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センター試験 数学I・数学A 2017年度追試 第2問 [3] 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【必答問題】

問題編

問題

 A組 m 人とB組 n 人の生徒に対して行ったテストの得点を
  A組 $x_1,x_2,\cdots,x_m$
  B組 $y_1,y_2,\cdots,y_n$
と書く。各組の平均点を $\bar{x}$, $\bar{y}$, 分散を $S_A^2$, $S_B^2$ とする。また、A組とB組を合わせた $(m+n)$ 人の得点の平均点を $\bar{w}$, 分散を $S^2$ とする。これらの間に一般に成り立つ関係について調べる。
 A組の得点と $\bar{w}$ の差の2乗の和\[ (x_1-\bar{w})^2+(x_2-\bar{w})^2+\cdots+(x_m-\bar{w})^2 \]を、 $\bar{x}$, $S_A^2$, $\bar{w}$ を用いて表すと $\myBox{チ}$ である。ただし、 $S_A^2$ は\[ S_A^2=\frac{1}{m}(x_1^2+x_2^2+\cdots+x_m^2) -(\bar{x})^2 \]で計算できる。 $\mybox{チ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: $S_A^2+(\bar{x})^2+(\bar{w})^2$
 1: $S_A^2+(\bar{x}-\bar{w})^2$
 2: $mS_A^2+m\{(\bar{x})^2+(\bar{w})^2\}$
 3: $mS_A^2+m(\bar{x}-\bar{w})^2$

 A組とB組の生徒を合わせた $(m+n)$ 人の得点の分散 $S^2$ は $\myBox{ツ}$ に等しい。 $\mybox{ツ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。

 0: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 +(m+n) \{ (\bar{x}+\bar{y})^2 -(\bar{w})^2 \} }{m+n}$

 1: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 -(m+n) \{ (\bar{x})^2+(\bar{y})^2 -(\bar{w})^2 \} }{m+n}$

 2: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 -\{ m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 \} +(m+n)(\bar{w})^2 }{m+n}$

 3: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 +(m+n)(\bar{w})^2 }{m+n}$

 4: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 -(m+n)(\bar{w})^2 }{m+n}$

考え方

見た目で解く気がなくなりますが、実際に手を動かしてみると、やっぱり解く気がなくなります。文字のたくさん入った式の変形に慣れていないと、解ききることができません。

前半は、全部を展開する前に、一部分だけ展開し、それを各項足し合わせるとどうなるか、と考えたほうが解きやすいでしょう。

後半は、前半の結果を利用しながら解き進めていきます。しかし、平均の間にある関係に気づかなければ解けません。

抽象度が高く、難易度が高いです。


【必答問題】

解答編

問題

 A組 m 人とB組 n 人の生徒に対して行ったテストの得点を
  A組 $x_1,x_2,\cdots,x_m$
  B組 $y_1,y_2,\cdots,y_n$
と書く。各組の平均点を $\bar{x}$, $\bar{y}$, 分散を $S_A^2$, $S_B^2$ とする。また、A組とB組を合わせた $(m+n)$ 人の得点の平均点を $\bar{w}$, 分散を $S^2$ とする。これらの間に一般に成り立つ関係について調べる。
 A組の得点と $\bar{w}$ の差の2乗の和\[ (x_1-\bar{w})^2+(x_2-\bar{w})^2+\cdots+(x_m-\bar{w})^2 \]を、 $\bar{x}$, $S_A^2$, $\bar{w}$ を用いて表すと $\myBox{チ}$ である。ただし、 $S_A^2$ は\[ S_A^2=\frac{1}{m}(x_1^2+x_2^2+\cdots+x_m^2) -(\bar{x})^2 \]で計算できる。 $\mybox{チ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: $S_A^2+(\bar{x})^2+(\bar{w})^2$
 1: $S_A^2+(\bar{x}-\bar{w})^2$
 2: $mS_A^2+m\{(\bar{x})^2+(\bar{w})^2\}$
 3: $mS_A^2+m(\bar{x}-\bar{w})^2$

解説

一度に全部を展開するのは難しいので、まずは、 $i$ 番目を展開してみて、それを $1$ から $m$ まで足す、という順番で考えましょう。

$i$ 番目は、 $(x_i-\bar{w})^2$ なので、これを展開すると\[ x_i^2 -2x_i\bar{w}+(\bar{w})^2 \]が得られます。

これを $i=1$ から $i=m$ まで足した結果を考えましょう。まず、 $x_i^2$ の部分は、\[ x_1^2+x_2^2+\cdots+x_m^2 \]となることがわかります。ここは、問題文の「ただし」以降の部分から、\[ mS_A^2+m(\bar{x})^2 \]となることがわかります。(問題文の「ただし」以降の式の意味は、下の「参照」で挙げたページを参考にしてください。)

