🏠 Home / センター試験 / センターIIB

センター試験 数学II・数学B 2016年度 第5問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

問題編

問題

(注:正規分布表は省略しています)

 n を自然数とする。原点O から出発して数直線上を n回移動する点A を考える。点A は、1回ごとに、確率 p で正の向きに $3$ だけ移動し、確率 $1-p$ で負の向きに $1$ だけ移動する。ここで、$0\lt p \lt 1$ である。n回移動した後の点A の座標を X とし、n回の移動のうち正の向きの移動の回数を Y とする。
 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて29ページの正規分布表を用いてもよい。

(1) $p=\dfrac{1}{3}$、$n=2$ のとき、確率変数X のとり得る値は、小さい順に、 $-\myBox{ア}$、$\myBox{イ}$、$\myBox{ウ}$ であり、これらの値をとる確率は、それぞれ $\dfrac{\myBox{エ}}{\myBox{オ}}$、$\dfrac{\myBox{カ}}{\mybox{オ}}$、$\dfrac{\myBox{キ}}{\mybox{オ}}$ である。

(2) n回移動したとき、XY の間に\[ X=\myBox{ク}n+\myBox{ケ}Y \]の関係が成り立つ。

 確率変数Y の平均(期待値)は $\myBox{コ}$、分散は $\myBox{サ}$ なので、X の平均は $\myBox{シ}$、分散は $\myBox{ス}$ である。 $\myBox{コ}$ ~ $\myBox{ス}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ b のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。

 0: np
 1: $np(1-p)$
 2: $\dfrac{p(1-p)}{n}$

 3: $2np$
 4: $2np(1-p)$
 5: $p(1-p)$

 6: $4np$
 7: $4np(1-p)$
 8: $16np(1-p)$

 9: $4np-n$
 a: $4np(1-p)-n$
 b: $16np(1-p)-n$

(3) $p=\dfrac{1}{4}$ のとき、$1200$ 回移動した後の点A の座標X が $120$ 以上になる確率の近似値を求めよう。

 (2)により、Y の平均は $\myBox{セソタ}$、標準偏差は $\myBox{チツ}$ であり、求める確率は次のようになる。
\[ P(X\geqq 120) = P\left( \frac{Y-\mybox{セソタ}}{\mybox{チツ}} \geqq \myBox{テ}.\myBox{トナ} \right) \]

 いま、標準正規分布に従う確率変数を Z とすると、$n=1200$ は十分に大きいので、求める確率の近似値は正規分布表から次のように求められる。
\[ P\left( Z \geqq \mybox{テ}.\mybox{トナ} \right) = 0.\myBox{ニヌネ} \]

(4) p の値がわからないとする。$2400$ 回移動した後の点A の座標が $X=1440$ のとき、p に対する信頼度 $95$% の信頼区間を求めよう。

 n回移動したときに Y がとる値を y とし、$\displaystyle r=\frac{y}{n}$ とおくと、n が十分に大きいならば、確率変数 $\displaystyle R=\frac{Y}{n}$ は近似的に平均 p、分散 $\displaystyle \frac{p(1-p)}{n}$ の正規分布に従う。

 $n=2400$は十分に大きいので、このことを利用し、分散を$\displaystyle \frac{r(1-r)}{n}$で置き換えることにより、求める信頼区間は\[ 0.\myBox{ノハヒ} \leqq p \leqq 0.\myBox{フヘホ} \]となる。

考え方

(1)は状況をきちんと把握すれば問題ないでしょう。(2)は独立反復試行の確率であり、これも標準的な問題です。

(3)は正規分布を使った近似、(4)は推定です。正規分布表の見方や信頼区間については、教科書の内容を把握していれば、誘導に沿って解くのは難しくはないです。


解答編

問題

(注:正規分布表は省略しています)

 n を自然数とする。原点O から出発して数直線上を n回移動する点A を考える。点A は、1回ごとに、確率 p で正の向きに $3$ だけ移動し、確率 $1-p$ で負の向きに $1$ だけ移動する。ここで、$0\lt p \lt 1$ である。n回移動した後の点A の座標を X とし、n回の移動のうち正の向きの移動の回数を Y とする。
 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて29ページの正規分布表を用いてもよい。

(1) $p=\dfrac{1}{3}$、$n=2$ のとき、確率変数X のとり得る値は、小さい順に、 $-\myBox{ア}$、$\myBox{イ}$、$\myBox{ウ}$ であり、これらの値をとる確率は、それぞれ $\dfrac{\myBox{エ}}{\myBox{オ}}$、$\dfrac{\myBox{カ}}{\mybox{オ}}$、$\dfrac{\myBox{キ}}{\mybox{オ}}$ である。

解説

$n=2$ のときは、2回負、1回負1回正、2回正のどれかであり、それぞれの座標は、-2、2、6となります。

$p=\dfrac{1}{3}$の場合、2回負となる確率は、\[ \frac{2}{3}\times\frac{2}{3}=\frac{4}{9} \]となります。

また、1回負1回正の確率は、\[ 2\times\frac{2}{3}\times\frac{1}{3}=\frac{4}{9} \]です。

2回とも正の確率は、$\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{9}$となります。

解答

アイウ:226
エオ:49
カ:4
キ:1

解答編 つづき

問題

(2) n回移動したとき、XY の間に\[ X=\myBox{ク}n+\myBox{ケ}Y \]の関係が成り立つ。

解説

n回の移動のうち、正の向きに移動する回数が Y なので、負の向きには $n-Y$ 回動くということです。なので、\[ X=3Y-(n-Y)=-n+4Y \]という関係が成り立ちます。

