センター試験 数学II・数学B 2015年度 第3問 解説
問題編
問題
自然数 n に対し、$2^n$ の一の位の数を $a_n$ とする。また、数列 $\{b_n\}$ は\[ b_1=1, \quad b_{n+1} =\frac{a_nb_n}{4}\quad (n=1,2,3,\cdots) \quad \cdots ① \]を満たすとする。
(1) $a_1=2$、$a_2=\myBox{ア}$、$a_3=\myBox{イ}$、$a_4=\myBox{ウ}$、$a_5=\myBox{エ}$ である。このことから、すべての自然数 n に対して、$a_{\myBox{オ}}=a_n$ となることがわかる。 $\myBox{オ}$ に当てはまるものを、次の 0~4 のうちから一つ選べ。
0: $5n$
1: $4n+1$
2: $n+3$
3: $n+4$
4: $n+5$(2) 数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよう。①を繰り返し用いることにより\[ b_{n+4}=\frac{a_{n+3}a_{n+2}a_{n+1}a_{n} }{2^{^{\myBox{カ}}} }b_n \quad (n=1,2,3,\cdots) \]が成り立つことがわかる。ここで、$a_{n+3}a_{n+2}a_{n+1}a_{n}=3\cdot 2^{^{\myBox{キ}}}$ であることから、$b_{n+4} = \dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}b_n$ が成り立つ。このことから、自然数 k に対して
\begin{eqnarray} & & b_{4k-3} = \left(\frac{\myBox{コ}}{\myBox{サ}}\right)^{k-1} \\[5pt] & & b_{4k-2} = \frac{\myBox{シ}}{\myBox{ス}} \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{k-1} \\[5pt] & & b_{4k-1} = \frac{\myBox{セ}}{\myBox{ソ}} \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{k-1} \\[5pt] & & b_{4k} = \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{k-1} \end{eqnarray}である。(3) $\displaystyle S_n=\sum_{j=1}^n b_j$ とおく。自然数 m に対して\[ S_{4m} =\myBox{タ} \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^m -\myBox{チ} \]である。
(4) 積 $b_1 b_2 \cdots b_n$ を $T_n$ とおく。自然数 k に対して\[ b_{4k-3}b_{4k-2}b_{4k-1}b_{4k} = \frac{1}{\myBox{ツ}}\left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{\myBox{テ}(k-1)} \]であることから、自然数 m に対して\[ T_{4m} = \frac{1}{\mybox{ツ}^m}\left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{\myBox{ト}m^2 -\myBox{ナ}m} \]である。また、$T_{10}$ を計算すると、$T_{10} = \dfrac{3^{^{\myBox{ニ}}} }{2^{^{\myBox{ヌネ}}} }$ である。
考え方
計算量が多い上、数列が4種類に分かれるのでごちゃごちゃしやすいです。なかなか難易度の高い問題です。
(1)は、具体的に書いてみると、循環することがわかります。この循環することを使って、(2)を解いていきます。$\{b_n\}$ に関する式が4つ出来上がりますが、すべて公比が等しいことに着目して、(3)を計算していきます。
(4)は指数部分に「和の公式」を使う、という問題です。
解答編
問題
自然数 n に対し、$2^n$ の一の位の数を $a_n$ とする。また、数列 $\{b_n\}$ は\[ b_1=1, \quad b_{n+1} =\frac{a_nb_n}{4}\quad (n=1,2,3,\cdots) \quad \cdots ① \]を満たすとする。
(1) $a_1=2$、$a_2=\myBox{ア}$、$a_3=\myBox{イ}$、$a_4=\myBox{ウ}$、$a_5=\myBox{エ}$ である。このことから、すべての自然数 n に対して、$a_{\myBox{オ}}=a_n$ となることがわかる。 $\myBox{オ}$ に当てはまるものを、次の 0~4 のうちから一つ選べ。
0: $5n$
1: $4n+1$
2: $n+3$
3: $n+4$
4: $n+5$
解説
$2^n$ の一の位に注目すると、
\begin{eqnarray}
2 & \rightarrow 4 \rightarrow 8 \rightarrow 6 \rightarrow \\
& 2 \rightarrow 4 \rightarrow 8 \rightarrow \cdots
\end{eqnarray}と変化していくことがわかります。
このことから、4つ進むと元に戻ることもわかります。つまり、$a_{n+4}=a_n$ となります。
解答
アイウエ:4862オ:3
解答編 つづき
問題
(2) 数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよう。①を繰り返し用いることにより\[ b_{n+4}=\frac{a_{n+3}a_{n+2}a_{n+1}a_{n} }{2^{^{\myBox{カ}}} }b_n \quad (n=1,2,3,\cdots) \]が成り立つことがわかる。
