【応用】sinやcosの自然数乗の定積分

ここでは、 $\sin^n x$ の定積分について見ていきます。

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sinの自然数乗の定積分の漸化式

ここでは、次の定積分について考えていきます。\[ \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx \]なお、 $n$ は自然数とします。

直接計算することは難しく、 $\sin ^n x$ を変形することも難しいです。できれば、次数が下がると嬉しいですね。この発想から、強引に部分積分を使うことで、うまく変形することができます。

$n\geqq 3$ とします。このとき、 $\sin^n x$ を $\sin^{n-1} x\cdot \sin x$ と考え、さらに、 $\sin x$ は $(-\cos x)’$ だと考えて部分積分を使ってみましょう。
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx \\[5pt] &=&
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{n-1} x \cdot(-\cos x)’ dx \\[5pt] &=&
\Big[ \sin^{n-1} x \cdot(-\cos x) \Big]_0^{\frac{\pi}{2}} \\
& &
-\int_0^{\frac{\pi}{2}} (n-1)\sin^{n-2} x\cos x \cdot(-\cos x) dx \\[5pt] &=&
\int_0^{\frac{\pi}{2}} (n-1)\sin^{n-2} x\cos^2 x dx \\[5pt] &=&
\int_0^{\frac{\pi}{2}} (n-1)\sin^{n-2} x(1-\sin^2 x) dx \\[5pt] \end{eqnarray}こうなります。このことから、 $\sin^n x$ と $\sin^{n-2} x$ の関係式が得られます。積分の形だと式が見にくいので、\[ I_n=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx \]とおいて書き直してみましょう。先ほどの一番はじめの式は $I_n$ ですね。部分積分を使った後で得られた最後の式は\[ (n-1)I_{n-2}-(n-1)I_n \]となります。この2つが等しいので、
\begin{eqnarray}
I_n &=& (n-1)I_{n-2}-(n-1)I_n \\[5pt] nI_n &=& (n-1)I_{n-2} \\[5pt] I_n &=& \frac{n-1}{n} I_{n-2} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

こうして、漸化式が得られました。

sinの自然数乗の定積分を求める

先ほど得られた漸化式を繰り返し使えば、例えば $\sin^5 x$ の場合は
\begin{eqnarray}
I_5
&=&
\frac{4}{5} I_3 \\[5pt] &=&
\frac{4}{5} \cdot \frac{2}{3} I_1 \\[5pt] \end{eqnarray}というように、 $\sin x$ の場合を考えればいいことになります。これは直接計算することができて、
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin x dx \\[5pt] &=&
\Big[ -\cos x \Big]_0^{\frac{\pi}{2}} \\[5pt] &=&
1
\end{eqnarray}です。よって、\[ I_5=\frac{4}{5} \cdot \frac{2}{3} \]となります。

先ほどの漸化式\[ I_n = \frac{n-1}{n} I_{n-2} \]は、1つ前ではなく2つ前の項が出てきているので、 $n$ が奇数のときは、繰り返し用いると最終的に $I_1$ が出てきます。 $I_1=1$ なので、値を求めることができますね。

$n$ が偶数のときは、別に考えないといけません。例えば $n=6$ のときは
\begin{eqnarray}
I_6
&=&
\frac{5}{6} I_4 \\[5pt] &=&
\frac{5}{6} \cdot \frac{3}{4} I_2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。 $I_2$ は、
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2 x dx \\[5pt] &=&
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1-\cos 2x}{2} dx \\[5pt] &=&
\Big[ \frac{x}{2} -\frac{\sin 2x}{4} \Big]_0^{\frac{\pi}{2}} \\[5pt] &=&
\frac{\pi}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。よって、\[ I_6=\frac{5}{6} \cdot \frac{3}{4}\cdot \frac{\pi}{4} \]となります。

これらのことから、漸化式を繰り返し用いて $I_1,I_2$ に帰着させることができるので、 $n$ が自然数のときの $I_n$ を求めることができます。 $n$ が奇数の場合は\[ \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx=\frac{n-1}{n}\cdot \frac{n-3}{n-2}\cdots\frac{2}{3} \]となり、 $n$ が偶数の場合は、\[ \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx=\frac{n-1}{n}\cdot \frac{n-3}{n-2}\cdots\frac{3}{4}\cdot \frac{\pi}{4} \]となります。

cosの自然数乗の定積分

$\sin$ の自然数乗の場合を考えましたが、 $\cos$ の場合も同じように計算できます。しかし、実は、同じような計算をする必要はありません。

というのも、置換積分を使って変形することができるからです。 $x=\dfrac{\pi}{2}-t$ とおきましょう。\[ \sin x=\sin \left(\frac{\pi}{2}-t\right)=\cos t \]となります。また、 $dx$ を $-dt$ と置き換えればよく、積分区間は
\begin{array}{c|ccc}
x & 0 & \cdots & \frac{\pi}{2} \\
\hline
t & \frac{\pi}{2} & \cdots & 0 \\
\end{array}となるので、
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx \\[5pt] &=&
\int_{\frac{\pi}{2}}^0 \cos^n t \cdot(-1)dt \\[5pt] &=&
\int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^n t dt \\[5pt] \end{eqnarray}となるので、 $0$ から $\dfrac{\pi}{2}$ までの定積分を考える場合、 $\sin^n x$ も $\cos^n x$ も値は同じになるんですね。なので、先ほどの $\sin^n x$ について出した答えが、そのまま $\cos^n x$ の答えとも一致することになります。

おわりに

ここでは、 $\sin^n x$ の定積分について考えました。 $\sin^n$ を $n-1$ 乗とそれ以外に分けて部分積分を使う考え方は思いつきにくいですね。しかも、値が直接求められるのではなく、得られるのは漸化式だけです。ただ、これができれば、どんどん次数を下げていくことができ、計算可能な関数にまで変形することができます。