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【基本】正負の数の除法と乗法の関係

ここでは、逆数を紹介した後に、正の数や負の数の割り算と掛け算の関係について見ていきます。

📘 目次

逆数

正の数や負の数の、割り算と掛け算の関係を説明するために必要な、逆数を紹介します。

例えば、 $\dfrac{2}{3}$ と $\dfrac{3}{2}$ は、掛けると $1$ になりますね。このように、ある数に対して、掛けて $1$ になる数のことを、逆数(reciprocal) といいます。見た目でいうと、分母と分子が逆になっているので、これを逆数と呼ぶのは自然な感じがしますね。

$5$ の逆数はどうなるでしょうか。これに掛けて $1$ となるものは、 $\dfrac{1}{5}$ ですね。 $5=\dfrac{5}{1}$ と考えれば、これも、分母と分子を逆にしたもの、と考えることができるでしょう。

負の数の逆数はどうでしょう。 $-\dfrac{1}{4}$ の逆数を考えてみましょう。これに何を掛ければ $1$ になるでしょうか。負の数に何かを掛けて正の数になるのだから、逆数も負の数であることがわかります。絶対値の部分を考えれば、逆数は $-4$ であることがわかります。

$0$ に何を掛けても $0$ であり、 $1$ になることはないので、 $0$ の逆数はありません。

また、逆数の逆数は元の数です。元に戻ります。

正の数や負の数の割り算と掛け算の関係

ここで、 $8\div(-2)$ について考えてみましょう。これは、【基本】正負の数の除法で計算方法を見ましたが、\[ 8\div(-2)=-4 \]と計算するのでした。

この式に対して、次のような式を考えてみましょう。\[ 8\div(-2)\times(-2)\times\left(-\frac{1}{2}\right) \]$8$ を $-2$ で割った後に、 $-2$ を掛けて、さらにこの逆数の $-\dfrac{1}{2}$ を掛けています。式が長くなっていますが、後半の2つの数字の積は $1$ なので、これによって答えが変わることはないですね。

ところで、 $8\div(-2)\times(-2)$ の部分について考えてみましょう。 $8\div(-2)$ は、【基本】正負の数の除法#割り算って何だっけ?でも見た通り、「どんな数に $-2$ を掛ければ、 $8$ になるか」を表しているのでした。なので、その後で $\times(-2)$ を計算すれば、 $8$ に戻ります。イメージでいうと、「みかんを何人かで分けた後、そのみかんを再び回収すると、もとのみかんの数に戻る」という感じです。このことから、\[ 8\div(-2)\times(-2)=8 \]となります。

以上のことをまとめると、 $8\div(-2)$ と\[ 8\div(-2)\times(-2)\times\left(-\frac{1}{2}\right) \]は同じ結果であり、前の3つの数字をまとめた\[ 8\times\left(-\frac{1}{2}\right) \]とも同じ結果になることがわかります。 $8\div(-2)$ は、 $-2$ の逆数を掛けた、 $8\times\left(-\dfrac{1}{2}\right)$ と同じ結果になるんですね。

このことは、他の割り算でも同じように成り立ち、次のようにまとめることができます。

正負の数の除法
正の数・負の数で割ることは、その数の逆数を掛けることと同じである。

割り算は、すべて掛け算で書き直すことができる、というわけです。

例題

例題
次の計算をしましょう。
(1) $\left(-\dfrac{5}{2}\right)\div\dfrac{15}{4}$
(2) $14\div(-6)\times 3$

割り算は、すべて掛け算に直してから計算すると、考えやすくなります。(1)は、次のようになります。
\begin{eqnarray} & & \left(-\dfrac{5}{2}\right)\div\frac{15}{4} \\[5pt] &=& \left(-\dfrac{5}{2}\right)\times\frac{4}{15} \\[5pt] &=& -\dfrac{2}{3} \end{eqnarray}これが答えです。

(2)のように、掛け算と割り算が混じった場合は、特に、掛け算になおしてから計算した方がいいです。
\begin{eqnarray} & & 14\div(-6)\times 3 \\[5pt] &=& 14\times \left(-\frac{1}{6}\right)\times 3 \\[5pt] &=& -7 \end{eqnarray}となります。【基本】正負の数の乗法の性質で見たように、掛け算は、どこから計算してもいいのでした。上の計算であれば、 $6$ と $3$ の約分を先に計算してもいいので、すべて掛け算で表してから計算するといいでしょう。

おわりに

ここでは、正負の割り算が、逆数を掛けることと同じである、ということを見ました。掛け算と割り算が混じっている計算では、すべて掛け算で表すと、計算しやすくなると思います。

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