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共通テスト 数学II・数学B 2022年度 第3問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【第3問~第5問から2問選択】

(正規分布表と図1は省略しています)

問題編

問題

  以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて41ページの正規分布表を用いてもよい。

 ジャガイモを栽培し販売している会社に勤務する花子さんは、A地区とB地区で収穫されているジャガイモについて調べることになった。

(1) A地区で収穫されるジャガイモには1個の重さが 200g を超えるものが 25% 含まれることが経験的にわかっている。花子さんはA地区で収穫されたジャガイモから 400個を無作為に抽出し、重さを計測した。そのうち、重さが 200g を超えるジャガイモの個数を表す確率変数を $Z$ とする。このとき $Z$ は二項分布 $B\left(400, 0.\myBox{アイ}\right)$ に従うから、 $Z$ の平均(期待値)は $\myBox{ウエオ}$ である。

(2) $Z$ を(1)の確率変数とし、A地区で収穫されたジャガイモ 400個からなる標本において、重さが 200g を超えていたジャガイモの標本における比率を $R=\dfrac{Z}{400}$ とする。このとき、 $R$ の標準偏差は $\sigma(R)=\dBox{カ}$ である。

 標本の大きさ $400$ は十分に大きいので、 $R$ は近似的に正規分布 $N\left(0.\mybox{アイ}, \left(\dbox{カ}\right)^2\right)$ に従う。

 したがって、 $P(R\geqq x)=0.0465$ となるような $x$ の値は $\dBox{キ}$ となる。ただし、 $\dbox{キ}$ の計算においては $\sqrt{3}=1.73$ とする。

 $\dbox{カ}$ の解答群

 0: $\dfrac{3}{6400}$

 1: $\dfrac{\sqrt{3} }{4}$

 2: $\dfrac{\sqrt{3} }{80}$

 3: $\dfrac{3}{40}$

 $\dbox{キ}$ については、最も適当なものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: $0.209$
 1: $0.251$
 2: $0.286$
 3: $0.395$

(3) B地区で収穫され、出荷される予定のジャガイモ1個の重さは 100g から 300g の間に分布している。B地区で収穫され、出荷される予定のジャガイモ1個の重さを表す確率変数を $X$ とするとき、 $X$ は連続型確率変数であり、 $X$ のとり得る値 $x$ の範囲は $100\leqq x\leqq 300$ である。

 花子さんは、B地区で収穫され、出荷される予定のすべてのジャガイモのうち、重さが 200g 以上のものの割合を見積もりたいと考えた。そのために、花子さんは、 $X$ の確率密度関数 $f(x)$ として適当な関数を定め、それを用いて割合を見積もるという方針を立てた。

 B地区で収穫され、出荷される予定のジャガイモから $206$ 個を無作為に抽出したところ、重さの標本平均は 180g であった。図1はこの標本のヒストグラムである。

(図1は省略)

 花子さんは図1のヒストグラムにおいて、重さ $x$ の増加とともに度数がほぼ一定の割合で減少している傾向に着目し、 $X$ の確率密度関数 $f(x)$ として、1次関数\[ f(x)=ax+b \quad (100\leqq x \leqq 300) \]を考えることにした。ただし、 $100\leqq x\leqq 300$ の範囲で $f(x)\geqq 0$ であるとする。

 このとき、 $P(100\leqq X\leqq 300)=\myBox{ク}$ であることから\[ \myBox{ケ}\cdot10^4a+\myBox{コ}\cdot10^2b=\mybox{ク} \quad\cdots ① \]である。

 花子さんは、 $X$ の平均(期待値)が重さの標本平均 180g と等しくなるように確率密度関数を定める方法を用いることにした。

 連続型確率変数 $X$ のとり得る値 $x$ の範囲が $100\leqq x\leqq 300$ で、その確率密度関数が $f(x)$ のとき、 $X$ の平均(期待値)$m$ は\[ m=\int_{100}^{300} xf(x)dx \]で定義される。この定義と花子さんの採用した方法から\[ m=\dfrac{26}{3}\cdot 10^6a+4\cdot 10^4b=180 \quad \cdots ② \]となる。①と②により、確率密度関数は\[ f(x)=-\myBox{サ}\cdot10^{-5}x+\myBox{シス}\cdot10^{-3} \quad\cdots③ \]と得られる。このようにして得られた③の $f(x)$ は、 $100\leqq x\leqq 300$ の範囲で $f(x)\geqq 0$ を満たしており、確かに確率密度関数として適当である。

 したがって、花子さんの方針に基づくと、B地区で収穫され、出荷される予定のすべてのジャガイモのうち、重さが 200g 以上のものは $\dBox{セ}$%あると見積もることができる。

 $\dbox{セ}$ については、最も適当なものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: 33
 1: 34
 2: 35
 3: 36

考え方

前半の二項分布に関する計算や正規分布表を使った計算は、毎年のように出題されているものです。後半は連続密度関数の問題で、こちらは数年に一度しか出ないため、あまり練習していなかった人もいるかもしれません。

