京都大学 文系 2024年度 第4問 解説
問題編
問題
ある自然数を八進法、九進法、十進法でそれぞれ表したとき、桁数がすべて同じになった。このような自然数で最大のものを求めよ。ただし、必要なら次を用いてもよい。
\begin{eqnarray} 0.3010 \lt \log_{10} 2 \lt 0.3011 \\[5pt] 0.4771 \lt \log_{10} 3 \lt 0.4772 \\[5pt] \end{eqnarray}
考え方
対数を使って、何桁かを調べる問題はよく出てきます。そこで学んだ内容を踏まえれば、八進法で $n$ 桁になることをどういう条件に言い換えればいいか、などを考えられるようになるでしょう。
大きな数を表すと(桁数が増えてくると)、八進法で表した桁数が増えやすくなるので、条件を満たさないようになります。これを踏まえ、桁数の制約から考えていくといいでしょう。
解答編
問題
ある自然数を八進法、九進法、十進法でそれぞれ表したとき、桁数がすべて同じになった。このような自然数で最大のものを求めよ。ただし、必要なら次を用いてもよい。
\begin{eqnarray} 0.3010 \lt \log_{10} 2 \lt 0.3011 \\[5pt] 0.4771 \lt \log_{10} 3 \lt 0.4772 \\[5pt] \end{eqnarray}
解答
自然数 $N$ を八進法、九進法、十進法で表したときの桁数が $n$ であったとする。こうなることは、次の3つの不等式を満たすことと同値である。
\begin{eqnarray}
8^{n-1} \leqq N \lt 8^n \\[5pt]
9^{n-1} \leqq N \lt 9^n \\[5pt]
10^{n-1} \leqq N \lt 10^n \\[5pt]
\end{eqnarray}1つ目と3つ目の不等式から、\[ 10^{n-1}\lt 8^n \]が成り立つ必要がある。
\begin{eqnarray}
& &
10^{n-1}\lt 8^n \\[5pt]
& \iff &
n-1 \lt n\log_{10} 8 \\[5pt]
& \iff &
n-3n\log_{10} 2 \lt 1 \\[5pt]
& \iff &
n \lt \frac{1}{1-3\log_{10} 2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる(なお、 $\log_{10}2\lt 0.3010$ より、 $1-3\log_{10} 2\gt 0$ である)。
ここで、$0.3010 \lt \log_{10} 2 \lt 0.3011$ より
\begin{eqnarray}
& & \frac{1}{1-3\cdot 0.3010} \lt \frac{1}{1-3\log_{10} 2} \lt \frac{1}{1-3\cdot 0.3011} \\[5pt]
& & \frac{1}{0.097} \lt \frac{1}{1-3\log_{10} 2} \lt \frac{1}{0.0967} \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立つ。\[ \frac{1}{0.097}=10.3\cdots, \frac{1}{0.0967}=10.3\cdots \]なので、 $n\leqq 10$ である必要がある。
以上から、冒頭の3つの不等式を満たす $N$ は、 $8^{10}$ 未満であることがわかる。
$N=8^{10}-1$, $n=10$ とすると、 $8^{10}-1=2^{30}-1=1024^3-1$ であり、 $10^9=1000^3$ なので、 $10^9\leqq N$ であることがわかる。また、冒頭の3つの不等式の他の不等号が成り立つことは明らかなので、求める自然数は、 $8^{10}-1$ …(答)