解説
言われた通り、$b_{n+1} =\frac{a_nb_n}{4}$ を繰り返し用いてみます。すると、\begin{eqnarray} b_{n+4} &=& \frac{a_{n+3} }{4}b_{n+3} \\[5pt] &=& \frac{a_{n+3} }{4} \cdot \frac{a_{n+2} }{4} b_{n+2} \\[5pt] &=& \frac{a_{n+3} }{4} \cdot \frac{a_{n+2} }{4} \cdot \frac{a_{n+1} }{4} b_{n+1} \\[5pt] &=& \frac{a_{n+3} }{4} \cdot \frac{a_{n+2} }{4} \cdot \frac{a_{n+1} }{4} \cdot \frac{a_{n} }{4} b_{n} \\[5pt] &=& \frac{ a_{n+3} a_{n+2} a_{n+1} a_{n} }{ 2^8 } b_{n} \end{eqnarray}が導かれます。
解答
カ:8解答編 つづき
問題
ここで、$a_{n+3}a_{n+2}a_{n+1}a_{n}=3\cdot 2^{^{\myBox{キ}}}$ であることから、$b_{n+4} = \dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}b_n$ が成り立つ。
解説
数列 $\{a_n\}$ は、2、4、8、6、2、…、と繰り返されていく数列なので、どの $n$ に対しても、$\{a_{n}, a_{n+1}, a_{n+2}, a_{n+3}\}$ と $\{2,4,8,6\}$ の組は一致します(もちろん、順番が一致するとは限りません)。よって、
\begin{eqnarray}
a_{n+3} a_{n+2} a_{n+1} a_{n} &=& 2 \cdot 4 \cdot 8 \cdot 6 \\
&=& 2^1 \cdot 2^2 \cdot 2^3 \cdot ( 2^1 \cdot 3 ) \\
&=& 3\cdot 2^7
\end{eqnarray}となります。よって、
\begin{eqnarray}
b_{n+4}
&=& \frac{ a_{n+3} a_{n+2} a_{n+1} a_{n} }{ 2^8 } b_{n} \\[5pt]
&=& \frac{ 3\cdot 2^7 }{ 2^8 } b_{n} \\[5pt]
&=& \frac{ 3 }{ 2 } b_{n}
\end{eqnarray}となります。
解答
キ:7クケ:32
解答編 つづき
問題
このことから、自然数 k に対して
\begin{eqnarray} & & b_{4k-3} = \left(\frac{\myBox{コ}}{\myBox{サ}}\right)^{k-1} \\[5pt] & & b_{4k-2} = \frac{\myBox{シ}}{\myBox{ス}} \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{k-1} \\[5pt] & & b_{4k-1} = \frac{\myBox{セ}}{\myBox{ソ}} \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{k-1} \\[5pt] & & b_{4k} = \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{k-1} \end{eqnarray}である。
解説
先ほどの式「$b_{n+4}=\dfrac{ 3 }{ 2 } b_{n}$」からわかることは、数列$\{b_n\}$ は4つ飛ばしで見ると、公比が $\dfrac{3}{2}$ の等比数列になっている、ということです。数列$\{b_{4k-3}\}$ について考えると、これは初項が $b_1=1$ で、公比が $\dfrac{3}{2}$ の等比数列なので、
\begin{eqnarray}
b_{4k-3} &=& \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1}
\end{eqnarray}となります。
また、
\begin{eqnarray}
b_{4k-2}
&=&
\frac{ a_{4k-3} }{4} b_{4k-3} \\[5pt]
&=&
\frac{a_1}{4} \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \\[5pt]
&=&
\frac{ 1 }{ 2 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1}
\\ \\
b_{4k-1}
&=&
\frac{ a_{4k-2} }{4} b_{4k-2} \\[5pt]
&=&
\frac{a_2}{4} \cdot \frac{ 1 }{ 2 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \\[5pt]
&=&
\frac{ 1 }{ 2 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1}
\\ \\
b_{4k}
&=&
\frac{ a_{4k-1} }{4} b_{4k-1} \\[5pt]
&=&
\frac{a_3}{4} \cdot \frac{ 1 }{ 2 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \\[5pt]
&=&
\left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求めることができます。
解答
コサ:32シス:12
セソ:12
解答編 つづき
問題
