【基本】剰余の定理

ここでは、整式を一次式で割ったときの余りが簡単に出せる、「剰余の定理」について見ていきます。

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余りについて再考する

整式を整式で割ることについては、【基本】整式の割り算で見ました。ここでは、一次式で割る場合には簡単に余りが求められる、ということを見ていきます。

その前に、整数を整数で割る場合を考えてみましょう(難しそうな言い方ですが、普通の割り算のことです)。例えば、\[ 11111 \div 2 \]の余りはいくらでしょうか。 $1$ ですよね。\[ 11111 \div 5 \]ならどうでしょう。これも $1$ ですね。\[ 11111 \div 4 \]ならどうでしょうか。この場合は、余りは $3$ です。

これらの余りを考えるとき、素直に2で割ったり5で割ったりする人は少ないでしょう。普通は、一の位だけを見て考えるはずです。というのも、\[ 11111 = 11110+1 \]と分解でき、前半は2や5で割り切れることがすぐにわかりますからね。

4で割る場合は\[ 11111 = 11100+11 \]と分解でき、前半部分は4で割り切れます。なので、余りが $3$ であることは暗算で出せます。

このように、余りを出すだけなら、(全体の)割り算をしなくても出せる、ということがあるんですね。これは、整式の割り算でも同じです。

整式を一次式で割る

【基本】整式の割り算で見たことを踏まえ、整式を一次式で割ったときの余りを考えてみましょう。

一次式で割った場合、余りは割る式よりも低い次元になります。つまり、定数になるということです。割られる整式を $P(x)$ 、割る式を $ax+b$ 、商を $Q(x)$ 、余りを $r$ とすると、次の式が成り立ちます。\[ P(x) = Q(x)(ax+b) +r \]整式の割り算のときに、この形で式を書くことはとても重要です。この式をよく見ると、前半部分がなくなれば、 r が求められそうですよね。

前半部分 $Q(x)(ax+b)$ についてですが、 $Q(x)$ を求めるには、実際に割り算をするしかありません。しかし、この部分を消すには、 $ax+b$ が $0$ になるようにすればいいですよね。つまり、上の式で、 $x=-\dfrac{b}{a}$ にすればいい、ということです。こうすると、上の式は次のようになります。\[ P \left(-\frac{b}{a}\right) = r \]左辺に代入するだけなので、簡単に値を求めることができます。

「商×割る式」の部分が消えるように x に値を代入すれば、割り算をしなくても余りが求められるんですね。このことを剰余の定理(remainder theorem)と呼びます。

剰余の定理
整式を $P(x)$ を、一次式 $ax+b$ で割ったときの余り r は、次で表すことができる。\[ r = P \left(-\frac{b}{a}\right) \]

例えば、 $x^2+x+1$ を $x-1$ で割ったときの余りは\[ 1^2+1+1=3 \]となります。また、 $x^4$ を $3x-1$ で割ったときの余りは\[ \left(\frac{1}{3}\right)^4 = \frac{1}{81} \]となります。割り算をしなくてもいいので、だいぶ楽ですね。

おわりに

ここでは、剰余の定理について見ました。一次式で割る場合には、余りを簡単に求めることができます。このことは「因数定理」という別の定理につながっていくのですが、それについてはまた別のページで見ていきます。