誘導は丁寧で、平均の計算結果も書いてくれているので、ちゃんと学んでいれば最後まで解けるでしょう。ただ、「連続密度関数は出ない」とヤマをはっていたら厳しいかもしれません。


【第3問~第5問から2問選択】

(正規分布表と図1は省略しています)

解答編

問題

  以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて41ページの正規分布表を用いてもよい。

 ジャガイモを栽培し販売している会社に勤務する花子さんは、A地区とB地区で収穫されているジャガイモについて調べることになった。

(1) A地区で収穫されるジャガイモには1個の重さが 200g を超えるものが 25% 含まれることが経験的にわかっている。花子さんはA地区で収穫されたジャガイモから 400個を無作為に抽出し、重さを計測した。そのうち、重さが 200g を超えるジャガイモの個数を表す確率変数を $Z$ とする。このとき $Z$ は二項分布 $B\left(400, 0.\myBox{アイ}\right)$ に従うから、 $Z$ の平均(期待値)は $\myBox{ウエオ}$ である。

解説

1個のジャガイモを抽出したとき、それが 200g を超える確率は $0.25$ なので、 $Z$ は二項分布 $B(400, 0.25)$ に従います。よって、 $Z$ の平均は\[ 400\cdot0.25=100 \]と計算できます。

解答

アイ:25
ウエオ:100

解答編 つづき

(2) $Z$ を(1)の確率変数とし、A地区で収穫されたジャガイモ 400個からなる標本において、重さが 200g を超えていたジャガイモの標本における比率を $R=\dfrac{Z}{400}$ とする。このとき、 $R$ の標準偏差は $\sigma(R)=\dBox{カ}$ である。

 標本の大きさ $400$ は十分に大きいので、 $R$ は近似的に正規分布 $N\left(0.\mybox{アイ}, \left(\dbox{カ}\right)^2\right)$ に従う。

 したがって、 $P(R\geqq x)=0.0465$ となるような $x$ の値は $\dBox{キ}$ となる。ただし、 $\dbox{キ}$ の計算においては $\sqrt{3}=1.73$ とする。

 $\dbox{カ}$ の解答群

 0: $\dfrac{3}{6400}$

 1: $\dfrac{\sqrt{3} }{4}$

 2: $\dfrac{\sqrt{3} }{80}$

 3: $\dfrac{3}{40}$

 $\dbox{キ}$ については、最も適当なものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: $0.209$
 1: $0.251$
 2: $0.286$
 3: $0.395$

解説

$Z$ の標準偏差は\[ \sqrt{400\cdot 0.25\cdot(1-0.25)}=5\sqrt{3} \]なので、 $R$ の標準偏差は\[ 5\sqrt{3}\div 400 =\frac{\sqrt{3} }{80} \]となります。

問題文にあるとおり、 $R$ は正規分布 $N\left(0.25, \left(\dfrac{\sqrt{3} }{80}\right)^2 \right)$ に従うとします。また、確率変数 $Z_0$ が標準正規分布に従うとすると、
\begin{eqnarray} & & P(R \geqq x) \\[5pt] &=& P\left( (R-0.25)\cdot\frac{80}{\sqrt{3} } \geqq (x-0.25) \cdot\frac{80}{\sqrt{3} } \right) \\[5pt] &=& P\left( Z_0 \geqq (x-0.25) \cdot\frac{80}{\sqrt{3} } \right) \\[5pt] &=& 0.5 -P\left( 0\leqq Z_0 \lt (x-0.25) \cdot\frac{80}{\sqrt{3} } \right) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ここで、正規分布表で $0.5-0.0465=0.4535$ となる箇所を探すと、 $z_0=1.68$ とわかるので、\[ 1.68=(x-0.25) \cdot\frac{80}{\sqrt{3} } \]となることがわかります。これを解くと \begin{eqnarray} x-0.25 &=& 1.68\cdot\frac{\sqrt{3} }{80} \\[5pt] &=& 0.021\cdot 1.73 = 0.03633 \\[5pt] x &=& 0.25+0.03633=0.28633 \end{eqnarray}となるので、選択肢の中では 2 となります。

解答

カ:2
キ:2

解答編 つづき

(3) B地区で収穫され、出荷される予定のジャガイモ1個の重さは 100g から 300g の間に分布している。B地区で収穫され、出荷される予定のジャガイモ1個の重さを表す確率変数を $X$ とするとき、 $X$ は連続型確率変数であり、 $X$ のとり得る値 $x$ の範囲は $100\leqq x\leqq 300$ である。

 花子さんは、B地区で収穫され、出荷される予定のすべてのジャガイモのうち、重さが 200g 以上のものの割合を見積もりたいと考えた。そのために、花子さんは、 $X$ の確率密度関数 $f(x)$ として適当な関数を定め、それを用いて割合を見積もるという方針を立てた。

 B地区で収穫され、出荷される予定のジャガイモから $206$ 個を無作為に抽出したところ、重さの標本平均は 180g であった。図1はこの標本のヒストグラムである。

(図1は省略)

