共通テスト 数学II・数学B 2024年度追試 第1問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
花子さんは、三角関数の表を見て、角 $\theta$ が $90^{\circ}$ に近づくときの $\tan\theta$ の値の変化に興味をもった。なお、表1は三角関数の表の一部である。
表1 $\theta$ $\tan\theta$ $\vdots$ $\vdots$ $81^{\circ}$ $6.3138$ $82^{\circ}$ $7.1154$ $83^{\circ}$ $8.1443$ $\vdots$ $\vdots$ $89^{\circ}$ $57.2900$ $90^{\circ}$ ― そこで、 $0\lt x \lt\dfrac{\pi}{4}$ を満たす $x$ に対して、 $\tan\left(\dfrac{\pi}{2}-2x\right)$ と $\tan\left(\dfrac{\pi}{2}-x\right)$ の値を比較してみることにした。
(1) $\tan 2x=\dfrac{\sin 2x}{\cos 2x}=\dfrac{\dBox{タ}}{\cos^2x-\sin^2x}$ より、分母と分子をそれぞれ $\cos^2 x$ で割ると、\[ \tan 2x=\dBox{チ} \]となる。さらに、 $0\lt\alpha\lt\frac{\pi}{2}$ を満たす $\alpha$ に対して、 $\tan\left(\frac{\pi}{2}-\alpha\right)=\frac{1}{\tan\alpha}$ が成り立つことから、 $\dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)}$ は $\tan x$ を用いて\[ \dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)} =\dBox{ツ} \quad \cdots ① \]と表せる。
$\dbox{タ}$ の解答群
0: $\sin x$
1: $\cos x$
2: $2\sin x$
3: $2\cos x$
4: $\sin^2 x$
5: $2\sin^2 x-1$
6: $\cos^2 x$
7: $2\cos^2 x-1$
8: $2\sin x\cos x$$\dbox{チ},\ \dbox{ツ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $2\tan x$
1: $\dfrac{1}{2\tan x}$
2: $\tan^2 x$
3: $\dfrac{1}{\tan^2 x}$
4: $\dfrac{1+\tan^2 x}{2}$
5: $\dfrac{2}{1+\tan^2 x}$
6: $\dfrac{1-\tan^2 x}{2}$
7: $\dfrac{2}{1-\tan^2 x}$
8: $\dfrac{1+\tan^2 x}{2\tan x}$
9: $\dfrac{2\tan x}{1+\tan^2 x}$
a: $\dfrac{1-\tan^2 x}{2\tan x}$
b: $\dfrac{2\tan x}{1-\tan^2 x}$
(2) ① から、 $0\lt x\lt \frac{\pi}{4}$ のとき $\dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)}$ のとり得る値の範囲は\[ \dBox{テ} \lt \dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)} \lt \dBox{ト} \quad\cdots ② \]
$\dBox{テ},\ \dBox{ト}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $0$
1: $1$
2: $2$
3: $3$
4: $4$5: $\frac{1}{2}$
6: $\frac{1}{3}$
7: $\frac{1}{4}$
(3) 花子さんは、表1に載っていない $\tan 89.5^{\circ}$ の値を、②を用いて調べることにした。
$0\lt x \lt\frac{\pi}{4}$ のとき、 $\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)=\tan 89^{\circ}$ を満たす $x$ は\[ x=\dfrac{\pi}{\myBox{ナニヌ}} \]である。
花子さんは、表1を参考にして、 $\tan 89^{\circ}=57.29$ とした。②を用いると $\tan 89.5^{\circ}$ の値は $\dBox{ネ}$ であることがわかる。
$\dbox{ネ}$ の解答群
0: 30未満
1: 30以上 40未満
2: 40以上 50未満
3: 50以上 60未満
4: 60以上 70未満
5: 70以上 80未満
6: 80以上 90未満
7: 90以上 100未満
8: 100以上 110未満
9: 110以上
考え方
前半は $\tan$ の倍角の公式です。中盤ではよくわからない分数の値を考えますが、これを使えば終盤の問題が使えるようになります。「これを使う」というのはすぐにわかるので、どう使えば知りたいことができるかはわかりやすいでしょう。
【必答問題】
解答編
問題
花子さんは、三角関数の表を見て、角 $\theta$ が $90^{\circ}$ に近づくときの $\tan\theta$ の値の変化に興味をもった。なお、表1は三角関数の表の一部である。
表1 $\theta$ $\tan\theta$ $\vdots$ $\vdots$ $81^{\circ}$ $6.3138$ $82^{\circ}$ $7.1154$ $83^{\circ}$ $8.1443$ $\vdots$ $\vdots$ $89^{\circ}$ $57.2900$ $90^{\circ}$ ― そこで、 $0\lt x \lt\dfrac{\pi}{4}$ を満たす $x$ に対して、 $\tan\left(\dfrac{\pi}{2}-2x\right)$ と $\tan\left(\dfrac{\pi}{2}-x\right)$ の値を比較してみることにした。
(1) $\tan 2x=\dfrac{\sin 2x}{\cos 2x}=\dfrac{\dBox{タ}}{\cos^2x-\sin^2x}$ より、分母と分子をそれぞれ $\cos^2 x$ で割ると、\[ \tan 2x=\dBox{チ} \]となる。さらに、 $0\lt\alpha\lt\frac{\pi}{2}$ を満たす $\alpha$ に対して、 $\tan\left(\frac{\pi}{2}-\alpha\right)=\frac{1}{\tan\alpha}$ が成り立つことから、 $\dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)}$ は $\tan x$ を用いて\[ \dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)} =\dBox{ツ} \quad \cdots ① \]と表せる。
$\dbox{タ}$ の解答群
0: $\sin x$
1: $\cos x$
2: $2\sin x$