次に、 $-2x_i\bar{w}$ の部分を考えましょう。ここは\[ -2\bar{w}(x_1+x_2+\cdots+x_m) \]となります。このカッコの中は、 $x_1,x_2,\cdots,x_m$ の平均の $m$ 倍ですね。なので、この部分は、\[ -2\bar{w} \cdot m\bar{x} \]と書くことができます。

最後に、 $(\bar{w})^2$ の部分を考えましょう。ここは、 $m$ 回足すだけなので、 $m(\bar{w})^2$ となります。

以上から、次のように変形できることがわかります。
\begin{eqnarray} & & (x_1-\bar{w})^2+(x_2-\bar{w})^2+\cdots+(x_m-\bar{w})^2 \\[5pt] &=& mS_A^2+m(\bar{x})^2 -2\bar{w} \cdot m\bar{x} +m(\bar{w})^2 \\[5pt] &=& mS_A^2+m \{ (\bar{x})^2 -2\bar{w} \bar{x} +(\bar{w})^2 \} \\[5pt] &=& mS_A^2+m (\bar{x}-\bar{w})^2 \\[5pt] \end{eqnarray}

解答

チ:3

参考

解答編 つづき

問題

 A組とB組の生徒を合わせた $(m+n)$ 人の得点の分散 $S^2$ は $\myBox{ツ}$ に等しい。 $\mybox{ツ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。

 0: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 +(m+n) \{ (\bar{x}+\bar{y})^2 -(\bar{w})^2 \} }{m+n}$

 1: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 -(m+n) \{ (\bar{x})^2+(\bar{y})^2 -(\bar{w})^2 \} }{m+n}$

 2: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 -\{ m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 \} +(m+n)(\bar{w})^2 }{m+n}$

 3: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 +(m+n)(\bar{w})^2 }{m+n}$

 4: $\dfrac{mS_A^2+nS_B^2 +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 -(m+n)(\bar{w})^2 }{m+n}$

解説

分散は、「平均値との差の2乗の和を、値の個数で割る」ことで求められます。さきほどの チ の部分では、「平均値との差の2乗の和」の一部分を求めたことになります。同じようにB組についても、得点と平均値 $\bar{w}$ との差の2乗の和を求めなくてはいけません。

ただ、これは チ の結果を使いまわすことができます。 $x$ を $y$ に、 $m$ を $n$ に、 $S_A$ を $S_B$ にすればいいですね。一般的な状況で求めたのでこのような入れ替えができます。

結果的に、「平均値との差の2乗の和」は、次のようになります。
\begin{eqnarray} & & mS_A^2+m (\bar{x}-\bar{w})^2 +nS_B^2+n (\bar{y}-\bar{w})^2 \\[5pt] &=& mS_A^2+nS_B^2 \\ & & +m(\bar{x})^2-2m\bar{x}\bar{w}+m(\bar{w})^2 \\ & & +n(\bar{y})^2-2n\bar{y}\bar{w}+n(\bar{w})^2 \\[5pt] \end{eqnarray}これを、人数である $(m+n)$ で割ったものが分散ですが、選択肢の中にないですね。 $\bar{x}\bar{w}$, $\bar{y}\bar{w}$ を含んでいる選択肢がないので、さらに変形が必要です。

この部分 $\bar{x}\bar{w}$, $\bar{y}\bar{w}$ についてもう少し考えてみましょう。A組の平均、B組の平均、2つの組の平均について、どんな関係が言えるでしょうか。「A組の点数の和とB組の点数の和を足すと、2組の点数の和」になる、という関係がありますね。これを式で表せば、\[ m\bar{x}+n\bar{y}=(m+n)\bar{w} \]となります。これを用いて、上の式をさらに変形してみましょう。
\begin{eqnarray} & & mS_A^2+nS_B^2 \\ & & +m(\bar{x})^2-2m\bar{x}\bar{w}+m(\bar{w})^2 \\ & & +n(\bar{y})^2-2n\bar{y}\bar{w}+n(\bar{w})^2 \\[5pt] &=& mS_A^2+nS_B^2 \\ & & +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 \\ & & -2\bar{w}(m\bar{x}+n\bar{y}) \\ & & +(m+n)(\bar{w})^2 \\[5pt] &=& mS_A^2+nS_B^2 \\ & & +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 \\ & & -2\bar{w} \times (m+n)\bar{w} \\ & & +(m+n)(\bar{w})^2 \\[5pt] &=& mS_A^2+nS_B^2 \\ & & +m(\bar{x})^2+n(\bar{y})^2 \\ & & -(m+n)(\bar{w})^2 \\[5pt] \end{eqnarray}これを $m+n$ で割ったものが求める分散なので、選択肢4が答えだとわかります。

解答

ツ:4

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