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【標準】三角比と角の二等分線

ここでは、三角比の分野で出題される、角の二等分線とからめた問題を見ていきます。【基本】三角比と角の二等分線で見た問題は、特殊な角度の場合でしか解けませんでしたが、ここではどんな角度の場合でも使える手法を見ていきます。

📘 目次

例題

例題
$\triangle \mathrm{ ABC }$ において、 $\mathrm{ AB }=5$, $\mathrm{ BC }=6$, $\mathrm{ CA }=7$ とする。 $\angle \mathrm{ A }$ の二等分線と BC の交点を D とするとき、 AD の長さを求めなさい。

$\angle \mathrm{ A }$ の値がわからないので、【基本】三角比と角の二等分線のように面積を使って解くのは難しいです。しかし、同じページ内でも復習した「 $\mathrm{ AB }:\mathrm{ AC }=\mathrm{ BD }:\mathrm{ CD }$ 」という角の二等分線に関する性質は使えます。これを使うと、 BDCD の長さが求められます。

これらの長さが求められたとして、どうすれば AD を出すことができるでしょうか。 $\triangle \mathrm{ ABC }$ は3辺の長さがわかっているので、余弦定理が使えます。これが使えないか考えてみます。

AD を求めるために、これを含んだ $\triangle \mathrm{ ABD }$ を考えてみます。すると、 $\triangle \mathrm{ ABC }$ と見比べれば、 $\angle \mathrm{ B }$ が共通であることがわかります。このことと余弦定理を組み合わせれば、 AD を求めることができます。この流れで解いていきましょう。

まずは、 BD の長さからです。 AD は $\angle \mathrm{ A }$ の二等分線なので、 $\mathrm{ AB }:\mathrm{ AC }=\mathrm{ BD }:\mathrm{ CD }$ が成り立ちます。このことから、
\begin{eqnarray} \mathrm{ BD } &=& \mathrm{ BC }\times\frac{\mathrm{ AB } }{\mathrm{ AB }+\mathrm{ AC } } \\[5pt] &=& 6\times\frac{5}{12} \\[5pt] &=&\frac{5}{2} \end{eqnarray}がわかります。

$\triangle \mathrm{ ABC }$ に対して余弦定理を使うと
\begin{eqnarray} \cos \angle \mathrm{ B } &=& \frac{5^2+6^2-7^2}{2\cdot 5\cdot 6} \\[5pt] &=& \frac{12}{2\cdot 5\cdot 6} \\[5pt] &=& \frac{1}{5} \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。

続いて、 $\triangle \mathrm{ ABD }$ について余弦定理を使うと
\begin{eqnarray} \mathrm{ AD }^2 &=& 5^2+\left(\frac{5}{2}\right)^2-2\cdot 5\cdot \frac{5}{2} \cdot \frac{1}{5} \\[5pt] &=& 25+\frac{25}{4}-5 \\[5pt] &=& \frac{105}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。これから\[ \mathrm{ AD }=\frac{\sqrt{105} }{2} \]と求められます。

この解き方は、 $\angle \mathrm{ A }$ の値がわからなくても解けるので、【基本】三角比と角の二等分線での解法よりも、普遍性のある解き方になっています。

おわりに

ここでは、角の二等分線と三角比をからめた問題を考えました。問題文には三角比のことが何も記載されていませんが、3辺の長さがわかっていることから余弦定理が使えないか、という発想ができるようになっておきましょう。そうすれば、入試問題に取り組むときにも役立つはずです。

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