(3) $\displaystyle S_n=\sum_{j=1}^n b_j$ とおく。自然数 m に対して\[ S_{4m} =\myBox{タ} \left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^m -\myBox{チ} \]である。
解説
$b_n$ に対し、初項から $4m$ 項目までを足す問題です。(2)で一般項を求めましたが、この答えを見ると、すべて「$k-1$乗」となっています。なので、4つずつ足していった方が効率がよさそうです。 \begin{eqnarray} \sum_{j=1}^{4m} b_j &=& \sum_{j=1}^{m} (b_{4j-3}+b_{4j-2}+b_{4j-1}+b_{4j}) \\ &=& \sum_{j=1}^{m} \left\{ \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} + \frac{1}{2}\left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} + \frac{1}{2}\left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} + \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \right\} \\[5pt] &=& 3 \sum_{j=1}^{m} \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \\[5pt] &=& 3 \frac{\left(\frac{3}{2}\right)^{m-1} -1 }{\frac{3}{2}-1} \\[5pt] &=& 6 \left(\frac{3}{2}\right)^{m-1} -6 \\[5pt] \end{eqnarray}と求めることができます。解答
タチ:66解答編 つづき
問題
(4) 積 $b_1 b_2 \cdots b_n$ を $T_n$ とおく。自然数 k に対して\[ b_{4k-3}b_{4k-2}b_{4k-1}b_{4k} = \frac{1}{\myBox{ツ}}\left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{\myBox{テ}(k-1)} \]であることから、自然数 m に対して\[ T_{4m} = \frac{1}{\mybox{ツ}^m}\left(\frac{\mybox{コ}}{\mybox{サ}}\right)^{\myBox{ト}m^2 -\myBox{ナ}m} \]である。また、$T_{10}$ を計算すると、$T_{10} = \dfrac{3^{^{\myBox{ニ}}} }{2^{^{\myBox{ヌネ}}} }$ である。
解説
\begin{eqnarray} & & b_{4k-3}b_{4k-2}b_{4k-1}b_{4k} \\ &=& \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \cdot \frac{ 1 }{ 2 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \cdot \frac{ 1 }{ 2 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1} \cdot \left( \frac{3}{2} \right) ^ {k-1}\\[5pt] &=& \frac{ 1 }{ 4 } \left( \frac{3}{2} \right) ^ {4(k-1)} \end{eqnarray}となります。$T_{4m}$ は上の式で、k が $1$ から m まで掛けることになります。このとき、$\dfrac{1}{4}$ は $m$ 個掛けることになります。一方、$\dfrac{3}{2}$ の個数は
\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^m 4(k-1)
&=&
4\cdot \frac{1}{2}m(m+1) -4m \\
&=&
2m^2-2m
\end{eqnarray}となります。よって、
\begin{eqnarray}
T_{4m} = \frac{1}{4^m} \left( \frac{3}{2} \right)^{2m^2-2m}
\end{eqnarray}となります。
$T_{10}$ は、この式で $m=2$ としたものに、$b_9$ と $b_{10}$ を掛ければ求めることができます。
\begin{eqnarray}
T_8
&=&
\frac{1}{4^2} \left( \frac{3}{2} \right)^{2\cdot 2^2-2\cdot 2} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2^4} \left( \frac{3}{2} \right)^4
\\\\
b_9
&=&
\left( \frac{3}{2} \right )^{3-1}
=
\left( \frac{3}{2} \right )^2
\\\\
b_{10}
&=&
\frac{1}{2}\left( \frac{3}{2} \right )^{3-1}
=
\frac{1}{2}\left( \frac{3}{2} \right )^2
\end{eqnarray}なので、
\begin{eqnarray}
T_{10}
&=&
T_8 \cdot b_9 \cdot b_{10} \\
&=&
\frac{1}{2^4} \left( \frac{3}{2} \right)^4
\cdot
\left( \frac{3}{2} \right )^2
\cdot
\frac{1}{2}\left( \frac{3}{2} \right )^2 \\
&=&
\frac{ 3^8 }{ 2^{13} }
\end{eqnarray}となります。
解答
ツテ:44トナ:22
ニヌネ:813