【基本】定積分の部分積分の計算(logの定積分など)
ここでは、定積分の部分積分の計算例を見ていきます。不定積分のときにも見た、 $\log$ を使ったものを見ていきます。
logの定積分
微分して $\log x$ になるものを直接思いつくのは難しいのです。しかし、【基本】logの不定積分(部分積分)でも見ましたが、部分積分を使えば計算することができます。といっても、部分積分をどう使えばいいか、も少し難しいですけど。
定積分の部分積分は、\[ \int_a^b f(x)g'(x)dx= \Big[ f(x)g(x) \Big]_a^b -\int_a^b f'(x)g(x) dx \]の形で変形するのでしたね。問題は、この $f,g$ にあたるものが何か、です。
$g(x)=\log x$ としてしまうと、結局 $g(x)$ が何かがわからないので、先にすすめません。なので、 $f(x)=\log x$ とします。すると、 $g'(x)=1$ となり、 $g(x)=x$ とすればいいですね。このようにして部分積分を行うと
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^e \log xdx \\[5pt]
&=&
\int_1^e \log x \cdot (x)' dx \\[5pt]
&=&
\Big[ (\log x)\cdot x \Big]_1^e -\int_1^e (\log x)'\cdot x dx \\[5pt]
&=&
(1\cdot e- 0\cdot 1) -\int_1^e \frac{1}{x}\cdot x dx \\[5pt]
&=&
e -\Big[ x \Big]_1^e \\[5pt]
&=&
e -(e-1) \\[5pt]
&=&
1
\end{eqnarray}となります。これが答えです。
ちなみに、 $u=\log x$ とおいて、置換積分をしてみましょう。この場合、 $\dfrac{dx}{x}$ を $du$ に置き換えることになります。 $x=e^u$ なので、 $dx$ を $e^u du$ に置き換えればいいですね。また、積分区間は
\begin{array}{c|ccc}
x & 1 & \cdots & e \\
\hline
u & 0 & \cdots & 1 \\
\end{array}となるので、元の積分は
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^e \log xdx \\[5pt]
&=&
\int_0^1 ue^u du \\[5pt]
\end{eqnarray}と変形できます。変形後の形を見ると、【基本】定積分の部分積分の「部分積分を使った定積分の計算その2」で見た積分と同じ形のものであることがわかります。上で行った部分積分の計算と、リンク先の計算をよく見ると、終盤の計算は同じになってますね。変数が違うだけで、計算内容は同じになっています。
繰り返し部分積分を行う例
先ほどと似た感じなので、ここでも部分積分が使えるのではないか、と予想できます。
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^e (\log x)^2 dx \\[5pt]
&=&
\Big[ (\log x)^2\cdot x \Big]_1^e -\int_1^e \frac{2\log x}{x}\cdot x dx \\[5pt]
&=&
e -\int_1^e 2\log x dx \\[5pt]
\end{eqnarray}部分積分を使うと、 $x$ と $\dfrac{1}{x}$ がうまく消えてくれた結果、 $\log x$ が1つなくなりました。しかし、まだ $\log x$ が残っていますね。ここは、もう一度部分積分を使えば計算できることは先ほどの例題からもわかります。なので、このまま計算をすすめて
\begin{eqnarray}
& &
e -\int_1^e 2\log x dx \\[5pt]
&=&
e -\Big[ 2(\log x) \cdot x \Big]_1^e +\int_1^e \frac{2}{x}\cdot x dx \\[5pt]
&=&
e -2e +\Big[ 2x \Big]_1^e \\[5pt]
&=&
e -2e +(2e-2) \\[5pt]
&=&
e-2
\end{eqnarray}と計算することができます。
おわりに
ここでは、 $\log$ を含んだ定積分を部分積分を使って計算する方法や、部分積分を2回使って定積分を求める計算を見てきました。不定積分の内容がわかっていれば、ここで見た内容はあまり新しい内容はないでしょう。