 花子さんは図1のヒストグラムにおいて、重さ $x$ の増加とともに度数がほぼ一定の割合で減少している傾向に着目し、 $X$ の確率密度関数 $f(x)$ として、1次関数\[ f(x)=ax+b \quad (100\leqq x \leqq 300) \]を考えることにした。ただし、 $100\leqq x\leqq 300$ の範囲で $f(x)\geqq 0$ であるとする。

 このとき、 $P(100\leqq X\leqq 300)=\myBox{ク}$ であることから\[ \myBox{ケ}\cdot10^4a+\myBox{コ}\cdot10^2b=\mybox{ク} \quad\cdots ① \]である。

解説

$100\leqq x\leqq 300$ は必ず成り立つので、 $P(100\leqq X\leqq 300)=1$ です。これより、確率密度関数を全区間で積分した値も $1$ にならないといけないので
\begin{eqnarray} \int_{100}^{300} (ax+b)dx &=& 1 \\[4pt] \left[ \dfrac{ax^2}{2}+bx \right]_{100}^{300} &=& 1 \\[4pt] \dfrac{a(300^2-100^2)}{2}+b(300-100) &=& 1 \\[4pt] 4\cdot 10^4a+2\cdot 10^2b &=& 1 \\[4pt] \end{eqnarray}が成り立たなくてはいけません。

解答

ク:1
ケコ:42

解答編 つづき

 花子さんは、 $X$ の平均(期待値)が重さの標本平均 180g と等しくなるように確率密度関数を定める方法を用いることにした。

 連続型確率変数 $X$ のとり得る値 $x$ の範囲が $100\leqq x\leqq 300$ で、その確率密度関数が $f(x)$ のとき、 $X$ の平均(期待値)$m$ は\[ m=\int_{100}^{300} xf(x)dx \]で定義される。この定義と花子さんの採用した方法から\[ m=\dfrac{26}{3}\cdot 10^6a+4\cdot 10^4b=180 \quad \cdots ② \]となる。①と②により、確率密度関数は\[ f(x)=-\myBox{サ}\cdot10^{-5}x+\myBox{シス}\cdot10^{-3} \quad\cdots③ \]と得られる。このようにして得られた③の $f(x)$ は、 $100\leqq x\leqq 300$ の範囲で $f(x)\geqq 0$ を満たしており、確かに確率密度関数として適当である。

解説

一応、問題文にある $m$ を計算すると
\begin{eqnarray} m &=& \int_{100}^{300} xf(x) dx \\[5pt] &=& \int_{100}^{300} (ax^2+bx) dx \\[5pt] &=& \left[ \dfrac{ax^3}{3}+\dfrac{bx^2}{2} \right]_{100}^{300} \\[5pt] &=& \dfrac{a(300^3-100^3)}{3}+\dfrac{b(300^2-100^2)}{2} \\[5pt] &=& \dfrac{26}{3}\cdot 10^6a+4\cdot 10^4b \\[5pt] \end{eqnarray}となり、問題文にある式が得られます。

①を200倍して②から引くと
\begin{eqnarray} \left(\dfrac{26}{3}-8\right)10^6a &=& 180-200 \\[5pt] \frac{2}{3}\cdot 10^6a &=& -20 \\[5pt] a &=& -30\cdot 10^{-6} \\[5pt] &=& -3\cdot 10^{-5} \end{eqnarray}が得られます。これを①に代入すれば \begin{eqnarray} 4\cdot 10^4\cdot(-3\cdot 10^{-5})+2\cdot10^2b &=& 1 \\[5pt] -1.2+2\cdot10^2b &=& 1 \\[5pt] b &=& \frac{1+1.2}{200} \\[5pt] &=& 11\cdot 10^{-3} \end{eqnarray}が得られます。こうして、\[ f(x)=-3\cdot 10^{-5}x+11\cdot 10^{-3} \]となることがわかります。この関数は単調減少であり、 $f(300)=2\cdot10^{-3}$ となるので、問題文にあるとおり $f(x)\geqq 0$ を満たすことが確認できます。

解答

サ:3
シス:11

解答編 つづき

 したがって、花子さんの方針に基づくと、B地区で収穫され、出荷される予定のすべてのジャガイモのうち、重さが 200g 以上のものは $\dBox{セ}$%あると見積もることができる。

 $\dbox{セ}$ については、最も適当なものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。

 0: 33
 1: 34
 2: 35
 3: 36

解説

確率密度関数がわかったので、重さが 200g 以上となる確率は
\begin{eqnarray} & & \int_{200}^{300} (-3\cdot 10^{-5}x+11\cdot 10^{-3}) dx \\[5pt] &=& \left[ -3\cdot 10^{-5}\cdot\dfrac{x^2}{2}+11\cdot 10^{-3}x \right]_{200}^{300} \\[5pt] &=& -3\cdot 10^{-5}\cdot\dfrac{300^2-200^2}{2}+11\cdot 10^{-3}(300-200) \\[5pt] &=& -3\cdot 10^{-5}\cdot\dfrac{5\cdot 10^4}{2}+1.1 \\[5pt] &=& -0.75 +1.1=0.35 \\[5pt] \end{eqnarray}なので、$35$ % と見積もることができます。

解答

セ:2

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