【基本】正弦定理と余弦定理、どっちを使う?
正弦定理も余弦定理も、一部の辺の長さと角の大きさの情報から、他の辺や角を求めるときによく使われます。ただ、はじめの段階では、どっちを使えばいいかがわかりにくい場合もあります。ここでは、正弦定理・余弦定理のどちらを使うか、を見ていきます。(ここで挙げているのは基本的な場合だけです。問題によっては、ここで書いていることが該当しないケースもあります)
考えられるケース
一部の辺の長さや角の大きさから他の辺や角を求める場合に、正弦定理・余弦定理のどちらを使うか整理します。
ケースとしては、以下の場合があります。
- 3つの辺が与えられている場合
- 2つの辺と1つの角が与えられている場合
- 1つの辺と2つの角が与えられている場合
3つの辺が与えられている場合
3つの辺の長さが登場するのは、余弦定理しかありません。なので、3つの辺が与えられている場合は、余弦定理を使います。
【基本】余弦定理の基本的な使い方#例題3で見たように、次のようにして他の角を求めます。\[ \cos C = \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \]$\cos A$ や $\cos B$ も同様に求めることができます。 $\cos$ がわかれば、相互関係から $\sin$ もわかりますし、値によっては角度も求められます。
2つの辺と1つの角が与えられている場合
2つの辺と1つの角が与えられているケースには、2パターンあります。与えられた角が、2つの辺の間の角なのか、そうでないのか、です。
2つの辺とその間の角が与えられている場合は、余弦定理を使います。【基本】余弦定理の基本的な使い方#例題1で見た通り、次の公式にそのまま値を代入すれば残りの辺の長さが求められます。\[ c^2=a^2+b^2 -2ab\cos C \]これにより3つの辺の長さがわかるので、一つ前のケースの通り、余弦定理から他の角も求められます。
問題は、与えられた角が「2つの辺の間の角ではない」場合です。下の図で、赤い部分がわかっている、という状態です。
まず、残りの辺の長さを求めるには、余弦定理を使います。【基本】余弦定理の基本的な使い方#例題2で見たやりかたです。この場合、出てくる二次方程式を解くと、答えが2つ出てくる可能性があります。2つとも答えになることがあるので注意しましょう。3つの辺の長さがわかれば、余弦定理から他の角も求められます。
もし、残りの「2つの辺の間ではない角」だけを求めたい場合は、別のやり方もあります。上の図であれば、 B だけを求めたい場合です。2つの辺の間ではない角を求める場合は、正弦定理が使えます。\[ \sin B = b \times \frac{\sin A}{a} \]と式変形をしてから使います。もちろん、余弦定理を繰り返し用いて2つの辺の間の角を求め、 $180^{\circ}$ から2つの角を引く、という出し方でもいい場合もあります。しかし、2つの辺の間の角の大きさがきれいに求められるとは限りません。残りの「2つの辺の間ではない角」を求めるだけであれば、正弦定理を使った方が早いです。
1つの辺と2つの角が与えられている場合
2つの角が与えられている場合は、 $180^{\circ}$ から2つの角を引けば、残りの角も求められます。なので、3つの角の大きさがわかります。よって、必ず、1つの辺とその対角(向かい合う角)の両方がわかっている組が1組存在します。
このことから、1つの辺と2つの角が与えられている場合は、正弦定理を使います。【基本】正弦定理の基本的な使い方#例題1で見たやり方です。\[ a=\frac{b}{\sin B} \times \sin A \]などとすれば、残りの2つの辺の長さも求められます。
おわりに
ここでは、一部の辺や角から残りの辺や角を求める場合に、正弦定理か余弦定理のどちらを使うかを見てきました。例えば、3つの辺の長さが与えられたときに $\sin A$ を求めなさいと言われた場合は、だまされずに余弦定理を使わないといけません。
定理の内容から考えるとどちらを使うべきかはわかるはずです。与えられているものと自分が求めたいのが何で、どの定理が使えるのかを意識して問題を解くようにしましょう。