【基本】余弦定理の基本的な使い方
ここでは、余弦定理の内容とその基本的な使い方を見ていきます。余弦定理の証明自体は別ページにあります。ここでは、余弦定理があればどんなことができるかを見ていきましょう。
なお、辺 $\mathrm{AB}$, $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$ の長さを、それぞれ、 $c,a,b$ と書き、角 $\angle \mathrm{ CAB }$, $\angle \mathrm{ ABC }$, $\angle \mathrm{ BCA }$ の大きさを、それぞれ、 $A,B,C$ と書くことにします。
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余弦定理
余弦定理とは、このような内容です。
$a^2=b^2+c^2 -2bc\cos A$
$b^2=c^2+a^2 -2ca\cos B$
$c^2=a^2+b^2 -2ab\cos C$
「辺の長さと角の大きさとの間にこういう関係式があるよ」という内容ですが、実際には、一部の辺の長さや角の大きさから他の辺や角を求めることに使います。例えば、余弦定理は、2つの辺の長さとその間の角の大きさ(または $\cos$ )が分かれば、残りの辺の長さもわかるということを意味しています。具体的な使用例を見てみましょう。
例題1
余弦定理と見比べて、どのように求めるか考えてみましょう。
定理にある「 $c^2=$ 」から始まる式に注目します。この右辺にある数字は全て与えられているので、これに代入すれば求めることができますね。
\begin{eqnarray}
c^2
&=&
a^2+b^2 -2ab\cos C \\
&=&
5^2+8^2 -2\cdot5\cdot8\cos 60^{\circ} \\
&=&
25+64 -40 \\
&=&
49 \\
\end{eqnarray}$c\gt 0$ なので、 $c=7$ となります。直角三角形でもないのに、このように辺の長さが求められるのは少し不思議ですね。
例題2
先ほどと似ていますが、どこが違うかよく見てみましょう。
先ほどと同じように、余弦定理にある「 $c^2=$ 」から始まる式を使おうとしてもうまくいきません。 C がわからないからです。わかっている角は B だけなので、「 $b^2=$ 」から始まる式を使うしかありません。
\begin{eqnarray}
b^2
&=&
c^2+a^2 -2ca\cos B \\
2^2
&=&
c^2+(\sqrt{2})^2 -2c\sqrt{2}\cos 45^{\circ} \\
4
&=&
c^2+2 -2c \\
\end{eqnarray}これより、 c は $x^2-2x-2=0$ の解であることがわかります。二次方程式の解の公式から\[ x=\frac{-(-2)\pm\sqrt{(-2)^2-4\cdot(-2)} }{2}= 1\pm\sqrt{3} \]となります。 $c\gt 0$ なので、答えは、\[ c=1+\sqrt{3} \]と求められます。
このように、余弦定理を使うときは、角と辺との対応をよく考えて使わないといけません。
例題3
今度は、角度を求める問題です。余弦定理のうち、 C を含んでいるものは「 $c^2=$ 」から始まる式だけです。これを変形すると次のような式が得られます。
\begin{eqnarray}
c^2 &=& a^2+b^2 -2ab\cos C \\
2ab\cos C &=& a^2+b^2-c^2 \\[5pt]
\cos C &=& \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \\[5pt]
\end{eqnarray}これからわかることは、3辺がわかれば、 $\cos$ を求めることができるということです。
これに代入すると、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
\cos C &=& \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \\[5pt]
&=& \frac{3^2+5^2-7^2}{2\cdot 3\cdot 5} \\[5pt]
&=& \frac{9+25-49}{30} \\[5pt]
&=& -\frac{1}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}これから、 $C=120^{\circ}$ と求められます。
おわりに
ここでは、余弦定理の内容と基本的な使い方を見てきました。2つの辺と角から残りの辺の長さを求めたり、3つの辺から角の大きさを求められることを、例題を通じてみてきました。実際には図形と絡めて出題されることが多いのですが、それは今後問題を解きながら学んでいきましょう。