【基本】一次分数関数
ここでは、分数関数のうち、最もシンプルな一次分数関数について見ていきます。
分数関数
今まで、一次関数や二次関数を学び、さらに、三角関数や指数関数といった関数も学びました。今後、極限や微分・積分を学んでいくにあたり、まだもう少し必要な関数があります。その1つが分数関数です。
【基本】分数式で、分数式というものを見ました。 $\dfrac{x+1}{x^2+1}$ というような「"整式"分の"整式"」で表される式です(このサイトでは、分母が定数の場合は除いて考えます)。この分数式を用いて表される関数を、分数関数(fractional function) といいます。例えば、\[ y=\dfrac{1}{x}, \ y=\dfrac{x+1}{x^2+1} \]などは、分数関数です。
通常、何も断りがなければ、定義域は、「分母が $0$ となる値を除く実数全体」となります。例えば、 $y=\dfrac{1}{x}$ の場合、 $x=0$ を除いた実数全体が定義域となります。 $y=\dfrac{x+1}{x^2+1}$ の場合は、分母が $0$ となることがないので、定義域は実数全体となります。
一次分数関数
分数関数はいろいろな形がありえますが、最もシンプルなのは、次のような形の関数です。\[ y=\dfrac{ax+b}{cx+d} \]このような形で書ける分数関数を、一次分数関数(linear fractional function) と言います。
ここで、 $a,b,d$ は $0$ でもいいですが、 $c=0$ ではいけません。この場合は、ただの一次関数になってしまいます。 $c\ne0$ の場合のみ考えます。
また、例えば、 $y=\dfrac{2x+2}{x+1}$ のような場合、約分をして $y=2$ となってしまいます。このような、 $a:c=b:d$ のとき、つまり、 $ad-bc=0$ のときは、約分ができて定数になってしまうので、こういう場合も考えたくないですね。このようなケースも省きます。
つまり、 $c\ne 0$, $ad-bc\ne 0$ の場合に、\[ y=\dfrac{ax+b}{cx+d} \]を考えていこう、ということです。
この一次分数関数は、グラフをかくことができます。グラフのかき方は、【基本】一次分数関数のグラフで見ることにします。
一次分数関数の変形
小学校で分数を習ったときには、 $\dfrac{10}{3}$ を $3+\dfrac{1}{3}$ というように分ける方法を学びました(算数では「+」がついていませんでしたが、ここでは、掛け算記号の省略と区別がつきにくいので「+」をわざと書いています)。分数関数でも、同じような変形をすることができます。
例えば、 $y=\dfrac{3x+1}{x-1}$ について考えてみましょう。これは、分子を分母で割っているわけですが、こうした「式の割り算」は、【基本】整式の割り算などで扱っています。
次数が高ければ、筆算を使った方がいいですが、今の場合は一次式を一次式で割っているので、筆算を使うまでもありません。分子を分母で割ったときの商が $3$ であることはすぐにわかるので
\begin{eqnarray}
y
&=&
\frac{3x+1}{x-1} \\[5pt]
&=&
\frac{3(x-1)+4}{x-1} \\[5pt]
&=&
3+\frac{4}{x-1} \\[5pt]
\end{eqnarray}と変形できます。こうすると、余りの部分は必ず定数になるので、「定数」と「定数÷一次式」の和で表すことができます。分母・分子に一次式があると、 $x$ が動いたときに両方動いてしまいますが、変形後では、 $x$ が動く部分が1ヶ所なので、扱いやすくなります。グラフをかくときにはこの変形が重要になってきます。
おわりに
ここでは、一次分数関数について見てきました。最後に見た変形は、分数関数で必須の変形なので、できるようになっておきましょう。