【標準】指数関数と方程式
ここでは、指数関数を含む方程式で、置き換えを使って解く問題を見ていきます。
置き換えを使って指数関数を含む方程式を解く1
\[ 9^x-10\cdot 3^x +9=0 \]
指数に $x$ が含まれています。 $9^x$ と $3^x$ の2つがありますが、底が異なっています。こういう場合は、底をそろえてから考えてみるとわかりやすくなります。底は $3$ に合わせられそうですね。\[ 3^{2x}-10\cdot 3^x+9=0 \]
さて、 $3^{2x}$ と $3^x$ が出てきましたが、このままだとまだ考えづらいですね。ただ、よく考えると、 $3^{2x}$ は $3^x$ を2乗したものなので、 $3^x$ を何かで置き換えれば、きれいになりそうです。 $X=3^x$ とおくと元の式は次のように変形できます。\[ X^2-10X+9=0 \]
こうなると、ただの二次方程式なので、次のように解けます。
\begin{eqnarray}
X^2-10X+9 &=& 0 \\[5pt]
(X-1)(X-9) &=& 0 \\[5pt]
X &=& 1,9 \\[5pt]
\end{eqnarray}もともと $X=3^x$ とおいていたので、\[ 3^x=1,9 \]となる $x$ を求めればいいですね。これより、\[ x=0,2 \]が解となります。
もとの形のまま $9^x$ と $3^x$ を考えるよりは、底をそろえて考えるほうがわかりやすいと思います。
置き換えを使って指数関数を含む方程式を解く2
\[ 8^x-4^x-2^{x+1}=0 \]
先ほどと同じように考えれば、すべての底を $2$ にそろえてから考えたほうがよさそうですね。\[ 2^{3x}-2^{2x}-2^{x+1}=0 \]こうしてから $X=2^x$ とおけばよさそうですが、最後の項はそのまま置き換えられません。最後の項は、\[ 2^{x+1}=2\cdot 2^x \]と変形すれば $2^{x+1}=2X$ となるので、このようにして変形します。式全体は次のように変形することができます。
\begin{eqnarray}
X^3-X^2-2X &=& 0 \\[5pt]
X(X^2-X-2) &=& 0 \\[5pt]
X(X-2)(X+1) &=& 0 \\[5pt]
X &=& 0,2,-1 \\[5pt]
\end{eqnarray}ここで、 $X=2^x$ だったので、これが $0,2,-1$ となるときを考えればいいですね。
しかし、これらすべてについて、対応する $x$ があるわけではありません。 $2^x=2$ となる $x$ は $1$ ですが、 $2^x=0,-1$ となる $x$ は存在しません。【基本】指数関数のグラフでも見た通り、 $y=a^x$ のグラフ( $0\lt a \lt 1$, $a\gt 1$ )は、 $x$ 軸よりもつねに上にあります。 $a^x$ が $0$ や負になることはないんですね。
よって、解は $x=1$ です。これだけが解となります。
$X=2^x$ と置きましたが、こう置いた時点で $X\gt 0$ であることがわかります。よって、元の式を変形した後の式\[
X^3-X^2-2X = 0 \]で、両辺を $X$ で割ることができます。普通、文字は $0$ の可能性があるので割ることはできませんが、今の場合は正だから $0$ ではない、とわかっているから割ってもいいんですね。なので、\[ X^2-X-2=0 \]として考えても構いません。
おわりに
ここでは、指数関数を含んだ方程式を、文字で置き換えて解く問題を見ました。 $X=a^x$ とおいたときに、範囲に制限がつくことに注意しましょう。このことは、不等式を解くときにも大事になってきます。