解答

クケ:-4

解答編 つづき

問題

 確率変数Y の平均(期待値)は $\myBox{コ}$、分散は $\myBox{サ}$ なので、X の平均は $\myBox{シ}$、分散は $\myBox{ス}$ である。 $\myBox{コ}$ ~ $\myBox{ス}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ b のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。

 0: np
 1: $np(1-p)$
 2: $\dfrac{p(1-p)}{n}$

 3: $2np$
 4: $2np(1-p)$
 5: $p(1-p)$

 6: $4np$
 7: $4np(1-p)$
 8: $16np(1-p)$

 9: $4np-n$
 a: $4np(1-p)-n$
 b: $16np(1-p)-n$

解説

それぞれの移動は確率p で正の向きとなっていて、Y はその移動回数を合計したものです。各移動について動く回数の期待値は p なので、Y の平均はその n倍の np となります。

この各移動の動く回数の分散は、$p-p^2$ となります。各移動は、それぞれ独立に動くので、これを n倍すれば Y の分散になります。よって、Y の分散は、$np(1-p)$ となります。

X の平均 $E[X]$ は、\[ E[X]=E[-n+4Y]=-n+4np \]となります。

また、$X=4Y+$(定数)なので、X の分散は Y の分散の $16$倍、つまり、$16np(1-p)$ となります。

解答

コ:0
サ:1
シ:9
ス:8

(3) $p=\dfrac{1}{4}$ のとき、$1200$ 回移動した後の点A の座標X が $120$ 以上になる確率の近似値を求めよう。

 (2)により、Y の平均は $\myBox{セソタ}$、標準偏差は $\myBox{チツ}$ であり、求める確率は次のようになる。
\[ P(X\geqq 120) = P\left( \frac{Y-\mybox{セソタ}}{\mybox{チツ}} \geqq \myBox{テ}.\myBox{トナ} \right) \]

解説

$p=\dfrac{1}{4}$のとき、(2)の結果から、$1200$回移動するときの $Y$ の平均は、\[ 1200\times\dfrac{1}{4}=300 \]となります。

また、分散は、\[ 1200\times\frac{1}{4}\times\frac{3}{4}=225 \]なので、標準偏差は $\sqrt{225}=15$ となります。

ここで、$X\geqq 120$ となる確率を考えるので、
\begin{eqnarray} X & \geqq & 120 \\ 4Y-1200 & \geqq & 120 \\[5pt] Y & \geqq & 330 \\[5pt] \frac{Y - 300}{15} & \geqq & \frac{330 - 300}{15} = 2 \end{eqnarray}となる確率を考えることになります。

(これを「2.00」と答えさせるのは少し厳しい気がします。不安になった人もいるかもしれませんね)

解答

セソタ:300
チツ:15
テトナ:200

解答編

問題

 いま、標準正規分布に従う確率変数を Z とすると、$n=1200$ は十分に大きいので、求める確率の近似値は正規分布表から次のように求められる。
\[ P\left( Z \geqq \mybox{テ}.\mybox{トナ} \right) = 0.\myBox{ニヌネ} \]

解説

問題文の「$n=1200$ は十分に大きい」というのは、$\dfrac{Y - 300}{15}$ が標準正規分布で近似できる、ということです。正規分布表からこれが $0$以上 $2$以下となる確率は、$0.4772$ であることがわかります。よって、$2$以上になる確率は、\[ 1-0.4772-0.5=0.0227 \]となります。

解答

ニヌネ:023

解答編

問題

(4) p の値がわからないとする。$2400$ 回移動した後の点A の座標が $X=1440$ のとき、p に対する信頼度 $95$% の信頼区間を求めよう。

 n回移動したときに Y がとる値を y とし、$\displaystyle r=\frac{y}{n}$ とおくと、n が十分に大きいならば、確率変数 $\displaystyle R=\frac{Y}{n}$ は近似的に平均 p、分散 $\displaystyle \frac{p(1-p)}{n}$ の正規分布に従う。

 $n=2400$は十分に大きいので、このことを利用し、分散を$\displaystyle \frac{r(1-r)}{n}$で置き換えることにより、求める信頼区間は\[ 0.\myBox{ノハヒ} \leqq p \leqq 0.\myBox{フヘホ} \]となる。

解説

$X=1440$ のとき、$\displaystyle Y=\frac{X+n}{4}=\frac{1440+2400}{4}=960$ であり、\[ R=Y/n=960/2400=0.4 \]です。

また、$\displaystyle \frac{r(1-r)}{n}=\frac{0.4\cdot 0.6}{2400}=\frac{1}{10000}$となり、この2乗根は$\dfrac{1}{100}$となります。

$95$%信頼区間は、正規分布表で $0.4975$に近いところを見ればよく、$z_0=1.96$であることがわかります。

以上から、求める区間は
\begin{eqnarray} 0.4-\frac{1.96}{100} & \leqq & p \leqq 0.4+\frac{1.96}{100} \\[5pt] 0.3804 & \leqq & p \leqq 0.4196 \\ \end{eqnarray}となります。

解答

ノハヒ:380
フヘホ:420

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
東北大学2024年度後期数学文理共通第4問 横浜国立大学文系2024年度後期数学第1問 奈良女子大学理学部2024年度数学第1問 成城大学経済学部2024年度A方式1日目数学第3問 一橋大学2024年度後期数学第5問1 近畿大学医学部2024年度後期数学第3問