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共通テスト 数学I・数学A 2022年度 第4問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【第3問~第5問から2問選択】

問題編

問題

(1) $5^4=625$ を $2^4$ で割ったときの余りは $1$ に等しい。このことを用いると、不定方程式\[ 5^4x-2^4y=1\quad \cdots ① \]の整数解のうち、 $x$ が正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{ア},\ y=\myBox{イウ} \]であることがわかる。

 また、①の整数解のうち、 $x$ が2桁の正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{エオ},\ y=\myBox{カキク} \]である。

(2) 次に $625^2$ を $5^5$ で割ったときの余りと $2^5$ で割ったときの余りについて考えてみよう。

 まず\[ 625^2=5^{\myBox{ケ} } \]であり、また、 $m=\mybox{イウ}$ とすると\[ 625^2=2^{\mybox{ケ} }m^2+2^{\myBox{コ} }m+1 \]である。これらより、 $625^2$ を $5^2$ で割ったときの余りと、 $2^5$ で割ったときの余りがわかる。(注:少し見にくいですが、ケ、コは、指数の部分です)

(3) (2)の考察は、不定方程式\[ 5^5x-2^5y=1\quad \cdots② \]の整数解を調べるために利用できる。

 $x,y$ を ② の整数解とする。 $5^5x$ は $5^5$ の倍数であり、$2^5$ で割ったときの余りは $1$ となる。よって、(2)により、 $5^5x-625^2$ は $5^5$ でも $2^5$ でも割り切れる。 $5^5$ と $2^5$ は互いに素なので、 $5^5x-625^2$ は $5^5\cdot 2^5$ の倍数である。

 このことから、② の整数解のうち、 $x$ が3桁の正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{サシス},\ y=\myBox{セソタチツ} \]であることがわかる。

(4) $11^4$ を $2^4$ で割ったときの余りは $1$ に等しい。不定方程式\[ 11^5x-2^5y=1 \]の整数解のうち、 $x$ が正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{テト},\ y=\myBox{ナニヌネノ} \]である。

考え方

よくある不定方程式から始まりますが、(2)の後半の式変形がどこからくるか、少しピンときにくいかもしれません。また、(3)も、問題文の内容を理解するのは少し難しいです。

(4)は(3)までの流れを踏まえて、一通り、自分でやってみましょう、という問題です。が、計算がハードすぎます。検算もしにくいので、本番では自信をもって解答するのは難しいと思います。


【第3問~第5問から2問選択】

解答編

問題

(1) $5^4=625$ を $2^4$ で割ったときの余りは $1$ に等しい。このことを用いると、不定方程式\[ 5^4x-2^4y=1\quad \cdots ① \]の整数解のうち、 $x$ が正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{ア},\ y=\myBox{イウ} \]であることがわかる。

 また、①の整数解のうち、 $x$ が2桁の正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{エオ},\ y=\myBox{カキク} \]である。

解説

特殊解を使って、不定方程式を解きます。

$625$ を $16$ で割ると、$625=16\cdot39+1$ だとわかります。これより、 $x=1$, $y=39$ は $5^4x-2^4y=1$ の解になります。 $5^4\cdot1-2^4\cdot39=1$ をこの ① の式から引けば、\[ 5^4(x-1)=2^4(y-39) \]となります。 $5^4$ と $2^4$ は互いに素なので、この不定方程式の整数解は、整数 $k$ を用いて\[ x=2^4k+1,\ y=5^4k+39 \]と表すことができます。

このことから、①の整数解のうち、 $x$ が正の整数で最小になるのは、 $k=0$ のときで、その解は $x=1$, $y=39$ と求められます。また、 $x$ が2桁の正の整数で最小になるのは $k=1$ のときで、その解は $x=17$, $y=664$ と求められます。

解答

ア:1
イウ:39
エオ:17
カキク:664

解答編 つづき

(2) 次に $625^2$ を $5^5$ で割ったときの余りと $2^5$ で割ったときの余りについて考えてみよう。

 まず\[ 625^2=5^{\myBox{ケ} } \]であり、また、 $m=\mybox{イウ}$ とすると\[ 625^2=2^{\mybox{ケ} }m^2+2^{\myBox{コ} }m+1 \]である。これらより、 $625^2$ を $5^2$ で割ったときの余りと、 $2^5$ で割ったときの余りがわかる。(注:少し見にくいですが、ケ、コは、指数の部分です)

解説

$625=5^4$ なので $625^2=(5^4)^2=5^8$ です。また、 $m=39$ とすると $625=2^4m+1$ なので
\begin{eqnarray} 625^2 &=& (2^4m+1)^2 \\[5pt] &=& 2^8m^2 +2\cdot 2^4m + 1 \\[5pt] &=& 2^8 m^2 +2^5m + 1 \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。