3: $2\cos x$
4: $\sin^2 x$
5: $2\sin^2 x-1$
6: $\cos^2 x$
7: $2\cos^2 x-1$
8: $2\sin x\cos x$$\dbox{チ},\ \dbox{ツ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $2\tan x$
1: $\dfrac{1}{2\tan x}$
2: $\tan^2 x$
3: $\dfrac{1}{\tan^2 x}$
4: $\dfrac{1+\tan^2 x}{2}$
5: $\dfrac{2}{1+\tan^2 x}$
6: $\dfrac{1-\tan^2 x}{2}$
7: $\dfrac{2}{1-\tan^2 x}$
8: $\dfrac{1+\tan^2 x}{2\tan x}$
9: $\dfrac{2\tan x}{1+\tan^2 x}$
a: $\dfrac{1-\tan^2 x}{2\tan x}$
b: $\dfrac{2\tan x}{1-\tan^2 x}$
解説
(1)
倍角の公式より、 $\sin 2x=2\sin x\cos x$, $\cos 2x=\cos^2x-\sin^2x$ なので\[ \tan 2x=\frac{\sin 2x}{\cos 2x}=\frac{2\sin x\cos x}{\cos^2 x-\sin^2 x} \]となります。分母・分子を $\cos^2 x$ で割ると
\begin{eqnarray}
\tan 2x &=& \frac{2\sin x\cos x}{\cos^2 x-\sin^2 x} \\[5pt]
&=& \frac{\frac{2 \sin x\cos x}{\cos^2x}}{1-\frac{\sin^2 x}{\cos^2 x}} \\[5pt]
&=& \frac{2\tan x}{1-\tan^2 x} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。なお、これは、 $\tan$ の倍角の公式そのままです。
また、問題文にあるように $0\lt \alpha\lt\frac{\pi}{2}$ のとき、 $\tan\left(\frac{\pi}{2}-\alpha\right)=\frac{1}{\tan\alpha}$ が成り立ちます。これは、直角三角形をかけばわかります。これを使えば
\begin{eqnarray}
& &
\dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)} \\[5pt]
&=&
\dfrac{\frac{1}{\tan 2x}}{\frac{1}{\tan x}} \\[5pt]
&=&
\dfrac{\tan x}{\tan 2x} \\[5pt]
&=&
\dfrac{\tan x}{\frac{2\tan x}{1-\tan^2 x}} \\[5pt]
&=&
\dfrac{1-\tan^2 x}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}と変形できます。
解答
タ:8 (2点)
チ:b (2点)
ツ:6 (3点)
解答編 つづき
問題
(2) ① から、 $0\lt x\lt \frac{\pi}{4}$ のとき $\dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)}$ のとり得る値の範囲は\[ \dBox{テ} \lt \dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)} \lt \dBox{ト} \quad\cdots ② \]
$\dBox{テ},\ \dBox{ト}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $0$
1: $1$
2: $2$
3: $3$
4: $4$5: $\frac{1}{2}$
6: $\frac{1}{3}$
7: $\frac{1}{4}$
解説
(2)
$0\lt x\lt\dfrac{\pi}{4}$ のとき、 $0\lt \tan x\lt 1$ なので、 $\dfrac{1}{2} \gt \dfrac{1-\tan^2 x}{2} \gt 0$ となります。よって\[ 0\lt \dfrac{\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)}{\tan\left(\frac{\pi}{2}-x\right)} \lt \frac{1}{2} \]となります。
解答
テト:05 (3点)
解答編 つづき
問題
(3) 花子さんは、表1に載っていない $\tan 89.5^{\circ}$ の値を、②を用いて調べることにした。
$0\lt x \lt\frac{\pi}{4}$ のとき、 $\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)=\tan 89^{\circ}$ を満たす $x$ は\[ x=\dfrac{\pi}{\myBox{ナニヌ}} \]である。
解説
(3)
$0\lt x\lt \frac{\pi}{4}$ のとき、$\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)$ は各値を1度しかとらないので、 $\tan\left(\frac{\pi}{2}-2x\right)=\tan 89^{\circ}$ ならば角同士が等しくなります。つまり\[ \frac{\pi}{2}-2x = 89^{\circ} \]となります。また、 $89^{\circ}$ をラジアンで表すと $89\cdot\dfrac{\pi}{180}$ なので
\begin{eqnarray}
\frac{\pi}{2} -2x &=& 89\cdot\frac{\pi}{180} \\[5pt]
90\pi -360x &=& 89\pi \\[5pt]
x &=& \frac{\pi}{360}
\end{eqnarray}となります。
解答
ナニヌ:360 (2点)
解答編 つづき
問題
花子さんは、表1を参考にして、 $\tan 89^{\circ}=57.29$ とした。②を用いると $\tan 89.5^{\circ}$ の値は $\dBox{ネ}$ であることがわかる。
$\dbox{ネ}$ の解答群
0: 30未満
1: 30以上 40未満
2: 40以上 50未満
3: 50以上 60未満
4: 60以上 70未満
5: 70以上 80未満
6: 80以上 90未満
7: 90以上 100未満
8: 100以上 110未満
9: 110以上
解説
②で、$x=\dfrac{\pi}{360}$ を代入すると
\begin{eqnarray}
0 \lt \frac{\tan 89^{\circ}}{\tan 89.5^{\circ}} \lt \frac{1}{2} \\[5pt]
0 \lt 57.29 \lt \frac{\tan 89.5^{\circ}}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。右側の不等号から、 $\tan 89.5^{\circ}\gt 2\cdot57.29 \gt 110$ となることがわかります。
解答
ネ:9 (3点)