【応用】2つのおうぎ形
ここでは、2つの円や2つのおうぎ形を組み合わせた問題を見ていきます。
2つの円を組み合わせた問題
色のついた部分は変わった図形に見えますが、よく見ると、2つの弧で囲まれているだけですね。なので、弧の長さを求めればいいですね。半径がわかっているので、あとは中心角がわかれば求められます。
ただ、中心角はすこしわかりづらいです。中心角とは、今の場合、下の図の部分を指しています。
上の図では、弧AOB の中心角を表しています。 $\angle \mathrm{ AOB }$ や $\angle \mathrm{ AO'B }$ が中心角となります。
さて、今考えている図形では、「2つの円が互いの中心を通っている」状況ですが、これによって何がわかるでしょうか。中心角を求めるのに使えないか考えてみましょう。
弧の長さを求めるために角を求めたいのですが、実は線分に関する情報がたくさん含まれています。まず、 $\mathrm{ OA, OB, O'A, O'B }$ は、すべて半径なので $6\mathrm{ cm }$ です。しかも、 $\mathrm{ OO' }$ も半径なので、同じ長さです。
このことから、三角形 $\mathrm{ OAO' }$ と三角形 $\mathrm{ OBO' }$ はどちらも正三角形であることがわかります。こうして、中心角は両方とも $120^{\circ}$ だとわかるので、色のついた部分の周の長さは\[ 6\times 2\times \pi\times \frac{120}{360}\times 2=8\pi \]から、 $8\pi\mathrm{ cm }$ となることがわかります。
円や弧について考えているのに、正三角形を見つけないと角度がわかりません。半径はどこでも長さが同じですが、このことを利用すると、図の中に正三角形や正方形が見つかる場合があります。
2つのおうぎ形を組み合わせた問題
点O を通る直線と2つの半円との交点を E, F とすると、弧AE と弧DF の長さは同じになりました。このとき、$\angle \mathrm{ FOD }$ の長さを求めなさい。
「弧AE と弧DF の長さは同じ」とありますが、これがどのようなときなのかを考えないといけないですね。弧の長さを求めるには、半径と中心角が必要です。それぞれの半径はわかっていますが、中心角はどちらもわかりません。
ただ、2つの中心角の合計はわかります。 $\angle \mathrm{ FOD }$ と $\angle \mathrm{ EOA }$ は、合計すると半円の中心角となるので、 $180^{\circ}$ です。
これらを利用して、2つの弧の長さが同じであることを、方程式で表してみましょう。 $\angle \mathrm{ FOD }$ を $x^{\circ}$ とすると、弧 DF の長さは\[ 3\times 2\times \pi \times \frac{x}{360} \]となります。また、 $\angle \mathrm{ EOA }$ は、 $180^{\circ}-x^{\circ}$ なので、弧 AE の長さは\[ 2\times 2\times \pi \times \frac{180-x}{360} \]となります。この2つが等しいことを方程式で表して解くと
\begin{eqnarray}
3\times 2\times \pi \times \frac{x}{360} &=& 2\times 2\times \pi \times \frac{180-x}{360} \\[5pt]
3\times \frac{x}{360} &=& 2\times \frac{180-x}{360} \\[5pt]
3x &=& 2(180-x) \\[5pt]
3x+2x &=& 360 \\[5pt]
x &=& 72 \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。1行目から2行目では $2\pi$ で割っています。2行目から3行目では $360$ を掛けています。方程式を解くときに、いきなり掛け算を始めるのではなく、共通の部分を消してから計算するほうが楽になります。
こうして、 $\angle\mathrm{ FOD }=72^{\circ}$ と求められます。
図形の問題でも、このように方程式を利用して解くと解きやすくなる問題もあります。
おわりに
ここでは、2つの円や2つのおうぎ形が関連する問題を見てきました。半径の長さが等しいことを利用して正三角形を見つける問題や、方程式を利用して解く問題を見てきましたが、こういう方法は今後も使うことになります。