共通テスト 数学II・数学B 2022年度 第1問 [1] 解説
【必答問題】
問題編
問題
座標平面上に点 $\mathrm{A}(-8,0)$ をとる。また、不等式\[ x^2+y^2-4x-10y+4\leqq 0 \]の表す領域を $D$ とする。
(1) 領域 $D$ は中心が点 $\left(\myBox{ア}, \myBox{イ}\right)$、半径が $\myBox{ウ}$ の円の $\dBox{エ}$ である。
$\dbox{エ}$ の解答群
0: 周
1: 内部
2: 外部
3: 周および内部
4: 周および外部以下、点 $\left(\mybox{ア}, \mybox{イ}\right)$ を Q とし、方程式\[ x^2+y^2-4x-10y+4=0 \]の表す図形を $C$ とする。
(2) 点 A を通る直線と領域 $D$ が共有点をもつのはどのようなときかを考えよう。
(i) (1) により、直線 $y=\myBox{オ}$ は点 A を通る $C$ の接線の一つとなることがわかる。
太郎さんと花子さんは点 A を通る $C$ のもう一つの接線について話している。
点 A を通り、傾きが $k$ の直線を $\ell$ とする。
- 直線 $\ell$ の方程式は $y=k(x+8)$ と表すことができるから、これを\[ x^2+y^2-4x-10y+4=0 \]に代入することで接線を求められそうだね。
- $x$ 軸と直線 AQ のなす角のタンジェントに着目することでも求められそうだよ。
(ii) 太郎さんの求め方について考えてみよう。
$y=k(x+8)$ を $x^2+y^2-4x-10y+4=0$ に代入すると、 $x$ についての2次方程式\[ (k^2+1)x^2 +(16k^2-10k-4)x+64k^2-80k+4=0 \]が得られる。この方程式が $\dBox{カ}$ ときの $k$ の値が接線の傾きとなる。
$\dbox{カ}$ の解答群
0: 重解をもつ
1: 異なる二つの実数解をもち、一つは $0$ である
2: 異なる二つの正の実数解をもつ
3: 正の実数解と負の実数解をもつ
4: 異なる二つの負の実数解をもつ
5: 異なる二つの虚数解をもつ(iii) 花子さんの求め方について考えてみよう。
$x$ 軸と直線 AQ のなす角を $\theta$ $\left(0\lt \theta\leqq \dfrac{\pi}{2}\right)$ とすると\[ \tan\theta=\dfrac{\myBox{キ} }{\myBox{ク} } \]であり、直線 $y=\mybox{オ}$ と異なる接線の傾きは $\tan\dBox{ケ}$ と表すことができる。
$\dbox{ケ}$ の解答群
0: $\theta$
1: $2\theta$
2: $\left(\theta+\dfrac{\pi}{2}\right)$
3: $\left(\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)$
4: $\left(\theta+\pi\right)$
5: $\left(\theta-\pi\right)$
6: $\left(2\theta+\dfrac{\pi}{2}\right)$
7: $\left(2\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)$(iv) 点 A を通る $C$ の接線のうち、直線 $y=\mybox{オ}$ と異なる接線の傾きを $k_0$ とする。このとき、(ii) または (iii) の考え方を用いることにより\[ k_0=\dfrac{\myBox{コ} }{\myBox{サ} } \]であることがわかる。
直線 $\ell$ と領域 $D$ が共有点をもつような $k$ の値の範囲は $\dBox{シ}$ である。
$\dbox{シ}$ の解答群
0: $k\gt k_0$
1: $k\geqq k_0$
2: $k\lt k_0$
3: $k\leqq k_0$
4: $0\lt k \lt k_0$
5: $0\leqq k\leqq k_0$
考え方
ある点を通る円の接線を求める問題です。図をかいて考えましょう。
太郎さんの求め方では計算結果も書いてくれており、かなり親切です。複数の求め方を考えるのは共通テストっぽいですね。どちらの方法でも答えは求められますが、楽な方を選びましょう。
【必答問題】
解答編
問題
座標平面上に点 $\mathrm{A}(-8,0)$ をとる。また、不等式\[ x^2+y^2-4x-10y+4\leqq 0 \]の表す領域を $D$ とする。
(1) 領域 $D$ は中心が点 $\left(\myBox{ア}, \myBox{イ}\right)$、半径が $\myBox{ウ}$ の円の $\dBox{エ}$ である。
$\dbox{エ}$ の解答群
0: 周
1: 内部
2: 外部
3: 周および内部
4: 周および外部
解説
領域 $D$ の式は
\begin{eqnarray}
x^2+y^2-4x-10y+4 &\leqq& 0 \\[5pt]
(x-2)^2-4+(y-5)^2-25+4 &\leqq& 0 \\[5pt]
(x-2)^2+(y-5)^2 &\leqq& 25 \\[5pt]
\end{eqnarray}なので、領域 $D$ は中心が $(2,5)$ で半径が $5$ の円の周および内部となります。
解答
アイ:25
ウ:5
エ:3
解答編 つづき
以下、点 $\left(\mybox{ア}, \mybox{イ}\right)$ を Q とし、方程式\[ x^2+y^2-4x-10y+4=0 \]の表す図形を $C$ とする。
(2) 点 A を通る直線と領域 $D$ が共有点をもつのはどのようなときかを考えよう。
(i) (1) により、直線 $y=\myBox{オ}$ は点 A を通る $C$ の接線の一つとなることがわかる。
解説
図は次のようになっています。
$C$ が $x$ 軸に接していて、点 $\mathrm{A}(-8,0)$ は $x$ 軸上の点なので、直線 $y=0$ は点 A を通る $C$ の接線の一つとなることがわかります。
