京都大学 理系 2006年度 第2問 解説
問題編
【問題】
点Oを原点とする座標空間の3点を$\mathrm{ A }(0,1,2)$、$\mathrm{ B }(2,3,0)$、$\mathrm{ P }(5+t,9+2t,5+3t)$とする。線分OPと線分ABが交点を持つような実数tが存在することを示せ。またそのとき、交点の座標を求めよ。
【考え方】
「線分OPと線分ABが交点を持つ」ということを、「ある点が線分OPの上にもあり、線分AB上にもある」と言い換えて考えていきます。交点の座標を2通りで出し、座標を比較すれば計算できます。
「tの存在を示せ」となっていますが、具体的にtの値が求まります。
解答編
【問題】
点Oを原点とする座標空間の3点を$\mathrm{ A }(0,1,2)$、$\mathrm{ B }(2,3,0)$、$\mathrm{ P }(5+t,9+2t,5+3t)$とする。線分OPと線分ABが交点を持つような実数tが存在することを示せ。またそのとき、交点の座標を求めよ。
【解答】
点Qを線分OP上の点とすると、$\mathrm{ OQ }:\mathrm{ QP }=s:1-s$となる$0\leqq s\leqq 1$が存在する。このとき、Qの座標は
\begin{eqnarray}
s(5+t,9+2t,5+3t) = ( s(5+t), s(9+2t), s(5+3t) )
\end{eqnarray}と書ける。
また、点Rを線分AB上の点とすると、$\mathrm{ AR }:\mathrm{ RB }=r:1-r$となる$0\leqq r\leqq 1$が存在する。このとき、Rの座標は
\begin{eqnarray}
(1-r)(0,1,2) + r(2,3,0)
&=&
( 2r, 1+2r, 2-2r )
\end{eqnarray}となる。
この2つが一致するとすると、次が成り立つ。
\begin{eqnarray}
s(5+t) &=& 2r &\cdots (1) \\
s(9+2t) &=& 1+2r &\cdots (2) \\
s(5+3t) &=& 2-2r &\cdots (3) \\
\end{eqnarray}
(1)を(2)に代入すると
\begin{eqnarray}
9s+2st &=& 1+5s+st \\
st+4s &=& 1 \cdots (4)
\end{eqnarray}
(1)を(3)に代入すると
\begin{eqnarray}
5s+3st &=& 2-5s-st \\
4st+10s &=& 2 \cdots (5)
\end{eqnarray}
(4)×4-(5)より、
\begin{eqnarray}
6s &=& 2 \\
s &=& \frac{1}{3}
\end{eqnarray}
これを(4)に代入すると、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{3}(t+4) &=& 1 \\
t+4 &=& 3 \\
t &=& -1 \\
\end{eqnarray}
これらを(1)に代入すると、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{3}(5-1) &=& 2r \\
r &=& \frac{2}{3} \\
\end{eqnarray}これらは、$0\leqq s,r\leqq 1$を満たす。
よって、$t=-1$のとき、線分OPと線分ABは交点を持つ。
そのときの交点は$( 2r, 1+2r, 2-2r )$なので、$\displaystyle \left( \frac{4}{3}, \frac{7}{3}, \frac{2}{3} \right)$となる。
【解答終】
【解説】
座標を2通りに表して比較する、という基本的な解き方で解けます。ひっかかるところも少なく、計算も難しいわけではありません。やさしめの問題です。