【標準】定積分で表された関数を求める
ここでは、定積分で表された関数を求める問題を見ていきます。
定積分で表された関数を求めるその1
あまり見慣れない式ですね。「右辺を計算すればいいのかな」と考えたくなりますが、よく見ると、右辺の中にも $f(t)$ があります。 $f$ を求めるのに $f$ を使ってる、ということは、単純に計算しようとしてもループしてしまいます。そのため、代入して計算していく方法では解けません。
ここで、この式のやっかいな部分、定積分のところをよく見てみましょう。 $f(t)$ を $0$ から $1$ まで積分しているわけですが、ここには $x$ の文字がありません。つまり、ここは、定数なんですね。そのため、\[ a=\int_0^1 f(t)dt \]と置いてみましょう。すると、もとの式は\[ f(x)=e^x-a \]となります。
定積分を文字で置いただけですが、このように変形すれば、 $a$ の値を求めればおしまいなんだということがわかりますね。 $a$ の定義式の右辺に $f$ の内容を代入すると、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 f(t) dt \\[5pt]
&=&
\int_0^1 (e^t-a) dt \\[5pt]
&=&
\Big[ e^t-at \Big]_0^1 \\[5pt]
&=&
(e^1-a)-(e^0-0) \\[5pt]
&=&
e-a-1
\end{eqnarray}これが $a$ と等しいのだから、\[ a=e-a-1 \]から $a=\dfrac{e-1}{2}$ であることがわかります。よって、\[ f(x)=e^x-\frac{e-1}{2} \]であることがわかります。
定積分のままだと考えづらいですが、別の文字で置いてしまえば、考えやすくなりますね。
定積分で表された関数を求めるその2
この例題でも、右辺に $f(t)$ があるので、 $f(x)$ の内容を右辺に代入してもうまくいきません。代入が無限に続いてしまいます。
かといって、右辺の定積分のところを定数で置くこともできません。 $e^{t-x}$ があるので、この定積分は $x$ の関数となっているからですね。先ほどとは違い、定数で置くことはできません。
この部分は、【標準】定積分で表された関数を微分するでも見たように、 $x$ の部分を定積分の外に出すことを考えましょう。右辺の定積分は $t$ で積分するので、 $x$ の部分は定数のように扱うことができます。 $e^{-x}$ を掛けている部分は、そのまま定積分の外に出せるので、\[ \int_0^1 e^{t-x}f(t)dt=e^{-x}\int_0^1 e^tf(t)dt \]と表すことができます。こうすると、右辺の定積分は、 $x$ が含まれていないので、 $x$ に関係のない定数と置けるわけなんですね。このようにして考えていきます。
$e^{-x}$ を定積分の外に出せば\[ f(x)=1-e^{-x}\int_0^1 e^t f(t)dt \]と書けるので、\[ a=\int_0^1 e^t f(t)dt \]とおくと、 $f(x)=1-ae^{-x}$ となります。これを $a$ の定義式の右辺に代入すると
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 e^t f(t)dt \\[5pt]
&=&
\int_0^1 e^t (1-ae^{-t})dt \\[5pt]
&=&
\int_0^1 (e^t-a) dt \\[5pt]
&=&
\Big[ e^t-at \Big]_0^1 \\[5pt]
&=&
e-a-1
\end{eqnarray}これが $a$ と一致するので、\[ a=\frac{e-1}{2} \]であることがわかります。 $f(x)=1-ae^{-x}$ だったので、\[ f(x)=1-\frac{(e-1)e^{-x} }{2} \]であることがわかります。
おわりに
ここでは、定積分で表された関数を求める問題を見ました。定義の中に自分自身が出てくるので、そのまま代入ができない問題を見てきました。このような場合には、定積分のところが定数に置き換えて計算できるように変形できないか、考えるようにしましょう。