センター試験 数学II・数学B 2016年度 第2問 解説
問題編
問題
座標平面上で、放物線 $\displaystyle y=\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{2}$ を $C_1$ とし、放物線 $\displaystyle y=\frac{1}{4} x^2$ を $C_2$ とする。
(1) 実数a に対して、2直線 $x=a$、$x=a+1$ と $C_1$、$C_2$ で囲まれた図形D の面積S は
\begin{eqnarray} S &=& \int_a^{a+1} \left(\frac{1}{\myBox{ア}}x^2 + \frac{1}{\myBox{イ}} \right)dx \\[5pt] &=& \frac{a^2}{\myBox{ウ}}+\frac{a}{\myBox{エ}}+\frac{\myBox{オ}}{\myBox{カキ}} \end{eqnarray} である。S は $\displaystyle a=\frac{\myBox{クケ}}{\myBox{コ}}$ で最小値 $\displaystyle \frac{\myBox{サシ}}{\myBox{スセ}}$をとる。(2) 4点 $(a,0),(a+1,0),(a+1,1),(a,1)$ を頂点とする正方形を R で表す。a が $a\geqq 0$ の範囲を動くとき、正方形R と(1)の図形D の共通部分の面積を T とおく。T が最大となる a の値を求めよう。
直線 $y=1$ は、$C_1$ と $\left(\pm\myBox{ソ},1 \right)$ で、$C_2$ と $\left(\pm\myBox{タ},1\right)$ で交わる。したがって、正方形R と図形D の共通部分が空集合にならないのは、$0\leqq a \leqq \myBox{チ}$ のときである。
$\mybox{ソ} \leqq a \leqq \mybox{チ}$ のとき、正方形R は放物線 $C_1$ と x軸の間にあり、この範囲で a が増加するとき、T は $\myBox{ツ}$ 。$\myBox{ツ}$ に当てはまるものを、次の 0~2 のうちから一つ選べ。
0: 増加する
1: 減少する
2 :変化しないしたがって、T が最大になる a の値は、$0\leqq a \leqq \mybox{ソ}$ の範囲にある。
$0\leqq a \leqq \mybox{ソ}$ のとき、(1)の図形D のうち、正方形R の外側にある部分の面積U は\[ U=\frac{a^3}{\myBox{テ}}+\frac{a^2}{\myBox{ト}} \]である。よって、$0 \leqq a \leqq \mybox{ソ}$ において\[ T=-\frac{a^3}{\myBox{ナ}}-\frac{a^2}{\myBox{ニ}}+\frac{a}{\myBox{ヌ}}+\frac{\mybox{オ}}{\mybox{カキ}} \quad \cdots ① \]である。①の右辺の増減を調べることにより、T は\[ a=\frac{\myBox{ネノ}+\sqrt{\myBox{ハ}} }{\myBox{ヒ}} \]で最大値をとることがわかる。
考え方
(1)はグラフをかけば、何を計算するかはそんなに難しくないでしょう。微分・積分の範囲としては、基本的な問題です。
(2)は誘導は丁寧ですが、意図を読み取るにはきちんとグラフがかけないといけません。$a=1$ の前後で状況がどう変わるかを把握する必要があります。
U が出てくるあたりから計算量が増えていきますが、センター試験ではよくある分量です。最後は、最大値まで求める必要はないので、無駄な計算はしないようにしましょう。
解答編
問題
座標平面上で、放物線 $\displaystyle y=\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{2}$ を $C_1$ とし、放物線 $\displaystyle y=\frac{1}{4} x^2$ を $C_2$ とする。
(1) 実数a に対して、2直線 $x=a$、$x=a+1$ と $C_1$、$C_2$ で囲まれた図形D の面積S は