解答
オ:0
解答編 つづき
太郎さんと花子さんは点 A を通る $C$ のもう一つの接線について話している。
点 A を通り、傾きが $k$ の直線を $\ell$ とする。
- 直線 $\ell$ の方程式は $y=k(x+8)$ と表すことができるから、これを\[ x^2+y^2-4x-10y+4=0 \]に代入することで接線を求められそうだね。
- $x$ 軸と直線 AQ のなす角のタンジェントに着目することでも求められそうだよ。
(ii) 太郎さんの求め方について考えてみよう。
$y=k(x+8)$ を $x^2+y^2-4x-10y+4=0$ に代入すると、 $x$ についての2次方程式\[ (k^2+1)x^2 +(16k^2-10k-4)x+64k^2-80k+4=0 \]が得られる。この方程式が $\dBox{カ}$ ときの $k$ の値が接線の傾きとなる。
$\dbox{カ}$ の解答群
0: 重解をもつ
1: 異なる二つの実数解をもち、一つは $0$ である
2: 異なる二つの正の実数解をもつ
3: 正の実数解と負の実数解をもつ
4: 異なる二つの負の実数解をもつ
5: 異なる二つの虚数解をもつ
解説
太郎さんの求め方では、 $y$ を消して $x$ の2次方程式を考えます。代入した後の式も問題文に書いてくれているので親切です。\[ (k^2+1)x^2 +(16k^2-10k-4)x+64k^2-80k+4=0 \]接線を求めるので、この方程式が重解をもつときの $k$ の値が接線の傾きとなります。
解答
カ:0
解答編 つづき
(iii) 花子さんの求め方について考えてみよう。
$x$ 軸と直線 AQ のなす角を $\theta$ $\left(0\lt \theta\leqq \dfrac{\pi}{2}\right)$ とすると\[ \tan\theta=\dfrac{\myBox{キ} }{\myBox{ク} } \]であり、直線 $y=\mybox{オ}$ と異なる接線の傾きは $\tan\dBox{ケ}$ と表すことができる。
$\dbox{ケ}$ の解答群
0: $\theta$
1: $2\theta$
2: $\left(\theta+\dfrac{\pi}{2}\right)$
3: $\left(\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)$
4: $\left(\theta+\pi\right)$
5: $\left(\theta-\pi\right)$
6: $\left(2\theta+\dfrac{\pi}{2}\right)$
7: $\left(2\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)$
解説
花子さんの求め方では、直線 AQ や接線を書くと考えやすくなります。
まず、 $\tan\theta=\dfrac{5}{8+2}=\dfrac{1}{2}$ と求められます。また、2つの接線は直線 AQ について線対称なので、直線 $y=0$ と異なる接線の傾きは $2\theta$ と表すことができます。
解答
キク:12
ケ:1
解答編 つづき
(iv) 点 A を通る $C$ の接線のうち、直線 $y=\mybox{オ}$ と異なる接線の傾きを $k_0$ とする。このとき、(ii) または (iii) の考え方を用いることにより\[ k_0=\dfrac{\myBox{コ} }{\myBox{サ} } \]であることがわかる。
直線 $\ell$ と領域 $D$ が共有点をもつような $k$ の値の範囲は $\dBox{シ}$ である。
$\dbox{シ}$ の解答群
0: $k\gt k_0$
1: $k\geqq k_0$
2: $k\lt k_0$
3: $k\leqq k_0$
4: $0\lt k \lt k_0$
5: $0\leqq k\leqq k_0$
解説
まずは、太郎さんの求め方を使ってみます。\[ (k^2+1)x^2 +(16k^2-10k-4)x+64k^2-80k+4=0 \]の判別式は
\begin{eqnarray}
& &
(16k^2-10k-4)^2-4(k^2+1)(64k^2-80k+4) \\[5pt]
&=&
(256k^4+100k^2+16-320k^3+80k-128k^2)\\
& & -4(64k^4-80k^3+4k^2+64k^2-80k+4) \\[5pt]
&=&
(256k^4-320k^3-28k^2+80k+16)\\
& & -4(64k^4-80k^3+68k^2-80k+4) \\[5pt]
&=&
(-28k^2+80k) -4(68k^2-80k) \\[5pt]
&=&
4(-7k^2+20k-68k^2+80k) \\[5pt]
&=&
4(-75k^2+100k) \\[5pt]
&=&
-100k(3k-4) \\[5pt]
\end{eqnarray}と変形できるので、これが $0$ となるのは $k=0,\dfrac{4}{3}$ のときです。よって、 $k_0=\dfrac{4}{3}$ となります。
一方、花子さんの求め方であれば、倍角の公式を使って
\begin{eqnarray}
k_0 &=& \tan2\theta=\dfrac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta} \\[5pt]
&=& \dfrac{2\cdot\frac{1}{2} }{1-\left(\frac{1}{2}\right)^2} \\[5pt]
&=& \dfrac{1}{1-\frac{1}{4} } \\[5pt]
&=& \frac{4}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。花子さんの解き方のほうが、計算量がかなり少ないです。
また、直線 $\ell$ と領域 $D$ が共有点をもつような $k$ の値の範囲は、 $0\leqq k \leqq k_0$ となります。
解答
コサ:43
シ:5