pt]
d_{n+1}b_n &=& \frac{d_nb_{n+1}+ub_{n+1} }{q} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。また、 $b_n=3\cdot 2^{n-1}$ であるから、 $\dfrac{b_{n+1} }{b_n}=2$ なので、両辺を $b_n$ で割って
\begin{eqnarray}
d_{n+1}b_n &=& \frac{d_nb_{n+1}+ub_{n+1} }{q} \\[5pt]
d_{n+1} &=& \frac{2}{q}(d_n+u) \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
これが等比数列になるのは $u=0$ のときで、このときに限ります。このとき、公比は $\dfrac{2}{q}$ なので、公比が $0$ より大きく $1$ より小さくなるのは $q\gt 2$ のときであり、このときに限ります。
解答
チ:2
ツ:2
テ:0