【標準】対称移動に関する作図
ここでは、対象の軸や対称移動した後の図形を作図する問題を考えます。また、点対称移動についても合わせてみていきます。
対称移動に関する作図の問題
(1) 直線 $\ell$ を作図しなさい。
(2) 三角形 ABC を直線 $\ell$ について対称移動してできる三角形 DEF を作図しなさい。
まず、(1)の直線 $\ell$ を考えます。対称移動とは、そこで折り返すとぴったりと重なるように移動することでした(参考:【基本】対称移動)。どこで折り返せば、辺 AB と辺 DE が重なるでしょうか。
ぴったりと重なるときに、対応する点を結んで考えてみましょう。線分 AD は、直線 $\ell$ で折り返すとちょうど半分になって重なることから、直線 $\ell$ は線分 AD の中点を通り、線分 AD に垂直であることがわかります。
つまり、直線 $\ell$ は、線分 AD の垂直二等分線に一致します。そのため、直線 $\ell$ は次のように作図できます(参考:【基本】垂線二等分線の作図)。
続いて、(2)を考えます。点 F が作図できればいいですね。先ほどとは逆に、線分 CF の垂直二等分線が直線 $\ell$ となるように、点 F を作図するにはどうするかを考えます。完成図から考えてみましょう。
条件は2つあります。 CF と直線 $\ell$ が垂直に交わること、そして、 C, F から直線 $\ell$ からの距離が等しいことです。前者の作図はすでにやったことがある(参考:【基本】垂線の作図(直線上にない点を通る)その2)ので、まずは前者からやってみましょう。
こうすると、 C から直線 $\ell$ までの距離もわかります。 $\ell$ と垂線の交点までの距離ですね。なので、この交点を中心として、 C までの距離だけ離れている点を、さきほどの垂線の上にとれば、それが F となります。
こうして F の場所がわかるので、三角形 DEF が作図できます。
この例題では、 D, E の2点がわかっていました。ただ、ここまでの作図方法を見てもわかる通り、 E の場所がわからなくても、直線 $\ell$ と三角形 DEF の作図はできます。 E の場所もわからない場合は、 F の作図でやったときと同じ方法で E も作図します。
点対称移動に関する作図の問題
(1) 点 O を作図しなさい。
(2) 三角形 ABC を直線 $\ell$ について対称移動してできる三角形 DEF を作図しなさい。
点対称移動は、回転移動の特別版と考えられますが、対称移動の流れで作図方法を見ておきましょう。
(1)の点 O を考えます。点対称移動とは、ある点を中心として180度回転移動させることです。そのため、 A, O, D はこの順に一直線上にあり、 $\mathrm{ AO=DO }$ が成り立ちます。つまり、点 O は線分 AD の中点となります。
このことから、線分 AD の垂直二等分線と線分 AD との交点が点 O となります。
続いて、(2)を考えます。点 F が作図できればいいですね。先ほどとは逆に、線分 CF の中点が点 O となるように、点 F を作図するにはどうするかを考えます。完成図から考えてみましょう。
C, O, F は一直線上にあるので、 F は直線 CO 上にあります。さらに、 $\mathrm{ CO=FO }$ だから、 O を中心として、 C までの距離だけ離れている点を、直線 CO の上にとれば、それが F となります。
こうして F の場所がわかるので、三角形 DEF が作図できます。
この例題でも、 D, E の2点がわかっていましたが、 E の場所がわからなくても、直線 $\ell$ と三角形 DEF の作図はできます。 E の場所もわからない場合は、 F の作図でやったときと同じ方法で E も作図します。
おわりに
ここでは、対称移動、点対称移動に関する作図を見てきました。どのような移動かを考え、対称の軸や移動後の点がどのような条件を満たすかを考えてから、何を作図すればいいかを考えましょう。