東京大学 文系 2019年度 第1問 解説
問題編
問題
座標平面の原点を O とし、 $\mathrm{ O }$, $\mathrm{ A }(1,0)$, $\mathrm{ B }(1,1)$, $\mathrm{ C }(0,1)$ を辺の長さが $1$ の正方形の頂点とする。3点 $\mathrm{ P }(p,0)$, $\mathrm{ Q }(0,q)$, $\mathrm{ R }(r,1)$ はそれぞれ辺 OA, OC, BC 上にあり、3点 O, P, Q および3点 P, Q, R はどちらも面積が $\dfrac{1}{3}$ の三角形の3頂点であるとする。
(1) q と r を p で表し、 p, q, r それぞれのとりうる値の範囲を求めよ。
(2) $\dfrac{\mathrm{ CR } }{\mathrm{ OQ } }$ の最大値、最小値を求めよ。
考え方
誘導に従って計算していきます。三角形の面積の条件から、 $q,r$ を $p$ で書くことができます。また、 P, Q, R が辺の上の点であることから、範囲も決まります。(2)は、(1)の結果を使って、微分するだけです。
解答編
問題
座標平面の原点を O とし、 $\mathrm{ O }$, $\mathrm{ A }(1,0)$, $\mathrm{ B }(1,1)$, $\mathrm{ C }(0,1)$ を辺の長さが $1$ の正方形の頂点とする。3点 $\mathrm{ P }(p,0)$, $\mathrm{ Q }(0,q)$, $\mathrm{ R }(r,1)$ はそれぞれ辺 OA, OC, BC 上にあり、3点 O, P, Q および3点 P, Q, R はどちらも面積が $\dfrac{1}{3}$ の三角形の3頂点であるとする。
(1) q と r を p で表し、 p, q, r それぞれのとりうる値の範囲を求めよ。
(2) $\dfrac{\mathrm{ CR } }{\mathrm{ OQ } }$ の最大値、最小値を求めよ。
解答
(1)
p, q は正の実数、 r は0以上の実数であり、3つとも1以下である。
三角形 OPQ の面積は、 $\dfrac{pq}{2}$ であり、これが $\dfrac{1}{3}$ なので、\[
q=\frac{2}{3p} \]と書ける。 $0\lt q\leqq 1$ なので、 $\dfrac{2}{3}\leqq p\leqq 1$ となる。
また、 $\overrightarrow{ \mathrm{ QP } }=(-q,p)$, $\overrightarrow{ \mathrm{ QR } }=(1-q,r)$ なので、三角形 PQR の面積は、
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{2} | -qr-p(1-q) | \\[5pt]
&=&
\frac{1}{2} \{ (1-q)p+qr \} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。これが $\dfrac{1}{3}$ であることと、 $q=\dfrac{2}{3p}$ から
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2} \left\{ p-\frac{2p}{3p}+\frac{2}{3p}r \right\} &=& \dfrac{1}{3} \\[5pt]
\frac{2}{3p}r &=& -p+\dfrac{4}{3} \\[5pt]
r &=& -\frac{3}{2}p^2+2p \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
\begin{eqnarray}
r
&=&
-\frac{3}{2}p^2+2p
&=&
-\frac{3}{2} \left(p-\frac{2}{3}\right)^2+\frac{2}{3}
\end{eqnarray}なので、 $\dfrac{2}{3}\leqq p \leqq 1$ の範囲では、 $r$ は単調減少だから、\[ \frac{1}{2} \leqq r \leqq \frac{2}{3} \]となり、これは $0\leqq r\leqq 1$ を満たす。
以上から、 $q=\dfrac{2}{3p}$, $r=-\dfrac{3}{2}p^2+2p$ である。また、 $\dfrac{2}{3}\leqq p\leqq 1$ であるから、 $\dfrac{2}{3}\leqq q\leqq 1$, $\dfrac{1}{2} \leqq r \leqq \dfrac{2}{3}$ となる。
(2)
$\dfrac{\mathrm{ CR } }{\mathrm{ OQ } }$ は、 $\dfrac{r}{q}$ のことなので、この値を $f(p)$ とおくと
\begin{eqnarray}
f(p)
&=&
\left(-\frac{3}{2}p^2+2p\right)\times\frac{3p}{2} \\[5pt]
&=&
-\frac{9}{4}p^3+3p^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}であるから
\begin{eqnarray}
f'(p)
&=&
-\frac{27}{4}p^2+6p \\[5pt]
&=&
\frac{3}{4}p(-9p+8) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。 $f'(p)=0$ とすると $p=\dfrac{8}{9}$ なので、増減表は次のようになる。
\begin{array}{c|ccccc}
p & \frac{2}{3} & \cdots & \frac{8}{9} & \cdots & 1 \\
\hline
f’(p) & & + & 0 & – & \\
\hline
f(p) & & \nearrow & & \searrow &
\end{array}よって、最大値は
\begin{eqnarray}
f \left(\frac{8}{9}\right)
&=&
-\frac{9}{4}\cdot\frac{8^3}{9^3}+3\cdot\frac{8^2}{9^2} \\[5pt]
&=&
\frac{-2\cdot 64+3\cdot 64}{81} \\[5pt]
&=&
\frac{64}{81} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。最小値については、
\begin{eqnarray}
f \left(\frac{2}{3}\right)
&=&
-\frac{9}{4}\cdot\frac{2^3}{3^3}+3\cdot\frac{2^2}{3^2} \\[5pt]
&=&
-\frac{2}{3}+\frac{4}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{2}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}と
\begin{eqnarray}
f (1)
&=&
-\frac{9}{4}+3 \\[5pt]
&=&
\frac{3}{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}から、 $\dfrac{2}{3}$ が最小値であることがわかる。
よって、 $\dfrac{\mathrm{ CR } }{\mathrm{ OQ } }$ は、 $\mathrm{ OP }=\dfrac{8}{9}$ のときに最大値 $\dfrac{64}{81}$ をとり、 $\mathrm{ OP }=\dfrac{2}{3}$ のときに最小値 $\dfrac{2}{3}$ をとる。
(終)
参考
なお、四角形 OPRQ の面積が $\dfrac{2}{3}$ であり、 OR で分割することで、\[ \frac{p}{2}+\frac{qr}{2}=\frac{2}{3} \]になることに気づけば、この公式を使う必要はありません。