京都大学 文系 2006年度後期 第1問 解説
問題編
【問題】
さいころをn個同時に投げるとき、出た目の数の和が$n+2$になる確率を求めよ。
【考え方】
ほとんどの目が1でないといけません。1以外の目がでるパターンは限られているので、場合分けをして確率を考えれば答えにたどり着けます。
別解では、もっと簡単に解く方法を紹介します。
なお、この問題は理系第3問の簡単バージョンです。
解答編
【問題】
さいころをn個同時に投げるとき、出た目の数の和が$n+2$になる確率を求めよ。
【解答】
n個のサイコロのうち、1の目が$n-m$個、1以外の目がm個出たとすると、出た目の数の和は、$n-m+2m=n+m$以上になる。これが$n+2$以下になるには、$m\leqq 2$でないといけない。よって、1以外の目が2個以下の場合だけ考えればよい。
まず、$n\geqq 2$の場合を考える。
(1) 1以外の目が2個の場合
1以外の目が2個で、その目の合計は$n+2-(n-2)=4$なので、2個とも2の目となる場合しかない。よって、こうなる確率は
\begin{eqnarray}
\frac{ {}_n\mathrm{ C }_2}{6^n}
\end{eqnarray}となる。
(2) 1以外の目が1個の場合
1以外の目は$n+2-(n-1)=3$の場合しかない。よって、こうなる確率は
\begin{eqnarray}
\frac{ {}_n\mathrm{ C }_1}{6^n}= \frac{n}{6^n}
\end{eqnarray}となる。
よって、求める確率は、
\begin{eqnarray}
& &
\frac{ {}_n\mathrm{ C }_2}{6^n}
+\frac{n}{6^n}
\\[5pt]
&=&
\frac{1}{6^n}\left(
\frac{n(n-1)}{2}
+n
\right)
\\[5pt]
&=&
\frac{1}{6^n}
\cdot
\frac{n^2-n+2n}{2}
\\[5pt]
&=&
\frac{n^2 +n}{2\cdot 6^n} \quad \cdots (A)
\end{eqnarray}となる。
$n=1$のとき、出た目の和が$n+2=3$になる確率は、$\frac{1}{6}$で、(A)で$n=1$としたときと一致する。
よって、求める確率は$\displaystyle \frac{n^2 +n}{2\cdot 6^n}$となる。
【解答終】
【解説】
地道に場合分けをして考えるなら、上のように書くことになります。
ただ、もっと簡単に解く方法もあります。出た目の和が$n+2$になる場合の数を、次のようにして考えてみます。$n+2$個のボールを横一列に並べ、各ボールの間($n+1$箇所ある)に$n-1$個の仕切りを入れます。こうしてボールをn個のグループに分けます。このとき、各グループのボールの個数は1から6までの数字であり、合計すると$n+2$になります。つまり、このボールの分け方と、さいころの目の出方は1対1に対応します。
ボールの分け方の総数は、$n+1$箇所に$n-1$個の仕切りを入れる方法の総数なので、${}_{n+1}\mathrm{ C }_{n-1}$となります。よって、求める確率は
\begin{eqnarray}
\frac{ {}_{n+1}\mathrm{ C }_{n-1} }{6^n}=\frac{ {}_{n+1}\mathrm{ C }_2}{6^n}=\frac{n(n+1)}{2\cdot 6^n}
\end{eqnarray}となり、上の答えと一致します。思いつくのなら、このような方法でも構いません。