【基本】指数関数と不等式
ここでは、指数関数を含んだ不等式について見ていきます。
底が1より大きい場合
(1) $8^x\gt 4$
(2) $49^x\leqq 7^{3-x}$
【基本】指数関数と方程式では、方程式を考えましたが、ここでは不等式について見てみます。方程式のときと異なるのは、底によって大小関係が変わってしまう、という点です。まずは、底が1より大きい場合を考えてみます。
底が1より大きい場合、【基本】指数関数のグラフで見たように、 $y=a^x$ のグラフは右肩上がりです。 $m\gt n$ ならば $a^m\gt a^n$ であり、逆も成り立ちます。このことを利用して考えていきます。
(1)は、ともに底を2に揃えることができます。両辺を変形すると\[ 2^{3x} \gt 2^2 \]となります。底が2であり、1より大きいので、\[ 3x\gt 2 \]となり、解は $x\gt \dfrac{2}{3}$ となります。
(2)は、底を7に揃えて\[ 7^{2x} \leqq 7^{3-x} \]と変形できます。底が7で1より大きいので、\[ 2x \leqq 3-x \]となり、 $x\leqq 1$ となります。
底が1より大きいことを確かめるのは重要です。後で見る、底が1より小さい場合と比較してみるとよくわかります。
底が1より小さい場合
(1) $\left(\dfrac{1}{9}\right)^x\lt \dfrac{1}{3}$
(2) $\left(\dfrac{1}{4}\right)^{x}\geqq \left(\dfrac{1}{2}\right)^{x+2}$
底が1より小さい場合、【基本】指数関数のグラフで見たように、 $y=a^x$ のグラフは右肩下がりです。 $m\gt n$ ならば $a^m\lt a^n$ であり、逆も成り立ちます。不等号の向きが変わっていることに注意しましょう。このことを踏まえて不等式を考えていきます。
(1)は、底を $\dfrac{1}{3}$ に揃えられそうですね。\[ \left(\dfrac{1}{3}\right)^{2x}\lt \left(\frac{1}{3} \right)^1 \]となります。底は $\dfrac{1}{3}$ であり、1より小さいです。そのため、\[ 2x\gt 1 \]となります。不等号の向きを反対にしないといけない点に注意しましょう。これを解いて、\[ x\gt \frac{1}{2} \]が解となります。
グラフを使って考えてみましょう。 $y=\left(\dfrac{1}{9}\right)^x$ のグラフと $y=\dfrac{1}{3}$ のグラフとを見てみましょう。
たしかに、指数関数のグラフが $y=\dfrac{1}{3}$ より低くなる範囲を考えると、 $x$ は $\dfrac{1}{2}$ より大きい部分であることがわかりますね。
(2)は、底を $\dfrac{1}{2}$ に揃えます。\[ \left(\dfrac{1}{2}\right)^{2x}\geqq \left(\dfrac{1}{2}\right)^{x+2} \]となります。底は $\dfrac{1}{2}$ で、1より小さいので、\[ 2x\leqq x+2 \]となり(不等号の向きは反対になる)、これを解いて\[ x\leqq 2 \]が解となります。
指数関数では、底が1より大きいか小さいかで大小関係が変わります。不等式を解くときには、この点に注意する必要があります。
なお、指数が1より小さい場合に、無理やり1より大きくなるように変形することもできます。(2)であれば、底を $2$ で揃えることもできます。\[ 2^{-2x}\geqq 2^{-(x+2)} \]こうなると底は1より大きいので\[ -2x\geqq -(x+2) \]となります(不等号の向きはそのまま)。これを解いても、\[ x \leqq 2 \]と、同じ結果になります。
おわりに
ここでは、指数関数を含んだ不等式を見てきました。方程式のときとは異なり、底が1より大きいか小さいかを確認する必要がある点に注意しましょう。