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京都大学 文系 2024年度 第5問 解説

問題編

問題

 関数 $y=x^2-4x+5$ のグラフの $x\gt 1$ の部分を $C$ とする。このとき、下の条件を満たすような正の実数 $a,b$ について、座標平面の点 $(a,b)$ が動く領域の面積を求めよ。

 「 $C$ と直線 $y=ax+b$ は二つの異なる共有点を持つ。」

考え方

二次関数、領域、積分、式の値といろんな分野の内容をカバーしている問題です。1つ1つは典型的な内容なので、計算間違いに注意して解いていきましょう。


解答編

問題

 関数 $y=x^2-4x+5$ のグラフの $x\gt 1$ の部分を $C$ とする。このとき、下の条件を満たすような正の実数 $a,b$ について、座標平面の点 $(a,b)$ が動く領域の面積を求めよ。

 「 $C$ と直線 $y=ax+b$ は二つの異なる共有点を持つ。」

解答

問題文にある条件を満たすように $(a,b)$ が動く領域は、$x^2-4x+5=ax+b$ が $1$ より大きい二つの異なる実数解をもつように $(a,b)$ が動く領域と等しい。

$x^2-(a+4)x+5-b=0$ が $1$ より大きい二つの異なる実数解をもつことは、以下の3つを満たすことと同値である。

(a) 判別式が正
(b) $x=1$ のときに左辺が正
(c) $y=x^2-(a+4)x+5-b$ の軸が $x=1$ よりも右にある

(a)は
\begin{eqnarray} & & (a+4)^2-4(5-b) \gt 0 \\[5pt] & & a^2+8a+16-20+4b \gt 0 \\[5pt] & & 4b \gt -a^2-8a+4 \\[5pt] & & b \gt -\frac{1}{4}a^2-2a+1 \\[5pt] \end{eqnarray}と同値である。

(b)について、 $x=1$ を代入すると
\begin{eqnarray} & & 1^2-(a+4)\cdot 1+5-b \gt 0 \\[5pt] & & 1-a-4+5-b \gt 0 \\[5pt] & & -b \gt a-2 \\[5pt] & & b \lt -a+2 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。

(c)について、 $y=x^2-(a+4)x+5-b$ の軸は $x=\dfrac{a+4}{2}$ であり、今、 $a$ が正のときを考えているので、この軸はつねに $x=1$ より右にある。

以上より、 $(a,b)$ は第1象限のうち、次の2つを満たす領域を動くことがわかる。
\begin{eqnarray} & & b \gt -\frac{1}{4}a^2-2a+1 \\[5pt] & & b \lt -a+2 \\[5pt] \end{eqnarray}ここで、右辺同士が等しいときの $a$ を求めると \begin{eqnarray} -\frac{1}{4}a^2-2a+1 &=& -a+2 \\[5pt] -\frac{1}{4}a^2-a-1 &=& 0 \\[5pt] a^2+4a+4 &=& 0 \\[5pt] (a+2)^2 &=& 0 \\[5pt] a &=& -2 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。

また、 $-\dfrac{1}{4}a^2-2a+1=0$ の正の解を求めると
\begin{eqnarray} -\dfrac{1}{4}a^2-2a+1 &=& 0 \\[5pt] a^2+8a-4 &=& 0 \\[5pt] a &=& -4\pm\sqrt{4^2-(-4)} \\[5pt] &=& -4\pm 2\sqrt{5} \end{eqnarray}だから、 $a=-4+2\sqrt{5}$ である。この値を $c$ とおく。

以上から、 $(a,b)$ は下の図の色のついた部分を動く(境界線上の点は含まない)。

この領域の面積は、三角形から不要な部分を引けば
\begin{eqnarray} & & \frac{1}{2}\cdot 2\cdot 2-\int_0^c \left(-\frac{1}{4}a^2-2a+1\right)da \\[5pt] &=& 2+\int_0^c \left(\frac{1}{4}a^2+2a-1\right)da \\[5pt] &=& 2+\left[\frac{a^3}{12}+a^2-a\right]_0^c \\[5pt] \end{eqnarray}となる。ここで、 $c=-4+2\sqrt{5}$ は、 $c^2+8c-4=0$ を満たすから、 $c^2=-8c+4$ が成り立つので、 \begin{eqnarray} & & 2+\left[\frac{a^3}{12}+a^2-a\right]_0^c \\[5pt] &=& 2+\frac{c^3}{12}+c^2-c \\[5pt] &=& 2+\frac{c(-8c+4)}{12}+c^2-c \\[5pt] &=& 2+\frac{-2c^2+c}{3}+c^2-c \\[5pt] &=& 2+\frac{1}{3}c^2-\frac{2}{3}c \\[5pt] &=& 2+\frac{1}{3}(-8c+4)-\frac{2}{3}c \\[5pt] &=& 2-\frac{10}{3}c+\frac{4}{3} \\[5pt] &=& \frac{10}{3}-\frac{10}{3}(-4+2\sqrt{5}) \\[5pt] &=& \frac{50}{3}-\frac{20}{3}\sqrt{5} \\[5pt] \end{eqnarray}と求められる。

よって、面積は、 $\dfrac{50-20\sqrt{5}}{3}$ …(答)

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