【基本】正負の数の乗法(規則性から考える)
ここでは、負の数の掛け算について見ていきます。いくつかのパターンから、負の数を変えた結果がどうなるかを考えていきます。
乗法と積
【基本】正負の数の加法 や 【基本】正負の数の減法と加法の関係で、正負の数の加法や減法について見てきました。ここでは、さらに掛け算について見ていきます。
なお、掛け算のことを乗法(じょうほう、multiplication)や乗算といいます。掛け算の答えを、積(product) といいます。
正の数と負の数との積
正の数に負の数を掛けたらどうなるか。これを考えるために、正の数同士の掛け算を並べて考えてみましょう。 $3\times \square$ をいくつか並べてみます。
\begin{eqnarray}
3\times 3 &=& 9 \\[5pt]
3\times 2 &=& 6 \\[5pt]
3\times 1 &=& 3 \\[5pt]
3\times 0 &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}掛ける数を、 $3$ から $0$ へ $1$ ずつ減らしてます。そうすると、掛け算の結果は、 $3$ ずつ減っていきます。この流れで行くと、さらに掛ける数を減らしていくとどうなるか、想像がつきやすいんじゃないでしょうか。今後も、掛ける数を $1$ 減らすたびに、結果が $3$ ずつ減っていくと考えれば、次のような結果になります。
\begin{eqnarray}
3\times & 0 &=& 0 \\[5pt]
3\times & (-1) &=& -3 \\[5pt]
3\times & (-2) &=& -6 \\[5pt]
3\times & (-3) &=& -9 \\[5pt]
\end{eqnarray}これが、正の数と負の数を掛けた結果です。上の結果と下の結果を見比べてもわかる通り、正の数と負の数を掛けた結果は、符号を取り除いた数字同士を掛けて、マイナスの符号をつけたものになります。
掛けられる数が $1$ ずつ減っていく場合も同じように考えられます。
\begin{eqnarray}
2\times 3 &=& 6 \\[5pt]
1\times 3 &=& 3 \\[5pt]
0\times 3 &=& 0 \\[5pt]
(-1)\times 3 &=& -3 \\[5pt]
(-2)\times 3 &=& -6 \\[5pt]
\end{eqnarray}先ほどと同じで、符号を取り除いた数字を掛けて、マイナスの符号をつけたものが答えになります。
符号を除いた数字同士を掛ける、というのは、厳密にいうと、絶対値同士を掛けるということです。これにマイナスをつければいいだけなので、そんなに不思議な結果ではないでしょう。問題は、次のケースです。
負の数同士の積
先ほど見たことから、 $(-3)\times 3$ は計算できますね。数字同士を掛ければ $9$ となるので、これにマイナスをつけて $-9$ となります。
同じように、 $(-3)\times 3$ の掛ける数を変えて、結果を見てみることにしましょう。
\begin{eqnarray}
(-3)\times 3 &=& -9 \\[5pt]
(-3)\times 2 &=& -6 \\[5pt]
(-3)\times 1 &=& -3 \\[5pt]
(-3)\times 0 &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}掛ける数を $1$ ずつ減らしていくと、結果はどうなっているでしょうか。 $-9,-6,-3,0$ というように、 $3$ ずつ増えていることがわかります。このことをもとに考えると、さらに掛ける数を $1$ 減らせば、答えは $3$ 増えるはずです。つまり、\[ (-3)\times(-1)=3 \]になる、ということです。負の数と負の数を掛けると、正の数になる。はじめて見ると不思議に感じるかもしれませんが、このように計算します。
以降、掛ける数を $1$ 減らすたびに、結果は $3$ ずつ増えていくので、次のような結果になります。
\begin{eqnarray}
(-3)\times & 0 &=& 0 \\[5pt]
(-3)\times & (-1) &=& 3 \\[5pt]
(-3)\times & (-2) &=& 6 \\[5pt]
(-3)\times & (-3) &=& 9 \\[5pt]
\end{eqnarray}いきなり、負の数と負の数の掛け算を考えてもわかりづらいですが、このように順番に並べて、法則を考えれば、納得しやすいのではないか、と思います。絶対値同士を掛けて、プラスの符号をつけた数字になります。
例題
ここまで見た内容をまとめておきましょう。正の数と正の数の積、負の数と負の数の積なら、答えはプラスになります。正の数と負の数の積、負の数と正の数の積なら、マイナスになります。これらをまとめると、次のように書くことができます。
異符号の数の積は、絶対値の積に負の符号をつけたもの。
これをもとに、計算をしてみましょう。
(1) $(-6)\times(+2)$
(2) $(-3)\times(-8)$
(1)は、絶対値の積は $12$ で、符号が異なるのでマイナスをつけます。\[ (-6)\times(+2)=-12 \]となります。
(2)は、絶対値の積は $24$ で、符号が同じなので正の数になります。\[ (-3)\times(-8)=24 \]となります。
おわりに
ここでは、いくつかの掛け算のパターンから、負の数の積がどうなるかを見てきました。符号が違うときはマイナスに、符号が同じときはプラスになります。
特に、負の数と負の数との積がプラスになることは、はじめは納得しづらいですが、掛ける数を変えていけば、わかりやすいと思います。別のページでは、数直線を用いて考える方法も紹介することにします。