【応用】計算結果と符号

ここでは、計算結果の符号をもとに、もとの数の符号が何だったかを考える問題を見ていきます。少し抽象的な内容です。

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計算結果の符号を考える

【基本】正負の数の四則の混じった計算を踏まえて、計算結果の符号がどうなるかを考えてみましょう。

正の数同士の和や積は、必ず正の数になります。一方、正の数から正の数を引いた場合は、正の数になることもあるし、ならないこともあります。 $5-3$ なら正の数ですが、 $2-6$ なら負の数です。

正の数と負の数の場合はどうでしょうか。この場合は、「正の数から負の数を引いた答え」は必ず正になります。 $5-(-3)$ などを思い浮かべて、どのように計算するかを考えればいいですね。一方、和の符号は確定しません。 $5+(-3)$ なら正だし、 $2+(-6)$ なら負です。

このように、もとの数の符号や、どういう計算をするかによって、計算結果の符号が決まることもあるし、決まらないこともあります。

例題1
$a,b$ は、どちらも負の数とします。このとき、次の ア~エ の中で、正の数だと確実に言えるものと、負の数だと確実に言えるものをそれぞれ答えなさい。

 ア: $a+b$
 イ: $a-b$
 ウ: $a\times b$
 エ: $a\div b$

1つ1つ見ていきましょう。

まず、負の数同士の和は、絶対値を足してマイナスをつけるのでした。なので、必ず負の数になります。

$a-b$ は、 $a$ の絶対値と $b$ の絶対値を比べたときに、どちらが大きいかによって答えの符号が変わってきます。例えば、 $(-5)-(-3)$ なら負だし、 $(-2)-(-6)$ なら正です。なので、イは、正の数、負の数、どちらの場合もありえます。

ウは、同符号の数の積なので、答えは必ず正の数です。

エも、同符号の数の商なので、答えは必ず正の数です。 $b$ の逆数は負の数であり、負の数同士の積を計算することになるからです。

以上から、正の数だと確実に言えるものは、ウとエで、負の数だと確実に言えるものは、アです。イは、どちらにもあてはまりません。

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計算結果の符号からもとの数の符号を考える

今度は、逆に、計算結果の符号からもとの数の符号を考えてみましょう。

例題2
$a,b,c$ は $0$ 以外の数とします。今、 $a,b,c$ の間には、次の ア~ウ の、3つの関係式がすべて成り立っているとします。このとき、 $a,b,c$ が、それぞれ、正の数か負の数か、どちらであるか答えなさい。

 ア: $a\times b\times c \gt 0$
 イ: $a+b+c \lt 0$
 ウ: $c\lt a\lt b$

「 $\gt$ 」や「 $\lt$ 」は、不等号といい、広がっている方が大きい数であることを表しているのでした(参考:【基本】正負の数と大小)。そのため、例えば、アは、 $a,b,c$ の積が $0$ より大きい、つまり、正であることを示していることになります。

複数の数の積が正である、ということは、【基本】正負の数の累乗で見たように、負の数が偶数個ある、ということです。なので、アからは、 $a,b,c$ は「正の数が3個」か「正の数が1個、負の数が2個」のどちらかであることがわかります。

次に、イを見てみると、 $a+b+c$ が負であることがわかります。このことから、「正の数が3個」のケースはありえません。正の数同士の和は、必ず正になるので、負になることはありません。なので、アとイを合わせると、 $a,b,c$ は「正の数が1個、負の数が2個」の組合せであることがわかります。

最後に、ウを見ると、 $b$ が一番大きいことがわかります。なので、1個しかない正の数は、 $b$ であったことがわかり、残りの $a,c$ は負であることがわかります。

まとめると、 $a$ は負の数、 $b$ は正の数、 $c$ は負の数、となります。これが答えです。

以下では、各条件によって、どれだけの候補が消えて、どれだけの候補が残るかを見ていきましょう。候補を絞り込むためには、残る候補が少ないほうがいいですね。そのような、都合のいい条件はどれでしょうか。

$a,b,c$ は、それぞれ、正の数か負の数かどちらかであるので、候補としては、次の8通りのパターンがあります。

 $a\ \ b\ \ c$
 正正正
 正正負
 正負正
 正負負
 負正正
 負正負
 負負正
 負負負

各条件で、どの候補が残るのかを考えてみましょう。条件のうち、ア: $a\times b\times c \gt 0$ によって残るのは、次の4パターンです。

 $a\ \ b\ \ c$
 正正正
 正正負
 正負正
 正負負
 負正正
 負正負
 負負正
 負負負  

イ: $a+b+c \lt 0$ によって残るのは、次の通り、7パターンもあります。

 正正正
 正正負
 正負正
 正負負
 負正正
 負正負
 負負正
 負負負

和が負であるという条件がわかっても、消えるのは「すべて正」のときだけで、それ以外はすべてありえます。ものすごく絶対値の大きい負の数が含まれているケースを考えてみればわかるでしょう。

ウ: $c\lt a\lt b$ によって残るのは、次の4パターンです。

 正正正
 正正負
 正負正
 正負負
 負正正
 負正負
 負負正
 負負負

これらを組み合わせると、残るものは「負正負」だけとなり、答えが導けます。

計算結果の符号からもとの数を考える場合、積や商からは、「負の数の個数」を絞ることができます。これにより、多くの候補がなくなります。和から考えても、あまり候補を絞ることができないことがわかります。なので、和・差よりも、積・商の符号に関する条件から考えていくほうがよさそうだ、と考えられます。

おわりに

ここでは、計算結果の符号から、もとの数の符号を考える問題を見てきました。少しパズルチックな問題でした。計算の仕方と符号の関係をよく理解していないとわからない問題ですね。