\begin{eqnarray} S &=& \int_a^{a+1} \left(\frac{1}{\myBox{ア}}x^2 + \frac{1}{\myBox{イ}} \right)dx \\[5pt] &=& \frac{a^2}{\myBox{ウ}}+\frac{a}{\myBox{エ}}+\frac{\myBox{オ}}{\myBox{カキ}} \end{eqnarray} である。S は $\displaystyle a=\frac{\myBox{クケ}}{\myBox{コ}}$ で最小値 $\displaystyle \frac{\myBox{サシ}}{\myBox{スセ}}$をとる。
解説
図をかくと、こういう状況ですね。
$C_1$ は $C_2$ より上にあるので、
\begin{eqnarray}
S&=&\int^{a+1}_a \left(\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{2} - \frac{1}{4}x^2 \right) dx \\
&=&\int^{a+1}_a \left(\frac{1}{4}x^2+\frac{1}{2} \right) dx
\end{eqnarray}となります。
これを計算すると
\begin{eqnarray}
S&=& \left[ \frac{x^3}{12} + \frac{x}{2} \right]^{a+1}_a \\[5pt]
&=& \frac{(a+1)^3-a^3}{12} + \frac{a+1-a}{2} \\[5pt]
&=& \frac{3a^2+3a+1}{12} + \frac{6}{12} \\[5pt]
&=& \frac{a^2}{4}+\frac{a}{4}+\frac{7}{12} \\
\end{eqnarray}となります。
このSが最小となるときを考えます。次のように式変形をします。
\begin{eqnarray}
S&=& \frac{a^2}{4}+\frac{a}{4}+\frac{7}{12} \\
&=& \frac{1}{4} \left( a + \frac{1}{2} \right)^2 -\frac{1}{16} +\frac{7}{12} \\
&=& \frac{1}{4} \left( a + \frac{1}{2} \right)^2 +\frac{25}{48} \\
\end{eqnarray}
このことから、S は、$\displaystyle a=-\frac{1}{2}$ のときに、最小値 $\displaystyle \frac{25}{48}$ をとることがわかります。
解答
アイ:42ウエオカキ:44712
クケコ:-12
サシスセ:2548
解答編 つづき
問題
(2) 4点 $(a,0),(a+1,0),(a+1,1),(a,1)$ を頂点とする正方形を R で表す。a が $a\geqq 0$ の範囲を動くとき、正方形R と(1)の図形D の共通部分の面積を T とおく。T が最大となる a の値を求めよう。
直線 $y=1$ は、$C_1$ と $\left(\pm\myBox{ソ},1 \right)$ で、$C_2$ と $\left(\pm\myBox{タ},1\right)$ で交わる。したがって、正方形R と図形D の共通部分が空集合にならないのは、$0\leqq a \leqq \myBox{チ}$ のときである。
解説
次のような状況です。
直線 $y=1$ と $C_1$ との交点は、 $1=\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{2}$ を解けばよく、 $x=\pm 1$ であることがわかります。
また、 $C_2$ との交点は、 $1=\frac{1}{4}x^2$ を解けばよく、 $x=\pm 2$ であることがわかります。
このことから、正方形R(上のグレーの部分)と、(1)の図形D(上の青色の部分)が交わるのは、 $0 \leqq a\leqq 2$ のときであることがわかります。2より大きいと、図形Dは$y=1$よりも上にあるので、交わりません。
解答
ソ:1タ:2
チ:2
解答編 つづき
問題
$\mybox{ソ} \leqq a \leqq \mybox{チ}$ のとき、正方形R は放物線 $C_1$ と x軸の間にあり、この範囲で a が増加するとき、T は $\myBox{ツ}$ 。$\myBox{ツ}$ に当てはまるものを、次の 0~2 のうちから一つ選べ。
0: 増加する
1: 減少する
2 :変化しない
解説