解答

ケ:8
コ:5

解答編 つづき

(3) (2)の考察は、不定方程式\[ 5^5x-2^5y=1\quad \cdots② \]の整数解を調べるために利用できる。

 $x,y$ を ② の整数解とする。 $5^5x$ は $5^5$ の倍数であり、$2^5$ で割ったときの余りは $1$ となる。よって、(2)により、 $5^5x-625^2$ は $5^5$ でも $2^5$ でも割り切れる。 $5^5$ と $2^5$ は互いに素なので、 $5^5x-625^2$ は $5^5\cdot 2^5$ の倍数である。

 このことから、② の整数解のうち、 $x$ が3桁の正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{サシス},\ y=\myBox{セソタチツ} \]であることがわかる。

解説

まずは、問題文に書いていることを理解していきます。

$x,y$ を ② の整数解とします。このとき $5^5x$ は、もちろん $5^5$ の倍数です。また、 $5^5x=2^5y+1$ と書けるので、 $5^5x$ を $2^5$ で割った余りは $1$ です。

(2)で見た通り、 $625^2$ は $5^8$ であり $5^5$ で割れるので、 $5^5x-625^2$ は $5^5$ で割り切れます。また、 $625^2=2^8 m^2 +2^5m + 1$ なので $2^5$ で割った余りは $1$ です。 $5^5x$ も $625^2$ も $2^5$ で割った余りが $1$ で等しいので、 $5^5x-625^2$ は $2^5$ でも割り切れます。こうして、 $5^5x-625^2$ が $5^5\cdot 2^5$ の倍数であることがわかります。これが問題文の第2段落に書いてある内容です。

このことから、
\begin{eqnarray} \frac{5^5x-625^2}{5^5\cdot 2^5} &=& \frac{5^5x-5^8}{5^5\cdot 2^5} =\frac{x-125}{32} \end{eqnarray}が整数になります。そのため、 $x-125$ が $32$ の倍数になることが必要です。

そのため、②の整数解で $x$ が3桁の正の整数で最小になる候補としては、 $x=125$ が考えられます。このときに対応する $y$ が整数とは限りませんが、計算してみると
\begin{eqnarray} 5^5x-1 &=& 5^8-1 =(5^4-1)(5^4+1)=624\cdot 626 \\[5pt] &=& 16\cdot 39\cdot 2\cdot 313 =2^5\cdot (39\cdot313) \end{eqnarray}となることから $y=39\cdot 313=12207$ となり、整数だとわかります。

こうして、 $x=125$, $y=12207$ が求める解だとわかります。

解答

サシス:125
セソタチツ:12207

解答編 つづき

(4) $11^4$ を $2^4$ で割ったときの余りは $1$ に等しい。不定方程式\[ 11^5x-2^5y=1 \]の整数解のうち、 $x$ が正の整数で最小になるのは\[ x=\myBox{テト},\ y=\myBox{ナニヌネノ} \]である。

解説

ここまでの話を、数字を変えてやってみましょう、という問題です。

$11^4$ を $2^4$ で割ったときの余りが $1$ であることは、直接割らなくても次のように確かめられます。
\begin{eqnarray} 11^4-1 &=& (11^2-1)(11^2+1)=120\cdot 122 \\[5pt] &=& 8\cdot 15\cdot 2\cdot 61= 2^4 \cdot 15\cdot 61 \end{eqnarray}このことから、\[ 11^4=2^4\cdot 15\cdot 61 +1 \]となることがわかります。 $n=15\cdot61$ とおけば、(2)のときと同じようにして\[ 11^8=2^8 n^2 +2^5n+1 \]となることがわかります。

$x,y$ が $11^5x-2^5y=1$ の整数解だとします。(3)と同じように考えます。まず、 $11^5x-11^8$ は $11^5$ の倍数であることがわかります。また、 $11^5x=2^5y+1$ であることと $11^8=2^8n^2+2^5n+1$ であることから、どちらも $2^5$ で割った余りが $1$ なので、 $11^5x-11^8$ は $2^5$ の倍数であることがわかります。 $11^5$ と $2^5$ は互いに素なので、$11^5x-11^8$ は $11^5\cdot 2^5$ の倍数だとわかります。

このことから、 $11^5x-11^8=11^5(x-1331)$ だから、 $x-1331$ は $2^5=32$ で割り切れる必要があります。 $1331$ を $32$ で割ると、余りは $19$ なので、 $x-19$ が $32$ の倍数だとわかります。

このようなもののうち、 $x$ が正の整数で最小になるのは $x=19$ ですが、これに対応する $y$ がどうなるかを確認します。\[ y=\frac{11^5\cdot 19 - 1}{2^5}=95624 \]となり、たしかに整数です(計算はすごく大変ですが)。よって、これが求める解だとわかります。

解答

テト:19
ナニヌネノ:95624

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