【標準】高次方程式の解き方
ここでは、因数定理が使えない高次方程式の解き方を見ていきます。2乗の部分を別の文字で置き換えて解く方法を見ていきます。
置き換えて高次方程式を解く
このような四次方程式の場合、解の公式を使って解くわけではありません。簡単なものの場合、【基本】高次方程式の解き方で見たように、因数定理を使って解きます。
いくつか値を代入して、左辺が $0$ になるものを見つければいいんでしたね。代入する値は、定数項の約数を最高次数の係数の約数で割ったものです。最高次数の係数は $1$ なので、 $\pm1$, $\pm2$, $\pm3$, $\pm6$ を入れていけばいいんだな、とわかります。
しかし、そもそもよくみてみると、\[ x^4+5x^2+6=0 \]の左辺は、 $x^4$, $x^2$ と $6$ しかありません。 $x$ にどんな実数を入れても、どれも0以上で、足して0になることはありません。つまり、上に挙げた候補の数字を代入しなくても「左辺が0になることはない」ということがわかります。
これは、「この問題では因数定理は使えない」ということです。別の方法を考えなくてはいけません。
ただ、 $x^4$, $x^2$ があることから、 $t=x^2$ として二次方程式に変形できるのではないか、という予想ができます。このように置き換えると、\[ t^2+5t+6=0 \]となります。こうなれば、左辺は簡単に因数分解をすることができます。\[ (t+2)(t+3)=0 \]となります。ここで、変数を元に戻して\[ (x^2+2)(x^2+3)=0 \]となります。これより、
\begin{eqnarray}
& x^2+2=0 ,\ x^2+3=0 \\[5pt]
& x = \pm\sqrt{2}i, \pm\sqrt{3}i \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。これが答えです。
因数定理を使おうと思ったら、 $x=\sqrt{2}i$ などを代入しないと答えにたどりつけないということですが、普通はこんな値を代入しようと思いつくことはできません。なので、「定数項の約数を最高次数の係数の約数で割ったもの」を代入してもダメなら、因数定理を使うことをあきらめて、他の解き方を考えたほうがいいでしょう。ここで紹介した方法は、因数定理が使えなかった時に検討する手段の1つです。
高次方程式の場合、一次方程式や二次方程式のような「こうすれば解ける」という決まった方法はありません。自分の知っているいくつか方法を試して、試行錯誤する、という解き方になります。
おわりに
ここでは、高次方程式を解く問題を考えました。因数定理が使えない場合を扱いましたが、そのときの1つの方法として、置き換えで解けるものを見てきました。 $x$ の偶数乗しかない場合には使えることもあるので、検討してみましょう。