$1 \leqq a \leqq 2$ のとき、グラフは次のような状況になっています。aが大きくなるほど、領域は右に移動していき、共通部分は小さくなっていきます。よって、Tは減少していきます。
解答
ツ:1
解答編 つづき
問題
したがって、T が最大になる a の値は、$0\leqq a \leqq \mybox{ソ}$ の範囲にある。
$0\leqq a \leqq \mybox{ソ}$ のとき、(1)の図形D のうち、正方形R の外側にある部分の面積U は\[ U=\frac{a^3}{\myBox{テ}}+\frac{a^2}{\myBox{ト}} \]である。
解説
今までのことから、R と D が交わるのは、$0 \leqq a \leqq 2$ のときで、$1\leqq a \leqq 2$ のときは a が大きくなるほど面積T が小さくなることがわかりました。これらから、T が最大になるのは、$0 \leqq a \leqq 1$ のときであることがわかります。
このとき、グラフは次のようになっています。
問題文にある「(1)の図形Dのうち、正方形Rの外側にある部分」というのは、 $y=1$ より上の部分ということですね。ここは、 $C_1$ と直線 $y=1$ 、直線 $x=a+1$ で囲まれた部分なので、この面積Uは、
\begin{eqnarray}
U
&=&\int^{a+1}_1 \left( \frac{1}{2}x^2 + \frac{1}{2} -1 \right) dx \\[5pt]
&=& \left[ \frac{x^3}{6} -\frac{x}{2} \right]^{a+1}_1 \\[5pt]
&=& \frac{a^3+3a^2+3a+1}{6} -\frac{a+1}{2} -\frac{1}{6} + \frac{1}{2} \\[5pt]
&=& \frac{a^3}{6} + \frac{a^2}{2}
\end{eqnarray}と求めることができます。
解答
テト:62
解答編 つづき
問題
よって、$0 \leqq a \leqq \mybox{ソ}$ において\[ T=-\frac{a^3}{\myBox{ナ}}-\frac{a^2}{\myBox{ニ}}+\frac{a}{\myBox{ヌ}}+\frac{\mybox{オ}}{\mybox{カキ}} \quad \cdots ① \]である。
解説
(1)で求めた S から U を引けば T になるので、
\begin{eqnarray}
T
&=&
S-U \\
&=&
\left( \frac{a^2}{4}+\frac{a}{4}+\frac{7}{12} \right)
-\left( \frac{a^3}{6} + \frac{a^2}{2} \right) \\
&=&
-\frac{a^3}{6}-\frac{a^2}{4}+\frac{a}{4}+\frac{7}{12}
\end{eqnarray}となります。
なお、この式で、「オカキ」が出てきますが、このことが(1)の S を使うこと、つまり、$T=S-U$ を使うことのヒントになっています。
解答
ナニヌ:644
解答編 つづき
問題
①の右辺の増減を調べることにより、T は\[ a=\frac{\myBox{ネノ}+\sqrt{\myBox{ハ}} }{\myBox{ヒ}} \]で最大値をとることがわかる。
解説
ここまでくれば、微分して増減表を書くだけですね。
先ほど求めた式\[ T=-\frac{a^3}{6}-\frac{a^2}{4}+\frac{a}{4}+\frac{7}{12} \]をaで微分したものが $0$ になるのは、
\begin{eqnarray}
-\frac{a^2}{2}-\frac{a}{2}+\frac{1}{4}&=&0 \\[5pt]
2a^2 + 2a -1&=&0 \\
a&=&\frac{-2\pm\sqrt{2^2+8} }{4} \\
&=&\frac{-1\pm\sqrt{3} }{2} \\
\end{eqnarray}のときです。
増減表を書くと
\begin{array}{c|ccccc}
a & 0 & \cdots & \frac{-1+\sqrt{3} }{2} & \cdots & 1 \\
\hline
dT/da & & + & 0 & - & \\
\hline
T & & \nearrow & & \searrow &
\end{array}なので、$a=\dfrac{-1+\sqrt{3} }{2}$ のときに T が最大になることがわかります。
解答
ネノハヒ:-132