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京都大学 文系 2019年度 第1問 解説

(注:このサイトには載せていませんが、実際の入試では、この問題には常用対数表がついていました)

問題編

問題

 次の各問に答えよ。

問1 $a$ は実数とする。 $x$ に関する整式 $x^5+2x^4+ax^3+3x^2+3x+2$ を整式 $x^3+x^2+x+1$ で割ったときの商を $Q(x)$, 余りを $R(x)$ とする。 $R(x)$ の $x$ の1次の項の係数が $1$ のとき、 $a$ の値を定め、さらに $Q(x)$ と $R(x)$ を求めよ。

問2 $8.94^{18}$ の整数部分は何桁か。また最高位からの2桁の数字を求めよ。例えば、 $12345.6789$ の最高位からの2桁は $12$ を指す。

考え方

問1は、割り算をするだけです。計算自体も、それほど複雑ではありません。サイトではデザインの都合上、筆算を載せていませんが、筆算で計算するのが普通でしょう。余りの係数がわかっているだけでは、剰余の定理を使う場面はありません。具体的な式が与えられているので、素直に割りましょう。

問2は、常用対数表を使いこなせるかが問われています。入試では、問題を解くときに必要な値だけが与えられていることが多いので、常用対数表を見て驚いた人もいるでしょう。整数部分を求める問題は、受験問題ではよくある内容です。後半部分は少しマイナーですが、似たような不等式の評価であることに気づけば、それほど難しくはないでしょう。


解答編

問題

 次の各問に答えよ。

問1 $a$ は実数とする。 $x$ に関する整式 $x^5+2x^4+ax^3+3x^2+3x+2$ を整式 $x^3+x^2+x+1$ で割ったときの商を $Q(x)$, 余りを $R(x)$ とする。 $R(x)$ の $x$ の1次の項の係数が $1$ のとき、 $a$ の値を定め、さらに $Q(x)$ と $R(x)$ を求めよ。

解答

問1

割り算を行うと
\begin{eqnarray} & & x^5+2x^4+ax^3+3x^2+3x+2 \\[5pt] &=& (x^3+x^2+x+1)x^2 \\ & &+x^4+(a-1)x^3+2x^2+3x+2 \\[5pt] &=& (x^3+x^2+x+1)(x^2+x) \\ & &+(a-2)x^3+x^2+2x+2 \\[5pt] &=& (x^3+x^2+x+1)(x^2+x+a-2) \\ & &+(-a+3)x^2+(-a+4)x+(-a+4) \\[5pt] \end{eqnarray}である。条件より、 $R(x)$ の $x$ の1次の項の係数 $(-a+4)$ が $1$ なので、 $a=3$ である。よって、 $Q(x)=x^2+x+1$, $R(x)=x+1$ となる。

(問1終)

解答編 つづき

問題

問2 $8.94^{18}$ の整数部分は何桁か。また最高位からの2桁の数字を求めよ。例えば、 $12345.6789$ の最高位からの2桁は $12$ を指す。

解答

\[ 10^n \leqq 8.94^{18} \lt 10^{n+1} \]を満たす正の整数 $n$ を求める。この式の各辺について、 $10$ を底とする対数を考えると
\begin{eqnarray} n \leqq 18\log_{10} 8.94 \lt n+1 \end{eqnarray}である。ここで、常用対数表では $\log_{10}8.94$ に対応する箇所は $0.9513$ となっているので、\[ 18\times 0.9512 \lt 18\log_{10} 8.94 \lt 18\times 0.9514 \]であり、 $18\times 0.9512=17.1216$, $18\times 0.9514=17.1252$ なので、上の不等式を満たす整数 $n$ は、 $17$ であることがわかる。よって、 $8.94^{18}$ の整数部分は、 $18$ 桁である。

次に、\[ \frac{m}{10}\times 10^{17} \leqq 8.94^{18} \lt \frac{m+1}{10}\times 10^{17} \]を満たす、2桁の整数 $m$ を求める。左側の不等号から
\begin{eqnarray} \log_{10} \frac{m}{10}\times 10^{17} & \leqq & \log_{10} 8.94^{18} \\[5pt] & \lt & 17.1252 \\[5pt] \end{eqnarray}だから、 $\log_{10} \dfrac{m}{10}\leqq 0.1252$ となる値を常用対数表から探すと、 $m\lt 13.4$ であることがわかる。

右側の不等号から
\begin{eqnarray} \log_{10} \frac{m+1}{10}\times 10^{17} & \gt & \log_{10} 8.94^{18} \\[5pt] & \gt & 17.1216 \\[5pt] \end{eqnarray}だから、 $\log_{10} \dfrac{m+1}{10}\gt 0.1216$ となる値を常用対数表から探すと、 $m+1\gt 13.2$ 、つまり、 $m\gt 12.2$ であればよいことがわかる。

以上から、上の不等式を満たす整数 $m$ は $13$ であることがわかる。このことから、\[ 1.3 \times 10^{17} \leqq 8.94^{18} \lt 1.4 \times 10^{17} \]なので、 $8.94^{18}$ の最高位から2桁は $13$ であることがわかる。

以上から、整数部分は $18$ 桁で、最高位からの2桁の数字は $13$ である。

(問2終)

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